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帰りの電車内は、隣り合う者同士の腕が触れそうになる程度には満員だった。

定年退職間際の男性は、途中駅から隣に立っている。
正面の窓に、こちらのスマートフォンの画面を覗き込んでいるのが映っていた。咳払いを2,3度しても意に介さず、覗き込んでいた。

嫌だな。

こちらのプライバシーをなんとも思わないのか、隣のくそおやじは時折目を擦りつつ、他愛のないニュースを開いたままの画面をまだ覗き込み続けていた。

窓に映るおやじを睨みつつ咳払いをさらに何度かすると、窓を介して目が合った。ばつが悪そうに反対側の斜め上に目を反らしたことも、窓で確認した。

「いたたたたた…」

電車が駅に到着すると、誤魔化すように目を擦りつつ、くそおやじは降りていった。

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