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そうか〜、あかちゃんとはたらいていたのか。


「最近、会社の雰囲気が悪いです」

「変えようと頑張ったんですけど、もう無理です」

泣きながら入社3年目の子に言われた。

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感想ありがとうございます!

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お土産のお菓子を配ろうと、パソコンを管理している部屋に入ったときのことだ。システム担当者と入社3年目の女の子が椅子に座っていて、3年目の女の子が号泣していたのだ。

無視して出ていくわけにもいかず、とりあえず話を聴くことにした。

「最近、会社の雰囲気が悪いです」
「中堅社員さんに話しかけにくいです」
「変えようと頑張ったんですけど、もう無理です」

どうやら、最近社内で行われた面談をきっかけに、上司や先輩から色々と言われ、彼女なりに変わろうと努力したらしい。

そして今日、自分から中堅社員に話しかけようとした瞬間、中堅社員同士でいざこざがあり、3年目の女の子の心は折れてしまったそうなのだ。

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泣くほどに感情が乱れているのだから、今はとにかく吐き出させよう、落ち着くまで吐き出させて、自分の意見やアドバイスはそのあとにしよう、そう思って話を聴いた。傾聴に徹していた。

ところが、聴いていると驚くことがあった。

それは

『今まで指導・注意してきたことが何一つ響いていなかった』

ということだ。

普段、若手社員に指導してくれる中堅社員の女の子がいる。

以前、若手社員が仕事中に大声で恋バナをしていたことがあり、そのことを注意したのだが、若手社員はこう感じたらしい。

「恋バナはしちゃいけないんだ」

中堅社員の女の子は、恋バナをしてはいけないと伝えたかったのではない。仕事中はTPOをわきまえて行動しろと伝えたかったのだ。

他にも、「生ごみをゴミ箱に直接捨ててはいけない」「お茶出しをなるべくするように」などなど、彼女が注意してきたことは全て

「細かすぎる」

としか感じていなかったそうだ。

一度、中堅社員の女の子が「昼休みは寝ている人もいるのだから、そんな大きな声で話すな」と注意したことがある。言われた若手社員は「自由時間なのになんで?」と思ったそうだ。そのあと、きつく言い過ぎたと思った中堅社員の女の子が若手社員に謝りにいったそうだ。謝られた若手社員は「なんで謝るの?謝るなら注意するな」と思ったそうだ。

こんなにも、人の心がお互いに通じないことがあるのだろうか。

こんな狭い社会、人数の少ない世界で、心の通じる人と通じない人がハッキリ分かれてしまっている。

そして、とどめにこんなことも言われた。

「今さら変われと言われても、無理です」

「入社した時に教えてほしかったです!」


怒りの感情だった。

自分たち中堅社員からしたら、若手社員は研修制度も充実していて、外部の指導も受けている。もちろん学校も卒業しているし、“社会人”だと思って接してきていたのだ。

ところが、彼女たちは社会人ではなかったのだ。

教えてもらわないと分からない

話しかけてもらわないと話さない

教えても嫌だと思ったら嫌

話しかけてもつまらなかったらつまらないを態度に出す

自分たちがそんな態度をするから話しかけないのに、それに対しては不平不満を言う

好きだと思ったら、その人のことは絶対的に信頼する


そう、赤ちゃんだったのだ。

わたしたちは赤ちゃんと働いていたのだ。


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そのことに気づいたら、若手社員には可哀想なことをしてきたなと思えた。

だって何もわからないし、何もできない状態だったのに放置されていたということだから。社会人だ、大人だと思って接してきた、こちらが間違っていたのだ。

また、この話をきいたとき2つ嬉しいと思った。

1つは、「入社3年目の子たちも会社の雰囲気が悪いと感じており、変えようと思っていたこと」

もう1つは「悩みを相談してくれたこと」


今までが間違っていたのだ。

ただそれだけ。

間違っていたのだから、これからは正しいことをすればいい。

中堅社員も、若手社員も、今がおかしいと感じていて、変えたいと思っているのだから。

赤ちゃんに期待してはいけない。

大人のわたしたちがちゃんと面倒をみてあげなければ。


まさか自分の子どもを産む前に子育てすることになるとは。

さて、まずは声掛けからはじめようかな。


牧真姫子🍙エッセイスト(@makicome1986


数多ある文章の海から、 みつけてくれて、ありがとうございます。 現在、不定期更新・お休み中です。 鹿児島から愛を届けています。