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8割物を捨てれば人生が変わるって本当? 1ヶ月で4t断捨離した話 Part1

キャリアチェンジでまずやったこと

この夏、25年間フリーランスとして続けてきた大手出版社の仕事を辞めた私。

辞めた直後は、お世話になった方々へのご挨拶等でバタバタしていたのですが、少し落ち着いてから気になったのは、仕事部屋として借りていた事務所をどうするかということ。

3年前、今の夫とトントン拍子で同棲することになり、自分の荷物を整理する暇もなかったので、事務所と称して夫の住むマンションの別フロアに1室仕事部屋を借りていたのです。

マンション内には空き部屋が一つしかなく、事務所としてはちょっと広めの3LDK。執筆などの仕事をする部屋の他に、仮眠部屋やストックルームまで作れ、28歳から18年間の一人暮らしで増え続けた私の荷物もすっぽり収めることができました。引っ越し業者が2tトラック2台になんとか荷物を詰め込み、運ばれたその荷物総量は全部で4t。引っ越し業者の人ですら、これ全部私の荷物だと知って驚いていました。

はじめは処理業者に来てもらい、一気に荷物を処分しようと思ったのですが、見積もりを採ったらなんと120万円!!! どれだけ物が多いんだ! 退去までの1ヶ月をかけて自分の過去と思いっきり向き合うことにしました。

まず捨てたのは、女性誌時代のモノたち
新しい人生を切り開くための断捨離は、何から手を付けたらいいのだろう? そう思いはじめに処分しようと決めたのは、21歳から続けてきた女性誌時代のモノたちでした。私はファッション誌でライターをしていたので、写真集やらファッション誌やらを“いつか参考資料で使うかもしれない”と大量に溜め込んでいたのです。

まずは「処分する本」「残す本」「未定」の3つにわけ、古本業者に送るダンボールに詰めていきます。もう出てくる出てくる、20年ぐらい前にはやったテリーリチャードソンの性器丸出しの写真集とか、ハイモードな雑誌やら。いたって普通に育った私がファッション誌で頑張っていくために、いろいろ頑張っていたのね、私。

書籍を整理するだけで3日も費やし、次は書類の山へ。無心で不要な書類たちをゴミ袋に入れていると、アシスタント時代からの給料明細がごっそり出てきて思わず息をのみました。

1か月、徹夜続きで働いて3万円……。
アシスタントとしてライターを手伝いながら仕事を学んでいる最中だったから仕方ないけど、アシスタント時代は本当にお金に苦労したのを覚えている。

スマホ代は自腹で、毎月2万円ぐらい。ファッション誌で働いていたので、毎日のように新作の洋服に囲まれて物欲も湧いてくるし、みすぼらしい恰好では働けない……。1万円のサンダルを30回ぐらいのリボ払いで買って、何年にも渡って払い続けていたなぁ。給料明細を見ていたら当時の辛かった気持ちが溢れてきて、途中からは中身を見ずにシュレッターにかけてしまいました。

いまになっても給料明細を見ただけでこんなに動揺してしまうなんて、どれだけ自分の気持ちを押し殺して働いてきたんだろう。こんなにも無理をして働いてきた分、自分が心地よく働ける環境をつくることは絶対条件だな。

フリーランスとお金の切っても切れない関係
今までの給料明細を見てからは、断捨離のスピードが一気にダウンしてしまいました。もうあまり思い出すこともなかったけど、私の女性誌時代は好きなことを仕事にしている反面、お金の苦しみがついて回っていたような気がします。

女性誌の仕事は、1ページいくらという単価性。好きな企画をやるより、大変だけどページ数の多い着回しや靴のカタログ企画の方が収入が多く、ファッションページは季節によって仕事量が変わるため、毎月何ページの企画を担当するのかといつもソワソワしていたような気がします。

それにライターへの仕事の発注は編集者が指名をするという制度だったので、仕事をもらうには編集者に好かれている方が当然有利。だから気を遣い人の何倍も働いたし、旅行に行けばお土産を買ってきたり、編集者と意見が違っても従ったり。こうやってだんだんと自分が出せなくなり、ジワジワと我慢することが当たり前になってしまったんだろうな。

固定給のサラリーマンとは違い、フリーランスは仕事の成果物が収入になるので、 “どんな仕事をするか”の以前に『仕事を獲得する』ことがとても重要なのです。だから給料明細は、まさに私が悶々とした気持ちを抱えながらも獲得してきた仕事たちの証であり、決して“好きな仕事”と言い切れなかった私の歴史。

もちろん楽しいことや奇跡のような感動もたくさんあったけど、「辛い」「苦しい」「我慢」。この3つも常にセットだったのも事実。そんな思いが染み込んだ物を私はずっと部屋に大切に保管していたのか……。業者に頼んで中身も見ずに処分していたら、きっとこんなことを思い出すこともなかっただろうな。やっぱり自分のキャリアを棚卸する意味でも、自分で作業することに意味があるんですね。

女性誌時代の書籍や書類が片付いたら、随分と気持ちが軽くなりました。今まで頑張ってきた自分を労いつつ、これで苦しい思いとサヨナラできたのかな? やっぱり次からの仕事は自分が自分でいられる働き方をしよう。人の顔色を疑わず、自分の意見が自由に言える働き方。それを構築するには、残りの断捨離もやりきらねば!

次回も断捨離のお話の続きです。
お楽しみに♡

西村真紀


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