ぼくの選んだ「2020年ボカロ10選」選評

↓2020年上期ボカロ10選の記事です。


まきなLv39です。2020年も本日で終わりですね。
今年はボカロ界隈にとっては刺激のある年ではなかったでしょうか。新人Pの活躍(柊旋風も含めて)、プロセカによる新規リスナーの流入、そしてニコ動が主催となった超大型イベント「ボカコレ」等々。
また狭義の意味でのVOCALOIDという世界に、歌声合成ソフト界隈も含めた広義の意味での「ボカロ」が確立していった一年ではなかったかなと思います。
(歌声合成ソフト界隈を定義する際に中心となるのはやはり初音ミクであり、初音ミク≒ボカロ、であることから、新たな定義が確立するまではこの界隈を指す言葉として「ボカロ」という言葉が使われるのだろうなと思います。それだけ「ボカロ」が成し遂げた功績は大きいものであります。但し、当の初音ミク自身がボカロ以外の存在にもなっているので定義としてはちょっと微妙なところですが。)

閑話休題。
文頭でも述べた通り、今年は新人や若手のボカロPさんたちが強かったなというイメージでした。しかしながら、有名Pさんたちはそれ以上に強かった。それを確信できた1年でもありました。
長く一線で活躍できるということは、流行が変わっても通用できる、またはすぐに流行に追いつけるほどの高いスキルを持っているということがまず挙げられるでしょう。やはり有名Pが有名Pたる所以があるのです。

なんか真面目に書いてしまいましたが、以下は半分ノリで書いていきたいと思います。

■今回のまきなLv39の選考基準
・流行モノかどうかは基準にしてません。
・新人や若手といったパーソナルな属性への加点はありません。
・全体的な完成度の高さも勿論ですが、その中でも何らかの完成度が突出して高い(作編曲や歌詞、MV等)と感じたものの評価が高いです。
・ミク加点があります。ミクのかわいさが満ち溢れているほど加点が爆上げされます。(逆を言えば、ミク曲でないにも関わらず10選に入ってる曲はマジですごいです。今回は1曲しか入ってないですけど…)

という感じで悩んだ結果、以下の10曲となりました。
では10位から順に追っていきましょう!


10位:秋の未確認生物

僅か1分間の芸術。恐ろしや。
1分間の間にこれでもかというほどの言葉遊びを詰め込み、キャッチーなリズムに合わせて耳に叩きつけてくるさまがとても気持ちいいです。
何より1分なので好きなだけ、何回でも聞けてしまうのがミソかなと思います。ネタ寄りの曲って展開が長いとだれがちですが、1分なのでそれもなし。(逆に1分で満足できるようにまとめるって相当難しいので子牛さんの技術スゴイ!と思います…)
サーモンサーモン!


9位:Brand New Day

改めて、第1回プロセカNEXT公募採用おめでとうございます!!
ここからはずっとミクのターンです。
ハピコアってボカロの声、特にミクとの相性が抜群だと前々から思っていたんですが供給が少ないんですよね…というところにドンピシャに来ましたねコレって感じです。第1回プロセカNEXTの応募曲の中でも頭1つか2つ飛び抜けた完成度がありました。(ぼくは選ばれるとしたらこの曲か、左右無さんの「トワレポート」のどれかかなと思ってました。完成度も勿論なのですが、音ゲーを意識したつくりと、あとプロセカに入ってないジャンルでもあったので。)
キラキラ感と疾走感を両立させている細やかな音作りも、自分が曲を作る際の参考になりそうだなと。こういった曲が作りたいんや、ぼくは。
みんなもっとミク×ハピコアを生み出してください。ぼくが喜びます。
あと最近の流行曲はダウナー系とかアウトロー系とかそういうのばかりなので、こういう曲がもっと流行れや!!


8位:ラペペペ

正直、天才かと思いました…すげえよ…
フランス語と日本語を交ぜて言葉遊びするとかレベル高すぎませんか…???どうやったらこんな歌詞書けるんですか…??????
お洒落な曲調に合わせた言葉を追いかけるうちに、あっという間におフランスへ没入していく、今年随一のオシャンティー曲だと思います。
全人類は拝聴したほうが良い。


7位:w/o U

r-906さんの曲では「三日月ステップ」を推される方が多かったですが、ぼくはこちらを推します。
この曲を一言で語るなら、シンプルを突き詰めた芸術なのかなと。たったこれだけの音で世界が作れるのかと。1つ1つの音が生きていて、各々がしっかりと役割を果たして、空間を作り上げている。そこに重なる、透明感のあるミクの声。もはや芸術です。シンプルさを際立たせる動画もただただ美しい。3:14からの展開は鳥肌立ちます…夜に酔いましょう…


