ROMA

 アルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』を、ロンドンで2番目にお気に入りの映画館のお気に入りの席(最後列の二人掛けに一人で座る)で観ました。ロンドンではその系列の映画館のみで公開。しばらく1番お気に入りの映画館で事足りていて、こっちに来ていない間に、4Kラージスクリーンに加えドルビーアトモス音響システムが導入されていて、四方八方から音が聞こえてくる。ベース音も座席に響く。なるほど、これなら映画館で観たくなるよね。

ややスポイラーアラート

 観た感想としては、私には何かちょっと割り切れないものが残る映画で、でもまあ、映像は綺麗で、雇い主のアースホールな夫とメイドのアースホールなボーイフレンド以外がみんないい人だったのはよかったな……と思って、ふと考えて、でもそれこそがモヤッとした原因で、これは、この時代のメキシコの、アッパーミドルクラスの白人家族の目線のお話であって、先住民の使用人にとって本当に「いい人」たちだったのかはわからない。いや、もっとひどい扱いを受けている人たちがいるだろうことは容易に想像できるから、多分本当に相対的に「いい人」なのだろうし、感謝されてもいそうだけど、やっぱりなんとなくモヤッとしたものが残る話でした。同じことを扱っても、モヤっとしないようにすることはできたのではないか、というところが残念。どこかで既に指摘されていることかもしれないですが。

 ところでアースホールな夫が、妻と別れることになって、家から「本棚」を全て持って行ったのが、なかなか象徴的で、大量の本自体は妻のものだったのか、そうだよね、本に愛着を持つのならばわかるけど、アースホールでなければ、なかなか本棚は持っていかないよな。と、妙に納得しました。

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