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ミドサーワーママが『光る君へ』に沼った4つの理由

1週間がとても長く感じるほど夢中になっている大河ドラマ『光る君へ』。最近では、より深くドラマを楽しむため、公式ガイドブック、源氏物語、紫式部日記、小右記など片っ端から関連書籍を読みあさり、日曜日に備えています。

大河ドラマ「光る君へ」(2024年)。主人公は紫式部(吉高由里子)。 平安時代に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた女性。彼女は藤原道長(柄本佑)への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で、光源氏=光る君のストーリーを紡いでゆく。変わりゆく世を、変わらぬ愛を胸に懸命に生きた女性の物語。

NHK公式 大河ドラマ『光る君へ』

主人公・紫式部(まひろ)と藤原道長のラブストーリー要素が印象的ではありますが、ミステリー要素、お仕事ドラマ(出世競争)的要素、歴史的要素、そして権力批判の要素も大きな楽しみどころ。何度見ても発見がある、噛めば噛むほどおいしいストーリーなのです。

特に、青春時代に少女漫画をたっぷり摂取し、会社員となり、組織の酸いも甘いも一通り経験したミドサーの働く女性にオススメ!その魅力をまとめてみました。


少女漫画な設定とストーリー

身分が低く、地味で不器用で正義感の強いまひろ(紫式部)が、時の権力を握る右大臣の息子・道長と相思相愛に。しかしその恋は、身分の差や母親の死にまつわる悲劇など、さまざまな障害に阻まれる……。

こんな少女漫画な設定に、ときめかない女子はいないのではないでしょうか。

貧乏家庭で育った牧野つくしが、超金持ち名門高校に通う御曹司・道明寺 司と相思相愛に。しかしその恋は境遇の違いや道明寺の記憶喪失など、さまざまな障害に阻まれる……不朽の名作『花より男子』の設定をも彷彿とさせるのです。

ちなみに、道長と同僚の藤原公任(町田啓太)・藤原斉信(金田哲)・藤原行成(渡辺大知)の4人組は、視聴者からF4と呼ばれ、人気を集めています。

↓平安のF4の素敵ショットがたくさん

それだけではありません。実際の物語の中でも大河らしからぬ少女漫画的展開が続出。

運命的な2人の再会や、なんとももどかしいすれ違い、検非違使からまひろを救った際に腕をつかんだ道長が、お互いを意識するあまりはっとなって腕を離すシーンなど、終始胸キュンが止まりません~!

まさに出世競争ドラマ!『職場あるある』が満載

序盤は、天皇に毒を持ってまで政権を掌握しようとする右大臣・兼家の政治手腕ぶりが印象的。ですが、貴族たちの出世争いや組織内での立ち回りを見ていると、"現代の職場あるあると通じるぞ"と思う点も多々あり、これまた興味深いです。

例えば、花山天皇の叔父・藤原義徳が、右大臣(道長の父)一派を排除して、若者たちを味方に取り込もうとするシーン。義徳は、若者たちを酒宴に招き、女を侍らせて強引に懐柔しようとします。いまでいう、夜のお店に連れて行って若手からの人気を集めようとする昭和上司です。

一方、右大臣の長男で道長の兄・藤原道隆は漢詩の会を開催。若者たちが詠んだ漢詩を大いにほめたたえ、会の最後には「漢詩を通して君たちの思いを知った。それを叶えるべく力を尽くしたいから、一緒に帝を支えていこうぜ」と、かっこよく宣います。いまでいう、心理的安全性に留意し、1on1で聞くに徹する、令和上司ですね。

若者たちの答えは当然「信頼すべきは義徳ではなく道隆だ」となるのでした。さもありなん~!

ちなみに道隆は弟・道兼も上手に取り込んでいます。「君は気遣いができるから、父からいいように使われて疲れていることを知っているよ。何があっても、私は君を置いては行かない」などと声を掛け、道兼は号泣。

でも義徳のような昭和上司よりも、道隆のような令和上司の方が、正念場でとんでもない指示をしてきたり、エグい仕事をきれいな顔で上手に振ってきたりしませんか……?(笑)今後、道隆がどのように出世していくのか見物ですね~!

