洋ゲーサントラのすゝめ

ここ最近、Steamなどのオンライン販売プラットフォームが世に浸透してきて、洋インディーゲームも一昔前に比べればかなり国内でもプレイされるようになってきた印象がある。

インディーゲームといえばやばいビジュアル尖ったゲームプレイが注目されがちだが、それらと同じくらいにゲームのコアの部分を構成しているのが秀逸なサウンドトラックの数々である。

未だにゲームのサウンドトラックが「ゲーム音楽」「BGM」と、ひとくくりにされて簡単に語られがちな現状がなんだか悔しいので、今日の素晴らしいゲームの素晴らしいサウンドトラックをいくつか挙げていって、それらの音楽的特徴や、関連するかもしれないアーティストやバンド、楽曲などを紹介していこうと思う。この記事を読んで、何か一つでも新しい発見を得てくれれば嬉しい。ゲームごとに多少の温度差があるのは見逃してくれ。人のサントラのベストを読むくらいの軽い気持ちで読んでくれると助かる。

ジャンルなんかも適当だが気にするな。自分の耳だけを信じろ。


Bandcamp

Bandcampとは、アメリカの音源配信サービスである。インディーズのミュージシャンやレーベルの多くがBandcampを使って音源を販売していて、様々なジャンルの、様々な国のアーティストの音源を見つけることができる。もちろん、インディーゲームのサントラもかなりの数が配信されている

Bandcampで販売されているほぼ全てのアルバム、楽曲は、なんとフル視聴可能で、一部の音源はName Your Plice(NYP、投げ銭)で購入することもできる。音源はアーティストやレーベルから直で配信されていて、音源の購入はアーティストの支援だということをダイレクトに感じることができる。

Merch(Merchant、物販)も充実していて、アーティストからCDやカセット、レコードなどのフィジカル音源やグッズなどを購入することもできる。

ダウンロード時に音質や形式など選択可能で、一度購入したものは何度でも再ダウンロード可能。ウィッシュリストやギフトなどの機能もあり、ユーザーにとってはかなり利便性の高いモノとなっている。購入にはPaypalが必須だ

今回はそのBandcampで配信しているモノを中心に紹介していきたいと思っている。正直、Steamでサントラを買うとかなり取り回しが悪いので、あまりオススメしたくないのだ。

各タイトル、ジャケット画像をクリックで視聴・配信ページにジャンプするようにしておいた。Bandcampページのあるものはそこに飛ぶようにしてあるが、ないものは他サイトにリンクを貼っている。



Hotline Miami /V.A.(steamのみで販売)


インディーゲームのマスターピースのひとつと言っても差し支えないであろう、商業的に最も成功したゲームの一つである本作。テンポのよいゲームプレイ素晴らしいレベルデザイン、そしてビジュアルサウンドの演出が完全に調和、それぞれがそれぞれを高め合っている最高の作品だ。ギラギラした暴力サウンドが楽しめる本作のサントラは、カッチョイイアーティストたちのコンピレーションになっている。ここにその参加アーティストの一部を紹介しよう。

Sun Araw - アメリカの最高サイケ野郎だ。グッタリと酩酊しながら水タバコの煙をモクモクと吐き出すようなサウンドをやっている。ダウナーになりたい時に。

El Huervo - スウェーデンのミュージシャン/アーティスト。本ゲームのカバーアートも担当している。彼のアルバムのジャケットも全て彼自身によって描かれたモノだ。妖しいエレクトロをやっている。

Perturbator - フランスのエレクトロニックミュージシャン。夜のネオン街をキメながらドライブするような最高サウンドが楽しめる。サイバーパンクなんかが好きならマスト。この手の音楽はSyntwave(シンセウェイブ)と呼ばれることもある。

豪華三枚組レコードが出ている。(買った)



STRAFE/ToyTree

上で少し名前を出したSynthwaveサウンドが全編にわたって流れる、96年のFPSをリスペクトしたFPSというのがウリである本作。

血みどろゲームプレイにピッタリのドラッギーでギラギラしたレトロ風シンセテンアゲだ。ゲーム本編は良くも悪くも大味。



Shovel Knight/Jake Kaufman

ファミコンゲームへの最大限のリスペクトと共に今日のゲームのキャッチーさ、遊びやすさも両立させている素晴らしいゲームの、これまたリスペクトいっぱいのサウンドが聴ける素晴らしいサウンドトラック。

