教育

「性教育」の提案 後編

前回は「年頃の娘に父親からコンドームを渡すか、否か」という問いに対しての、皆さんの反応をまとめました。大半の方が否定的であり、私もそのつもりはないことはお伝えしました。
ただ同時に、性教育に関しては保守的だということが分かりました。

今回はなぜそのような問いかけをしたかも含め、その話の中で出てきた「性教育と現場との乖離」について、何が問題なのか考えていきたいと思います。

今までも「生命の神秘」としての“性”は教育の対象であり、今後もそうでしょう。
「このままでいいじゃん?」と思う方に考えて頂きたいのは、女性の社会進出が当たり前になり、今後も加速していく社会を思うと、果たしてそれで良いのか?ということです。

一昔前、「女性は家庭にいて、男性を支えるべきだ」という考えがありました。
それは現代にはそぐわなく、その点に置いて女性は自由を手にしました。人生においては進学するのか、就職するのか、結婚するのか、母親になるのか、キャリアアップするのか…。
どれかに絞れということではなく、これらを自分でマネジメントしなければならない、という時代になりました。これからの可能性がある分、女性は男性よりも管理が必要になると思います。

恋愛においてもそうです。自由恋愛です。“自由”は“野放し”とは違います。自分でルールを作り、管理することが求められます。社会には余ったSEXが存在しています。余ったSEXとは、子供を作るという行為とは異なる、快楽としての性交渉のことです。性も自由化されているのです。

そういった状況下で「不測の事態を避ける」という意味も含め、男性がコンドームを持っていない場合に「私、持ってるよ」と言えることが当たり前になるべきだと思います。
それに、そこだけ男性任せということにも違和感を覚えます。コンドームを持っているという行為によって男性側が引いてしまうのであれば、それは古い考えの持ち主です。コンドームがなければ「試合不成立」と言えるくらいでないといけないと思います。それが自由になったということです。

とはいえ、シラケさせたくないという思いもあることは分かりますし、「古い考えだ」と突き放すことが出来ない人の弱さ(業)もあると思います。そこに付け込むのが男のずるさです。

女性側の避妊をしないSEXの理由で耳にするのが「彼が嫌がるから」というものです。でも、これは彼が嫌がるということを理由にコンドームを付けないことを認めてしまっています。補完関係になってしまっているのです。
彼が嫌がるから避妊しないという立場は、自由恋愛においてはあなたの選択でもあることを意味します。毅然と「コンドーム付けないなら、しない」と言って良い時代が来ていると思います。

一方、その男性はどうでしょうか。一昔前の性交渉においては「質より量」、「男の価値はどれだけの女性を抱いたか」という価値観が存在していました。その価値観に合わせるように頑張っていた人もいたでしょう。
しかし、今は草食系男子という言葉にも代表されるようにSEXに期待しない男性が増えており、概ね「量」を求める男性は減少傾向だと思います。
男女の意識の変化が大きく、恋愛において対等の立場になった今日、力は相対化され、一生懸命に口説いてSEXをしようと思う男性よりも「俺はTENGAで良い」という人が増加しています。しかもそれは表明できる程、定着しています。男性側にも選択肢があり、自由の名に置いて選択した結果です。

そこで何が起こるかというと、余ったSEXを独占しようとする、ずる賢い男が出て来ます。モテる男はある種、ずる賢く、交渉に長けています。そういうモテる男が良いと思うのも女性の常です。モテる男性がモテ続けるということになり、交渉がうまい奴が(性)交渉の機会を得るのです。それは男女の立場が逆転しても同じです。
日本の結婚制度では一夫一婦制で、生命の神秘の”性”は一人の相手としか行えないことを踏まえると、余ったSEXは増えるでしょう。モテる人は依然として、量を求める傾向があります。
そこに何も知らない娘が数としてだけ存在したり、傷つくことは容認できません。
ならば、その余ったSEXの存在を認識させることが今後の性教育に置いては必要なのではないでしょうか。

これまでの話を整理します。
・今の性教育では不十分。
・知識経験のない娘たちを「性の最前線」に送り出すのは無防備過ぎる。
・親からコンドームを渡すことは適切ではない。
・女性と社会との接点が増えた今、女性もコンドームを持つという価値観が定着すべき。
・余ったSEXは存在し、今後増加していくだろう。


では、この事実をどこで教育すれば良いのでしょうか?学校教育では難しい。では家庭で…となると、そこまで踏み込んだ会話や干渉は今後の家族関係に影響を及ぼし兼ねません。

ここで提案。
ある時期(15歳)がきたら親から「言寿ぎ(ことほぎ)ケース」を渡すのはいかがでしょうか。
化粧ポーチのようなものに謎の四角いポケットが付いているというものです。そのポーチには何を入れても良いよという体で渡しながら、コンドームの携帯を促す、子供を大人として認めるセレモニーです。成人式の前の「性人式」とでも言いましょうか。
性において自分で管理する象徴としての「言寿ぎケース」。暗に伝える道具として「言寿ぎケース」。
言寿ぎとは字の通り「おめでたい」という意味です。
両親が言寿いだ結果が子供であるように、子供の幸を願う、親からプレゼントです。

定着すれば言寿ぎケース商戦勃発です。サンリオの言寿ぎケース、ココ・シャネルの言寿ぎケース、巨人軍の言寿ぎケースなど。何を渡すかはそれぞれです。

さぁ、皆さん、安心してどんどん言寿ぎましょう。言寿いで、言寿いで、言寿ぎまくりましょう。

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