ムムリク問題_追記
かつてラクーアにあったムーミンカフェで
開催された「夜の読書会」のメモが出てきたので
ムムリク問題の追記をば。
新版『ムーミン谷の夏まつり』6章で
ちびのミイが歌う「すべてちっちゃな
生きものは しっぽにリボンをむすんでる」
という歌の中の
「ムムリクの家のまわりには
赤いチューリップがゆーらゆら」について。
ムムリクといえば、スナフキンの
スウェーデン語名であるSnusmumrikが
思い浮かぶ。Mumrikは元々は
「変わり者で、嫌な奴」とか
「無礼で乱暴で粗雑な愚かな男」
という意味がある。
Snusは「嗅ぎタバコ」だが、Snusmumrik
という言葉は辞書的には「薄汚れたジジイ」
の意味になる。
しかし、これは辞書的な意味であって
Toveは悪い意味では使っていないのではないか。
スナフキンのモデルはToveの元彼である
アトス・ヴィルタネンで、この人がまた、
こざっぱりとした格好では全くなかった。
特に帽子はヨレヨレのものを大事に被っていた。
そして帽子の色は緑。
スナフキンの帽子はアトスの帽子…と考えると
Snusmumrikは親しみをこめた表現
なのではないかと。
そして
Atos - en vänbok という本に収録されている
Toveの文章にこんな記述がある。
『ムーミン谷の彗星』で描かれている、
「その古帽子を新しくしたら?」と言われて
怯えるスナフキンそっくりだ。
また、"Muminvärlden och verkligheten"
というヴィジュアル本には
Toveの家族がアトスの帽子を
「カビでできているカビカビ帽子」
と呼んでいたエピソードも収録されている。
前述のAtos追悼本に収録されている
作家・ジャーナリストのGustaf Widénの
エッセイにこんな記述がある。
”アトスの墓碑はオーランド諸島(アトスの故郷)の
御影石にヴィクトル・ヤンソン(=トーベの父)
制作のブロンズ像で装飾されている。
これはトーベからの最後の「はなむけ」である。
ふたりの恋愛関係は解消されてしまっていたが
友情が途絶えることはなかったのだ”
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