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自己肯定感のパラドクス

セルフエスティーム。

自己肯定感を持とう。

自分に自信を持って。

自分を大切に、自分のことを好きになろう。

よくいらっしゃる、満面の笑顔の自己啓発セミナーのトレーナー。僕もどちらかというと、自信がある人間ってわけではないし、どーでもいいことで悩んだり、考えすぎてしまったりします。いつでもポジティブで識の高い方々を目の前にすると、なんかすんません、意味もなく謝ってしまいます。

…よーく考えてみてください。

問題は、本当に自分に自信が持てないことなんだろうか?

問題は、自分のことが好きになれないことなんだろうか?

そして、その問題の解決は

現状の「逆」を実践することなのだろうか?

ここに自己肯定感の本質があると思います。

たとえば、仮に「あなたのことが好きなんです!」と、前からきになっていたあの子に告白されたとします。なんで? ってきっとあなたは思う。会話をした覚えも、それほどないし、なにしろ、こんな自分だしって。それで思い切って「なぜですか?」と問いかけたら、こんな答えが返ってきたとしたら。

「あ、ハイ、あなたを好きになると問題解決になるって言われたんで」

(・口・)

そのとき、あなたは問題解決の道具になります。ものすごくガッカリするはずです。何かの手段として、好きになってもらうなんて。なんだか急に、この関係がつまらなく感じられてくるでしょう。もし、これが自分が自分に対して起きたことなら、他でもない自分自身にがっかりしてしまうかもしれません。

同じようなことが、自己啓発だけでなく、こうすれば開運できますよ、こうすればお金が入ってきますよ、こうすれば引き寄せられちゃいますよ、こすれば幸せになりますよ、いたるところでくさるほど、くさってるほど提案されます。そのことに違和感を持ってふと立ち止まるあなた自身をもっと大切にしてほしいと思います。

もちろん、自分を信頼したり、自分を好きになるために、今までとちがった行動を選択してみたり、新しい一歩を踏み出すことは、素晴らしいことです。その一方で、やっぱりズレを感じるのは、答えが自分の外側にあるものだと思っていて。自分に欠けた何かを外の世界から手に入れるような在り方。欠けている、足りない、そんな欠乏感への対処として、自分の外側に何かを求めてスタートさせること。

そうじゃないんです。

もし、自分の内にすでにあった感性、ずっとあった感性を思い出したら……小さな頃、何の怖れも疑いも手放し、両手を拡げ、思いっきり、新しい世界に飛び込んでいったあなた自身。他でもない、自分を思い出すということ。


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