歴史・文学の知識があればもっと面白く

物語の中では源氏物語をモチーフにしたと思われるシーンも登場します。

例えば、雨の中、逃げた猫を追いかけるまひろが、偶然にも、平安のF4(藤原道長、公任、斉信、行成)が姫たちを品定めする会話を聞いてしまうという場面。

猫がきっかけで物語が動く展開は、源氏物語の中にも出てきます。猫が出ていったことで光源氏の正妻・女三宮を隠していた御簾が上がり、その姿が露に。光源氏のライバル・頭の中将の息子である柏木が、恋に落ちてしまうというシーンです。

公式ガイドブックで、大石静先生はこんなことをおっしゃっています。

『源氏物語』の内容を描くことはしませんが、想起させるシーンを随所にちりばめているので、そのあたりも、源氏物語に詳しい方には楽しんでいただけると思います。

雨の中、姫たちを品定めする場面は、源氏物語の「雨夜の品定め」から着想を得たのかなぁ……など、想像が膨らみますね。

それからさきの藤原道隆ですが、酒を飲みすぎて糖尿病で亡くなったという説があります。

だからなのか、ドラマの中でも、酒を嗜むシーンがこれでもかと出てくるんですよね。極めつけは、道隆が開いた漢詩の会のお題も『酒』なのです(義徳が酒宴を開いたこと知ってるよ、おなじ酒でも私は品良く行きますよ、と伝える意図もあったのかも)。

めっちゃ細かいけど、こういうめっちゃ細かい史実が垣間見えるシーンがほかにもちょこちょこ登場しています。歴史の大きな流れだけではない、芸の細かさが歴史ファンの心をくすぐるのかもしれません。

日テレ系ドラマ『知らなくていいコト』のファンならより楽しめる

私が最初に『光る君へ』に興味を持ったきっかけは、吉高由里子・柄本佑・大石静脚本という同じ座組で放映された日テレのドラマ『知らなくていいコト』が大好きだったこと。

政治家の不正から芸能人のスキャンダルまで、数々のスクープを世間に送り出す週刊誌”週刊イースト”。
壮絶な職場で日々スクープを狙う女記者・真壁ケイトは自信家ながらも母譲りの人ウケのよさと人懐っこさで仕事も恋も絶好調の毎日を送っていた。そんなある日……。シングルマザーとしてケイトを育て上げた母が急死。
=中略=
母が残したある遺品から事態は急変!なんとケイトの父親は、かつて世間を騒がせた殺人犯だった……。ケイトが出生の謎と父の秘密に迫る時、そこには人生最大の『知らなくていいコト』が隠されていた……!
=中略=
軽妙なタッチでリアルな世界観を描く大石静のオリジナル脚本を、着実にキャリアを積んできた人気女優・吉高由里子が新境地で臨むお仕事系ヒューマンドラマ!!

このドラマ、元カレで最終的に不倫相手となってしまうカメラマン・尾高とのラブストーリーも展開され、尾高役・柄本佑さんの色っぽい演技が大変話題になりました。

ちなみに公式ガイドブックに掲載されている吉高さん・柄本さんへのインタビューでも、この件が言及されています。

吉高「(大石静先生は)佑くんのことが大好きで、「こんな佑くんの顔、見てみたいっ!」と思って書いてるんじゃないかな(笑)」
柄本「以前、大石さんの脚本で吉高さんと共演した民放のドラマのときもそうだけど、俺にどないせいっちゅうんじゃ!というト書きを書いてくるんだよ」
吉高「「持ってる色気をすべて出して」とか(笑)」
柄本「「なんとも色っぽい」とか(笑)」

不倫という報われないラブストーリー、出生の秘密にまつわるミステリー、出版社という組織内の諸々や仕事の面白さ・やるせなさ・上司と部下の関係、社会のさまざまな問題をえぐる編集部のジャーナリズム的視点。。。

柄本さんの色っぽい演技だけでなく、そういう要素も『光る君へ』と通じる部分があり、個人的にはデジャヴ感が半端ないです。

ちなみに、『知らなくていいコト』でケイトの上司・週刊イースト編集長役だった佐々木蔵之介さんも、本作に登場しています。

まひろ(紫式部)の父・藤原為時とは職場の同僚で同年配の友人どうし。世知にたけ、鷹揚(おうよう)な性格の男性。まひろのことは幼いころから知っており、よい話し相手となって温かく見守る。

『知らなくていいコト』では、ケイトを陰ながら支え、懐深く見守る編集長役を演じましたが、今回の宣孝役も、その立ち位置が似ているような……?

こんなマニアックな楽しみ方も、ありますよ。

美しい色彩とイケメンとユーモアに元気付けられる

これまでの大河のように、派手な戦闘シーンはないけれど、平安時代の雅な雰囲気を存分に味わえる本作。

大和の美しい色を使った装束や装飾を観ているだけでも癒されますし、F4をはじめとする麗しき人たちも目の保養になります。

今回は芸人さんやタレントさんたちの起用も多いような?ロバート秋山さん演じる藤原実資やファーストサマーウイカさん演じる清少納言など、魅力的なキャラクターも見所です。クスッと笑えるシーンもふんだんに散りばめられています。

いまからでも遅くない、まだ観ていないよと言う方がもしいれば、ぜひぜひご覧ください~!



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