The Favourite

昨日BAFTA(ブリティッシュ・アカデミー・フィルム・アオード)で『The Favourite/女王陛下のお気に入り』が Best British Film, Best Actress, Best Supporting Actress, Best Original Screenplay など7部門で受賞した記念に、正月ごろ観てだいぶ時間が経っていますがちょっと感想を書こうかな、と思って思い出しつつ書いています。

 主演女優賞のオリヴィア・コールマンが好きなので一緒に喜びつつ、助演男優賞にノミネートされていたリチャード・E・グラントがちらちら映るのにときめきながら、でもまあ ROMA がとるよね〜と思いつつ、BAFTA の中継を全部見たのって初めてかもしれない。そしてティモシー・シャラメの私服はいつもすごい。

ややスポイラーアラート

 で、The Favourite。ヨルゴス・ランティモスなんだから、もっと嫌な、不条理でひどい後味の、奇妙な、としか言いようのない、もはや苦痛に近い映画(『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』『dogtooth』『Alps 』『ロブスター』など参照)になるのかと思ったら、あっけないほど観やすい、当然のように美しい、よくできた、セリフにクスっと笑える、正統にややブラックなコメディだった。
 彼の映画はだいたいいつも誰か(または複数の誰か達)がいわれなく酷い目にあうのだが(いわれはあっても、そこまで酷い目にあわなくてもよかろう、という程度のいわれだったり、え、それいわれ?って感じのいわれであったり。)The Favourite では、ひどい目にあったところで、彼女は女王なのであって、嫌なことを引き起こす彼女をいざとなれば即座に排除することができるのだ。という今までの作品とは違う圧倒的な力の差の存在が、見る者に安心感を与え、こんなに観やすくしたんだろう、と、思いつき、それを人に言ったところ、「十分嫌な映画だった」と言われたので、受け取り方は人それぞれだ。

 でも、もっと変な映画が観たかったな。

 ヨルゴス・ランティモスには、この成功を糧に、次はまた初心に戻って、人の気持ちを不安にしたり不快にしたり、こう、人間性の根幹を揺るがすような映画を作って欲しい。嫌々観るから。

 と、思うのは私だけ?

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