私は本当に「コスプレイヤー」なのだろうか。

ボカロ丼のホームTL限定で喋ったことを加筆してまとめておきました。自分用みたいなもんだと思って、全ての文末に知らんけど。が着くと思って読んでください。

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2018年4月27日〜28日。ニコニコ超会議に行った。

1日目はVOCALOIDのマストドン、ボカロ丼のサークルで売り子。2日目はこまつさんと合流してFukaseとOliverでうろついた。

1日目が終わった後、2日目終了後に同日開催のM3の打ち上げを丼メンバーでやると聞き、こまつさんと一緒に行かせていただいた。
私はもう5年間VOCALOIDのコスプレをしているが、コスプレイヤーかカメラマン以外の人としっかり接したのはこれが初めてだった。同様に、殆どの楽師さん達もコスプレイヤーとしっかり話すのは初めてだった。

イベントに行けば必ずコスプレイヤーはいるし、サークルでCDを出している方もいる。スペース前でお話をさせて頂く事こそあれ、込み入った話などした事は無い。お互いにどういった活動をしているのか、特にコスプレイヤーに関しては未知の領域だったようで、とにかく色々聞かれた。その中で、私にとって「コスプレ」と「VOCALOID」って何だろうと改めて考えた。

コスプレ界隈というのは、とにかく不文律、暗黙のルールが多すぎる。これはコスプレ文化の成り立ちと、過去のコスプレイヤー達の行いによって追加されてきた部分が大きい。
他の創作活動をしている人達から見ればかなり異色だろうし、かなりとっつき辛いと思う。その辺はググればいくらでも詳しく出てくるので、気になる人は調べてください。
もっとも、そのルール達も、コスプレが割と一般的な趣味と創作活動になりつつある現在の状況には時代遅れだと、個人的には思う。
ただ○○をしてはいけない、というルールだけが後世に伝わってしまっている感は否めない。

コスプレイヤーの世界はなかなかに複雑だ。一応コスプレイヤーである私が最も強く感じるのは、
「目立つな」「人と違う事をするな」
という空気。そして、何故か多くのコスプレイヤーは「コスプレイヤーは絵師や楽師から嫌われていて、カースト最下位の立場である」と思い込んでいる。

まず、「目立つな」という意見。確かにコスプレイヤーは良くも悪くも目立つ。イベントでコスプレイヤーが通行の妨げになるような場所で固まって騒いでいれば確かに邪魔だろうし、ロケなんかしようもんなら一般客は驚くだろう。
でも、それってコスプレイヤーに限った事だろうか。一般参加者や一般客の中にも、邪魔になるところで固まって騒いだり、立ち入り禁止の場所に踏み込む人はいる。

世の中には結構色んな人がいる。「普通」の人から見ればちょっと愉快すぎる服を普段から着ている人、派手髪の人、そもそも普段からキャラクターの格好をして生活している人。数は少ないだろうが、こういう人達が目立つ存在だという事に変わりはない。「コスプレイヤーは目立つから大人しくしろ」というのであれば、こういう人達はどうなるのか。

私はよくロケに行くが、事前に管理している団体や人に許可をいただき、当日は出来る限り通行の邪魔にならないようキメ顔をしながらも周りを常に確認しながら、細心の注意を払って必死で気を配りながら撮影をしている。
ロケに行ってみれば分かるが、大半の人は好意的だ。綺麗だねえ、凄いねえ、これ自分で作ったの?と興味津々に聞いてくれるご婦人や、撮った写真を見せてと言ってくれるカメラを下げたご老人もいる。うちの娘もやってるの。頑張ってねと言ってくれる人もいる。

見ているだけの人中には快く思っていない人もいるのは理解している。でもそもそもその場所はその人達のものではないし、「コスプレで外に出てはいけない」という法律は無いので、目を瞑っていただくしかない。そういう人は多分、前述の目立つ人たちを見かけた時や、公園なんかで楽器やダンスの練習をしている人を見かけたとしても、きっと同じ事を思う。

コスプレは版権的にグレーゾーンだから大人しくこっそりしていろという意見もある。でもこれもコスプレに限った話ではない。絵師さんだってMMDモデラーだって、とにかく二次創作であれば全て同じ事だ。

そして、私が最も気に食わないのは、「人と違う事をするな」。これは言い換えれば「一般人が有名人気取りで調子に乗るな」という意味でもある。コスプレイヤーや、コスプレイヤーが気に食わない人達がよく言っているのはこんなような事。

・踊ってみた→素人がヘタクソな踊りをしているだけで見苦しい
・ステージパフォーマンス→有名人気取りでキャーキャー言われたいだけでウザい
・キャラクターカフェ(非営利)→有名人気取りで略
・サークル売り子→調子に乗っている
・写真集制作、頒布→必要無いものをつくろうとするな、お前の写真集なんか欲しくない