6位:スパイラル・デイズ

2020年のマジミラ公募準グランプリ作品。
とりあえず全人類は1回再生してからここ戻ってきて。
何度聴いても感動のフィナーレによるスタンディングオベーション不可避。
マジミラの王道たるHand in Handの系譜だと思います。ほんとマジミラ感があるので来年はライブのセトリに入れてくれてもいいんですよ!!運営!!見てくれ!!
と、感情が先走りましたが曲の完成度も非常に高いなと思います。繊細な音をうまく配置して、細やかに盛り上がりをコントロールされているなと。ライブで流れたら「ここで盛り上がるんだろうな!」というのが凄く伝わってくるので、そういったこともしっかり計算して作られてるのかなと感じました。あとミクの声が最高なので。とても最高なので。全人類はここでもう一度再生する。


5位:オーネヘルツ

やっぱりこのユニットは天才ですよ。
天才ぶりは「テオ」と「グリーンライツ・セレナーデ」で十分すぎるほど証明してますがこれからももっと証明し続けていただきたいです。マジミラ2019はどちらもセトリに採用されてて最高でしたね…
なんか天才のバーゲンセールしてる感もありますが、実際スゴイ人ばかりなので仕方ないんです。
この曲の内容といえば、ダークな雰囲気で、かつガンガン攻めてる曲調なのにエモさも同居していて何というか有名人ばっかり住んでるマンションみたいなプレミア感。
ごてごてに盛りながら、またそれでいてすっきり抜けるような後味が堪らないんですよね。何の話をしてるんだと思うでしょうがぼくの語彙力では適切な表現が見当たらないので勘弁してくださえ親分。


4位:ステラ

帰ってきたじんさん。プロセカで1番好きな曲ですね!
この曲の何が凄いかといえば。王道たるバンドサウンドで、かつ奇をてらわない王道の構成で、さらに今の流行に真っ向から立ち向かう5分半近くの長さにも関わらず、曲が終わってしまうのが惜しくなるほど聴き込んでしまう深い作り込みではないでしょうか。剛速球ストレートでしっかり三振キメられるのが、さすがじんさんかなと思います。正直、今のボカロ界隈の流行を考えるとかなりの縛りプレイじゃないかなと…。
あと歌詞もストレートで凄く良いですね。「今日を諦めなかった故の物語」たゆまぬ努力のさまをこれほど美しく言い換えられるのかと…いやはや美しい…。


3位:ネコに風船

ここから異次元の領域。まずは最古参Pの1人であるOSTERさん。
OSTERさんってPで活動されてるときは流行ガン無視で自分の好きな曲を作ってるイメージがあるんですが、同時に圧倒的ともいえる完成度で鼓膜をぶん殴ってくるので注意が必要です。注意しても避けられないんですけどね!
曲の完成度を高めたいと思っているPの皆さんは、まずOSTERさんをチェックするといいと思いますよ…作曲配信とかされてますので。Dominoで。Dominoで????は??????意味わかんないんですけど???????Dominoは最強DAWだった…????????????
完成度についてもう少し詳しく掘り下げると、他の追随を許さないほどのボカロの調声力を持ちながら、変態コード進行を組み上げてかつそのコード進行を違和感なく昇華させる構築力もあり、超強力なブラスサウンドを叩き込みながら、リスナーを飽きさせない展開にもしっかりこだわりつつ、歌詞の言葉選びのセンスもあって、お洒落な動画まで作れちゃって、それでいて時として下ネタが満載だったり、あと曲の宣伝よりもネタツイの方がバズってしまったり…なんか「ぼくの考えた最強ロボット」みたいな性能ですね!!!
そんなOSTERさんの53万パワーが余すところなくつぎ込まれたのがこの曲かなと。とりあえず再生しとけ、絶対に損はしないぞ。この曲は5分あるけどOSTERファンなら20分強までは問題なく耐えられるはずだ…!!
コード進行を捻る方は結構いらっしゃるイメージなんですが、変態コード進行を違和感なく、しっかりと説得力をもった展開に作り込めるのは、やはりOSTERさんならではだなあと。ここまでやってこそコード進行は生きると思います。
ぼくの中では2020年かわいいミクうた圧倒的ナンバーワン!!!!


