ザ・リーサルウェポンズ『Back To The 80's』【ディスクレビュー】


80年代のサウンドやビジュアルというのは常に人を惹きつけるものである。どこから始まったのだろうか、フランスのCarpenter Brutなんかを始めとしたシンセウェイヴのムーブメントとか、ホットラインマイアミとか、スピルバーグのレディプレイヤー1とかカンフューリーとかの80年代への愛を描いたエンタメ作品だとか、2010年代はそんな愛と情熱に溢れた80'sリスペクト作品がかなり豊作だったと思う。

ザ・リーサルウェポンズはそんなムーブメントも収まってきたかな……?というタイミングで急に登場した、平成最後の80年代シンセポップ・デュオ。作詞作曲担当のアイキッド氏(アメフトマスク)とボーカルのサイボーグ・ジョー氏(グラサン)の二人組だ。

そんな彼らのはじめてのフルアルバム『Back To The 80's』が4月1日に配信開始されたのだが、コレがメチャクチャ最高なのだった。というわけで今回は彼らのこの最高のアルバムを語っていこうと思う。

アルバムは衝撃のイントロにて幕を開ける。1曲目『80年代アクションスター』は彼らが最初にYoutubeにてMVを公開した、いわば1stシングルとでも呼べる曲である。初見のリスナーを仰天させるイントロの「アーニーキ!」連呼からの超カッコいいシンセサウンド。歌われるのはタイトル通り80年代のアクション映画のスター俳優たちがどんなにカッコいいか、という熱い萌え語りだ。シュワシュワシュワシュワシュワルツェネッガー。俺たちはこういう曲をやるんだぜ、このアルバムはこんな感じだぜ、というのを初っ端から100パーセント見せてくれる超アゲアゲチューンである。

派遣社員のギリギリの生活をポップに歌った2曲目『シェイキン月給日』を経てからの3曲目『プレミアムフライデーナイト』は本アルバムの白眉と言ってもいいだろう。問答無用の超キラーチューン。ポップな曲の多い本作の中ではかなりクール系の曲調で、かなりカッコいい一曲だ。まぁクールといっても歌ってるのは週末早く帰りたい~みたいなことなのだが。

カッコいい3曲目が終わると再びポップな感じに。4曲目『Super Cub is No.1』はスーパーカブへのラヴを熱く歌った名曲。控えめに鳴ってるギターがイイ感じだ。5曲目『なんでやねん』は大阪のツッコミの曲。唐突な「ニンジャ!」でクソ笑う。

6曲目『きみはマザーファッカー』。これは多分ライブでやったらメチャクチャ盛り上がるやつだろう。F・U・C・K・サノバビッチ!イントロのピコピコがカワイイぜ。カラッとした気持ちのいいナンバー。

そして、ディスコ時代を歌った『マハラジャナイト』が来て、『クールジャパン』でスキヤキうまいとかフジヤマ高いとかやった後に来るのが9曲目『熱血ティーチャー』。尾崎豊とかスクールウォーズみたいな感じの熱い歌詞(よく聞き取れない)を熱く歌い上げる。3曲目『プレミアムフライデーナイト』と同じように、わかりやすいカッコよさのある良曲である。

10曲目の『ホッピーでハッピー』はマジで超ハッピーな一曲。これが本当にイイんだ。極上の酒を耳から飲んで全身で味わうような体験ができる、新時代のパーティチューンと言ってもいいだろう。アルバムいちゴキゲンな曲だと思う。こんな幸せな曲、他にあるか?

ホッピーで超ハッピーになった後に待ち受けているのはこれまでのポップな雰囲気とは正反対のダークな感じのイントロ。11曲目『ゴキブリナイトメア』である。恐ろしいタイトル通り、80’sシンセミュージックのダークな部分を見事に再現した、アルバムのここまでの曲とはまた違ったカッコよさを見せてくれる良い感じの曲である。

アルバムのトリを飾るのは『サイボーグメカニンジャ』。前の曲に引き続き、わりとダークなカッコよさのあるチューン。アルバムの中だといちばんストレートにシンセウェイヴ的なことをしてるんじゃないだろうか。80’s的というか。歌詞も超サイバーだし。終わり方が非常にシブく、気に入っている。


このアルバムのスゴイのは、全曲シングル曲のようなキャッチーなカッコよさを持っているにもかかわらず、聴き疲れてしまうような装飾過多のコッテリ感が全くないことだと思う。過剰なシングル曲っぽさみたいなのが皆無なのだ。この、少ない要素でカッコよく聴かせる、いい意味でのオールドスクールな曲の作り方には非常に好感を覚える。作曲のアイキッド氏の音楽への確かなセンスと真摯な姿勢が感じられる。

彼の非凡なセンスは歌詞にも感じ取ることができる。歌える曲ってのは彼の書く歌詞のことを言うのだろう。キャッチーなメロに乗せて歌われる英語と日本語を組み合わせた独特の詩は聞いてて非常に心地が良い。ボーカルのサイボーグ・ジョー氏によって歌い上げられるオモシロカッコいい歌詞は一度聞いたらマジで忘れられないだろう。

本作『Back To The 80's』はタイトル通りの80年代回帰だけでは終わらせない、ラブとクールが目一杯詰め込まれた超カッコいいアルバムだ。80年代カルチャーのファンだけでなく、幅広い音楽ファンに聴いて欲しい一作である。マジでライブやってほしい。


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まきちゃん

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