特筆すべきはそのバラエティの豊かさ。ロックマンコナミサウンドを彷彿とさせるファミコンど真ん中みたいな楽曲があると思えば、今日のゴージャスなゲームのようなドラマチックに熱い楽曲もあったりする。

Jake Kaufman氏のBandcampページから買えば前述したNYP(投げ銭)で買える。高品質な50曲近くのチップチューンが1ドル~で買えてしまうのは異常だ。アレンジサントラDLCのサントラも全てNYPだ。

そして彼はあのシャンティ』シリーズの作曲も担当していて。そちらも同じく投げ銭で買うこともできる。



Tower of Heaven/flashygoodness

ゲームボーイにインスパイアされた傑作2Dプラットフォーマー。ビジュアルとサウンドとストーリーとゲームデザインが全て一体になっている素晴らしいゲームの一つだ。短い時間でかなりの充実感を得られるので最高だ。サントラは高品質なチップチューンだが、まずはゲームプレイで聴いて欲しいサウンドとゲームデザインが一体になっているということが理解できると思う。ゲーム本編はなんと無料でプレイできるこの素晴らしいゲーム体験が無料でできるのは正直イカれてる。

こいつに近いサウンドトラックの使われ方をしているゲームが、みんな大好きUndertaleだ。そちらの音楽演出が好きならば、本作もきっと気に入るだろう。



ABZÛ/Austin Wintory

魚たちとの非言語コミュニケーションがとても楽しい本作のサウンドトラックは、『風ノ旅ビト(Journey)』で有名なAustin Wintory氏の作品だ。ゆったりとした癒やしサウンドが中心だが、ゲームの盛り上がりどころで流れるドラマチックな楽曲もあったりする。聴いてると美しい深海の景色が思い出されるような、素敵な作品。

Austin Wintory氏は他にも様々なゲームの作曲を担当しており、すべて彼のBandcampページで購入することができる。

風ノ旅ビト(Journey)  

The Banner Saga

Assassin's Creed: Syndicate



Virginia/Lyndon Holland(Steamでのみ配信)

音楽主導のシネマティック・ウォーキングシミュレーター『Virginia』、ゲームプレイは賛否両論も納得なおとなしいモノなのだが、その演出は本物だ。雰囲気ゲーの一言でまとめられない何かがある。圧倒的な音楽演出を感じろ。2時間くらいで終わるゲームなので是非。ゲームをクリアしてからサントラを聴いて欲しい。



Gunpoint/V.A.

最近はあまり名前を聞かないが、間違いなく現代インディーゲームのマスターピースの一つといっても良い本作、ちょっと前までは必ずと言っていいほどオススメ記事に名前が挙がっていた気がする。いい大人の為の大人のゲーム。サックスと電子音が交じり合うサウンドトラックも大人向け、コーヒーとシガレットがよく合う



Super Hexagon/Chipzel

やばいゲームのやばい音楽だ。

おまえはコイツを何回聴いた?何時間聴いた?

作曲者のChipzel氏はイギリスの若きチップチューンアーティストで、本作以外にも高品質でカッチョイイアルバムをいくつか出している。『 Crypt of the Necrodancer』のチップチューンアレンジアルバムも彼女の作品だ。



返校Detention/WeiFan Chang


台湾の学校を舞台にした本作(コワイ!)、その独特なビジュアルにピッタリの、呪術的でアジアンな、西洋のゲームには絶対出せない空気感を感じることのできる素晴らしいサウンドトラック。特筆すべきは上に載せたトレーラーに使用されている楽曲、『Sound of the Gunshot』ポストロックブラックゲイズに通じるものがあるローファイ素敵サウンド。中国とか台湾の人はこういう雰囲気出すのがスゴく上手い。2017年インディーゲームのベストトラックの一つだと思っている。

関連するかもしれない音源

Alcest - フランスのブラックメタルバンド。ブラックゲイズ(ブラックメタル+シューゲイザー)を生み出した張本人。優しいクリーンボーカル歪みギターが融合した、独特の幻想サウンドが聴ける。その手の音楽好きな奴はみんな好き、みたいなバンド。トレーラーの曲が気になったなら。