2位:十年越しのラストピース

ぼくを泣かせた戦犯その1。ネコに風船と位置づけで悩んだんですが、涙の数だけ上回った…
ミクの声とピアノの音だけでごはん3杯行けますよ!!これがピアノだよ!!これだけでも優勝なのにラスサビ後のアウトロの展開ッッッッッッッッ!!!!!2人のいちゃつきタイムじゃないですかいいぞ!!!!!!!!(全人類はまたしてもここで再生してしまう)
ピアノだけでここまで聴かせてくれる曲って最近では珍しいのでは…世の中リリースカットピアノが流行ってますけども。
あと単純な話ですが、美しい曲ってそもそもの技量が高くないと生み出せないですよね。ごまかしがきかないので…。この曲はそれを見事に体現しているのかなと。
そしてこの美しい曲を引き立たせる藍瀬さんの動画にも注目。曲に合わせた繊細なつくりになっていて、曲と合わせて見ると感動が倍増の倍増です…尊い。


1位:愛されなくても君がいる

マジミラ2020テーマソングにしてぼくを泣かせた戦犯その2。
今の今まで「全人類は再生しろ」だの何だのおススメしてきましたが、この曲に関しては敢えておススメはしません。何故なら万人にクリティカルヒットする曲ではないからです。ではなぜこの曲を1位に持ってきたのか。それはこの曲が初音ミク、ひいてはミクを中心とするボカロ文化に深くかかわる曲だからです。つまり、ボカロに深く興味を抱いていなかったり、ボカロのリスナー歴が浅い人にはあまり刺さらないと思います。唐突に「愛されなくてもいいよ」って出てきても伝わらないんじゃないですかね…。「?」な感想で終わったり、「ふーん」で流されてもおかしくないのではないかなと。ぼくですか?こちとら2007年8月31日から13年間ミク厨してるんだぞ!!刺さらないわけないだろ!!!!2位までを100点満点で採点するとすると、この曲は3939不可説不可説転点くらいあります。つまりぶっちぎりの優勝。
以下の話は別記事「初音ミク曲の歴史」で記載しようと思ってたんですがあちらがストップしてるのでこちらで…(すみません。。
曲とは関係のないテクノロジー的な話になりますが、ガートナー社が提唱した「ハイプ・サイクル」と呼ばれる成長曲線があります。

歌声合成ソフト界隈をこの指標に照らし合わせると、「千本桜」のあたりが「流行期」であり、今は「安定期」に入ってきた頃合いではないでしょうか。いろいろな後続のソフトも出てきてますが、やはり需要あってこそのものだと思いますので。オワコンじゃねーよ!!千本桜の盛り上がりが異常なだけだったんだよ!!初音ミク、ひいてはVOCALOIDの成功が今につながっているんでしょうね。
で、話が戻りますがこの曲がぶっ刺さるには「黎明期」から「流行期」にかけての熱狂と、今の界隈との比較が必要ではないかなと思います。今もまた少しずつ盛り上がってきていると感じますが、当時の熱狂とはまた違ったものです。名だたる有名Pたちがどんどんと新曲を上げ、それに「うおーーーーーすっげーーーーーー!!!!」と一体化した空間。そこから長い時間が過ぎ去り、去る人もいればまた新しく参入する人も増える。その中で紡がれてきた歴史が歌詞の中にもちょこちょこと登場してくるので、ぐっとくるものがありますね。
この曲は、初音ミクの定義や初音ミクへの想いもそれに合わせて多様化し、誰も正確に「初音ミク」を語ることができなくなった今だからこそ生まれた歌であるのかなと。「愛されなくてもいいよ」という一見ネガティブにも捉えられる歌詞に込められた、今の時代に沿った愛のカタチの表現であるなと。ピノキオピーさんの愛をこれでもかというほど感じる曲でした。
この曲に関して、とても共感した記事がありますのでそちらも是非合わせてごらんください。


■あとがき

ほんとは色々と入れたかったんですよね…同じピノキオピーさんだと「ラヴィット」とか。あとよたばいとさんの「バッド・ゲイザー」とか、左右無さんの「ラストアクター」とか、Osanziさんの「LiFE」とか、Ftyさんの「躍動ビートステップ」とか、Orangestarさんの「Henceforth」とか、あと例の腱鞘炎とか。全人類は耳の穴かっぽじって全部拝聴しろ。

自身史上最長の選評となりました。2回目だけどね!!長いな!!駄文長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました!!!

↓10選マイリスです。


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