知らんがなとしか言いようがない。見たくないならサムネの時点で見なければいいし、鬱陶しければ行かなければいい。要らないなら買わなければいい。各々が楽しい事をしているだけなのに外野がどうこう言う事ではない。

コスプレイヤーは他の創作活動をする人達に比べて、コスプレイヤー同士が直接関わる事が圧倒的に多い。1人あたりの人間関係のキャパシティには限界があるので、コスプレイヤーはよく会うコスプレイヤー同士でコミュニティを形成する。
ことVOCALOIDというジャンルにおいては、自分達の活動の基盤となる曲を作る人達、絵を描く人たちは雲の上の存在であり、「コスプレイヤーは嫌われている」という謎の刷り込みにより関わろうともしない人が多い。

コスプレ界隈の閉鎖的な空気と、出る杭は全力で叩き折る風潮に嫌気がさし、17年の9月にマジミラが終わって以降少しコスプレから離れ、同時にVOCALOIDとも少し距離を置き、別の事をしていた。素直に自分の創作物を発信し、受け入れてもらえる事が嬉しかったし、久しぶりに新鮮な空気を吸えたような気がする。
18年に入ってからはがくぽさんの10周年がどうしても祝いたくて写真集の撮影は開始したものの、前ほどのコスプレたのしい!という気持ちはなく、ただただがくぽさんが好きという気持ちのみでコスプレをしていた。そうしたらますますがくぽさんが愛しくなってしまって、今ではすっかりがくぽさんに対して日々怪しいツイートをするだけのアカウントになってしまった。

そんな感じで参加した4月の超会議と、その打ち上げ。
コスプレイヤー本当に凄いと思ってる。というなかなか普段は聞けないコスプレ界隈の外からの素直な賞賛と、コスプレイヤーって何してるの?という素直な疑問、そして、何でそんなにビビってるの?もっと堂々として出てこればいいのに。という純粋な意見を、少なくはない割合の人から聞くことが出来た。

それは、ずっとビビりながら活動していた私にとって、とてつもない衝撃だった。

私がVOCALOIDというジャンルに本格的に腰を据えてコスプレ活動を始めて、そろそろ4年になろうとしている。その間、私は多分、純粋な「コスプレイヤー」ではないんだろうなというのは常に感じている。

コスプレイヤーとは、その名の通りコスプレをする人の事である。「コスプレ」を趣味として楽しむ人達の事であり、活動ジャンルや扮するキャラクターは重要ではない。
「コスプレ」をして撮影やイベントを楽しむ事を趣味とする人達をコスプレイヤーと言うのであれば、私の趣味は「コスプレ」ではなく「VOCALOID」だ。VOCALOIDに関わる事が何よりの楽しみと喜びである。VOCALOIDに関わる為に自分に一番向いていたのがコスプレだったと言うだけの話。

そうか、もっと好き勝手すればいいんだ。
私は「コスプレイヤー」じゃないから。

打ち上げに参加して、「コスプレイヤー」に対する外部の人達の疑問に答えながら思った。

4年近くずっとモヤモヤしていた事に結論が出た事で、不思議な事にまたコスプレが楽しくなってきた。
それは、私がしているのは「コスプレ」ではなくて、「VOCALOIDの創作活動」だという方向に意識が変わったから。皮肉なものである。

そして今、打ち上げに参加していた方の一人が運営する企画にお声がけいただき、曲の動画に写真を使っていただく話を進めている。

VOCALOIDの創作活動がしたい私にとって、これ以上に嬉しい事はない。そして同時に、これ以上に「コスプレイヤー」が目立つ事をよく思わない人達の反感を買う行為も無いだろう。

きっと一部の人は最高に面白がるし、調子に乗っているとか有名ぶっているとか、散々言われるかもしれない事も分かっている。でも私がやりたいからやる。それは、私の趣味が「コスプレ」ではなく「VOCALOID」だから。VOCALOIDに関わる者として、VOCALOIDに生かされている者として一番尊敬しているのは、VOCALOIDをVOCALOIDたらしめる、オリジナル曲を作る人達であり、一番大切にしたいのがオリジナル曲だから。

意識の上ではコスプレイヤーではなくても、外野から見れば私は紛れもなくコスプレイヤーである。日陰の存在を強要されている私達が、それに関わる事ができるのであれば、これ以上に嬉しい事は無い。

言いたい奴は言ってろ。一生日陰で愚図ってろ。
そんなつよいこころを持って、今後も常識は弁えた上で、私の楽しい事を勝手にやっていこうと思っています。

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