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「バベットの晩餐会」/年をとる、がこんなに素敵なことだなんて

「バベットの晩餐会」を20数年ぶりにみた。

「バベットの晩餐会」は1987年に制作されたデンマークの映画。その年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した。

デンマークの片田舎に暮らすメイドのバベットは、ある日宝くじで大金を手にする。革命によって家族を殺され、以前フランスからデンマークに逃げてきた彼女は、メイドとして雇ってくれた姉妹のために、そのお金で素晴らしいディナーを用意しようと考え・・・というのが主なストーリー。

当時高校生だった私がこの映画に魅かれた理由はシンプルで、元々パリの一流店で料理長だったバベットが、ディナーのために創り出す、豪華絢爛な料理。
外食といえばファミレスや焼肉だった当時の私には、映画に登場する「ウミガメのスープ」や「ウズラのフォアグラ詰め、石棺風」といった、フランス料理のメニューが眩しくみえて、ワクワクした。

ただ20数年振りにこの映画をみた今は、料理はもちろん、バベットが、デンマークでの質素な暮らしで満ち足りていることに、胸が熱くなった。

思えば最初にこの映画をみた時、バベットが当選した宝くじを全額料理に使ってしまうことに、どこか違和感を感じていた。何も全部使うことないのに、心のどこかでそんな風に思っていた。
ただ40歳になった今ならわかる。自分の恩人を心ゆくまでもてなして喜んでもらうことが、どれほどバベットを幸福にしたのかということを。

そして何より、気づいたことがある。高校生の時にみた「バベットの晩餐会」は「美味しそうな料理がふんだんに出てくる映画」だった。それを40歳の私は「人の幸せについて考えさせられる映画」と感じられるようになった。

重ねた月日の分、色々なことが分かるようになった。過去にみた作品の数々が走馬燈のように駆け巡り、今みたらどう思うだろう?というアイディアにわくわくした。何より、また20数年後、この作品を観返したら、更に別の魅力に気づけるかもしれない、ということに興奮した。

年をとるって素敵なことだ。そう思う。

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