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(91)久方のパリ その3 Happy Birthday

11月8日は満月で、しかも皆既月食
日本で皆既月食の最中に惑星食(今回は月の後ろに天王星が入る天王星食)が起こったのは442年振り、
次に皆既月食と惑星食(土星食)が同時に起きるのを日本で観られるのは322年後だそうです。

今年、このロマンあふれる天体ショーが繰り広げられた11月8日は、私にはちょっと別の意味があります。
奇遇なことに両親の結婚記念日であり、夫の誕生日でもあるのです。

月食が重なったからといって、なにかミラクルのようなことが起きる気がするでもなく、願うでもなく、
健康で、日々食事を美味しくいただけて、周りに素敵な方達がいてくれているという感謝の気持ちで、既に、静かに満ち足りていました。
母には電話を入れましたが、普段とほぼ変わらず過ぎた一日でした。

私自身の誕生日は10月初めで一か月ほど前だったのですが、パリ出張の最終日で、当日の夜は飛行機の中というスケジュール。
これまた感慨に浸る余裕もなく慌ただしく一日が終わってしまった気がします。

パリ滞在中に、久しぶりに友人達とそれぞれ素敵な時間を持てたので、それが既にプレゼントをいただいたようなものだったのですが、作曲家志望のタクロー君との5年振りの再会は、それこそミラクルが起きたような、感動的な時間でした。

タクロー君とは、10年程前、彼がまだ大学生だった頃、私が出店していた福岡のクリスマスマーケットで知り合いました。
当時パリに音楽留学を希望していた彼とその場で長話、彼の透明感のあるピュアな人柄に魅かれ、ずっと応援していました。
SNSで繋がってはいましたが、コロナ禍もあって、彼と会うのは前回シャンゼリゼ劇場で一緒にピアノ・コンサートに行って以来。

彼の家のWi-Fiのトラブルで当初の予定が変更になり、帰国前夜で時間もなく、苦肉の策で、なんとリア・スタンの仕事場に一緒に行ってもらうことになりました。そこで、私の誕生日が数日後という話から、音楽好きのリアの前でタクロー君がHappy Birthday即興ジャズ・アレンジで弾いてくれたのです。

プロの音楽家に自分の為にピアノを弾いてもらえるなんて、考えたら初めての経験でした。
彼とも夜中近くまで色々語り合えて、翌日飛行機に乗るのでなければ、時間など気にせず話していたかったくらい。

自分が「作り手」ではなく、「伝え手」であるからなのでしょうか。
ものを作る人の話を聞くのは本当に興味深く楽しい。
そういえば、リアの旦那様のフェルナンが制作への思いを語ってくれた時の顔が今も忘れられません。
「命ある限り作り続けたい。なぜなら『作る』ことは『美しい』から」
紆余曲折あって、その境地に辿り着いたフェルナンのこの言葉が心に響きました。
どうしてもそのフェルナンの職人としての矜持をリア・スタンのファンの方に伝えたくて、紹介冊子のリアとフェルナンの写真と同じ頁の「巻末の言葉」に選んだほどです。
タクロー君にとっても、ベストの形での発露があることを願ってやみません。

本日のおまけ~ちょっとした幸せ (88)タクロー君の奏でる音

遅まきながら、最近藤井風君のことを知り、ここ一週間Youtubeで聴いているのですが、風君が「動」とすると、タクロー君の奏でる音には「静」の美しさがあります。 この「まどみちお」の詞に即興であてたメロディに、私はどれほど癒されたでしょう。
是非この曲は完成させてね、と話しました。

以下彼のインスタより
https://www.instagram.com/p/BQN5GikFBNl/?igshid=MDJmNzVkMjY%3D&fbclid=IwAR1gNYpN3H6A7XvoXxzo8pg0WbToGebDoQwOHcNsUl6V9YlMxeSX3LPSEQM

聖子ちゃんも彼の世界観でアレンジされると、こんな風にちょっと乾いた感じ。

自分を極めていくこと、風君の歌詞を借りて言えば、
「簡単じゃないかもね。でも難しくはない。
迷いながら探すの。それは皆同じ」
ヨーロッパのどこかで、か、日本で、また会えるのを楽しみにしています!
https://www.instagram.com/p/BP0dO0MF0tm/?igshid=MDJmNzVkMjY%3D&fbclid=IwAR36cWqiTNhEhMbFgJLn3ogVEt7K22DIpTXrTYSLKWTI_BYQrsNCl4B_otc

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