惘闻(Wang Wen) - 中国のインストポストロック。どこか儚げな感じのゆったりした曲があるかと思えば、荒々しいギターの鳴り響く、感情的なサウンドが聴けたりもする、ドラマチックな曲展開が楽しめるバンド。

怨 (Enmity) - 中国の独り暗黒カルト呪術音楽プロジェクト。ドス黒い暗黒サウンドが聴ける。何を考えてこんなん作ったんだという感じだ。

厄鬼(Aek Gwi) - 韓国の独りダークアンビエント/ブラックメタル。名前通り、アジアンで陰鬱な、メロディのカッコよさやキャッチーさとは無縁の、超絶カルトサウンドが楽しめる。これが韓国の暗黒音楽だ。

黒麒(Black Kirin) - 正直全然関係ない、僕の趣味。中華トラディショナルなブラックメタルでメチャクチャカッコよいので最高。



VA​-​11 HALL​-​A/Garoad

フュージョンシティポップアニメソングなどの、日本の80年代カルチャーの影響が強く感じられるサウンドトラック。ゲーム本編のビジュアルや空気感が気に入ったならこのサントラも気に入るハズだ。ドライブのお供に最高そう。ネオンきらめく夜の街を駆けろBandcampで最も売れているサウンドトラックの一つだ。レコードが出たらメチャクチャ売れるんだろうなと思ってたら出た。すぐ売れた。(買った)


関連するかもしれない音源

川井憲次 - 本作の作曲家であるGaroad氏が直接のインスパイア元として彼の名前を挙げている。

秋元薫 - 日本の歌手。『VA​-​11 HALL​-​A』が好きならば、彼女がリリースした唯一のアルバム、『Cologne』が刺さるだろう。デジタル音源がAmazonプライムitunesで配信されているが、CDやレコードはレア盤として高値で取引されている。アルバム3曲目の『Dress Down』がオススメ。

猫 シ Corp. - シティポップ/フュージョン色が濃いめで日本語サンプリングが多めの、最も有名なVaporwave(ヴェイパーウェイブ)アーティストの一人。『VA​-​11 HALL​-​A』の音楽はVaporwaveのソレとは似て非なる物だが元ネタはかなり近い。

マクロスMACROSS 82-99 - これはあまり『VA​-​11 HALL​-​A』とは関係ないが、親戚の親戚みたいな位置にあるモノだ。こいつはFuture Funk(フューチャーファンク)というジャンルの音楽で、日本の古いポップスやアニソンなんかをダンサブルにミックスしたジャンルだ。インターネット発の新しい音楽で、オタクド真ん中みたいなサウンドだ。



Hyper Light Drifter/Disasterpeace

ゲームのビジュアルにピッタリの、幻想的でフワフワしたアンビエント色の強いシンセサウンドだ。作業中とか寝る前とかに聴きたい。Dreampunk(ドリームパンク)と呼ばれているジャンルが近いかもしれない。フワフワしたサイバー感のあるアンビエント、とでも言えばよいか。


関連するかもしれない音源

Dream Catalogue - イギリスの音楽レーベル。Dreampunkな音源を多くリリースしている。ここから出ているアルバムを聴いてみれば、Dreampunkってのはこんな感じか、というのが何となく理解できると思う。

Blludhoney Records - アメリカの音楽レーベル。Hypnagogic Synth(入眠時のシンセ)の音源をリリースしていて、まぁ同じようなモノだ。そのへんの細かいジャンルや種類分けを気にする奴はバカだ。このレーベルはカセットテープを専門にリリースしているのだが、その装丁がとても可愛い。レーベルのBandcampページで見ることができるので是非。本作『Hyper Light Drifter』サントラのカセットもリリースされた。(買った)



結びに

いかがだっただろうか。何か新しい発見や、好きそうなミュージシャンは見つかっただろうか。そういうものを何か一つでも見つけてくれたのなら、それ以上に嬉しいことはない。

音楽の趣味を掘るのは楽しいぜ、僕が伝えたかったのはそれだけだ。



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サンクス!
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まきちゃん

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