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スタートアップ初期のデザイナーは将来的なスケールを考えられる人じゃないと後々負債が大爆発するよ、っていう話。

この記事はこれからスタートアップに1人目のデザイナーとしてジョインする予定のある人、もしくは現在進行系で1人でデザイン業務を担当しているデザイナー。そしてこれからメンバーとしてデザイナーを採用しようとしているスタートアップ企業の方々に是非とも読んで欲しい自分の失敗体験をもとに書いたお話です。

何かの参考になれば幸いですm(_ _)m

まずは軽く自分の経歴のご紹介です

私は現在の会社でスタートアップの経験は2社目になります。1社目は社員数が10数名の時期に入社していてデザイナーという肩書をもつ社員は自分だけの状態が多かったです。
2社目はある程度サービスがグロースした状態での入社。デザイナーは自分を含めて変動はありますが常時3〜4名は在籍している組織体制です。

そんな2社のスタートアップ経験から得たアンチパターンを過去の自分に読んでもらうつもりで書き留めておきたいと思います。

スタートアップのデザイン=スピード神話は正しいのか

企業にとって1人目のデザイナーとしてジョインするデザイナーはたいていの場合サービスやプロダクトのUIを1から構築する役目を負うことになると思います。そしてスタートアップ初期のフェーズでは完成度よりもスピードを求められることが多いです。

少し前にリーン・スタートアップなどが一世風靡したこともあり、プロダクトやサービスは出しながら改修していくことが当たり前になっているように思います。そのためとにかくスピード重視の開発が目立つ。

爆速開発!とか言ってその場その場のデザインをしたことってありませんか?

正直に言うと私はしてました。

とにかくスピードを重視して面倒なことは後回し。データの整理は後回し。

見た目はこだわりつつも、最低限エンジニアに渡せるデータをとにかく作りまくる。そんなタスク消化を繰り返していました。

そんなスピード重視の他全無視スタイルでデザインし続けていると、知らぬ間にどんどん見えないところで負債は積み重なっていくのです。

大抵の場合負債は爆発しはじめてから存在に気づく。

今では初期の頃から今後のサービスやプロダクトのスケールを見越して、ある程度スタイルガイドやUIのコンポーネント化などのルールをざっくり決めておくべきだと痛感してます。

とにかく面倒くさがらずにある程度画面が決まってきた段階でスタイルガイドや共通コンポーネント化をやっておくべきなんです。

なぜなら、ある程度グロースしてきてユーザー数もついて来た時、負債があらゆるところで爆発し始めることになるからです。主に爆発するのは以下3つの点になるかと思います。自分で見ても耳が痛いです。

①開発スピードが上がらない、もしくは遅くなる
本来サービスやプロダクトは拡張していくほどに、既存のパーツを組み合わせて新しい画面をつくるため、基本的にスピードアップしていくものです。
しかしルール化を怠っていると、逆にスピードが下がります。

画面が増える度に新しいパーツをデザインしてしまう。
そのため毎度新しいコード(HTML/CSS/JS)を追加するため実装工数が減らない。
前にも同じようなパーツを使ったなと思い出して過去の作業ログを漁る。
使い回しを意識していないため同じコードが使えず結局また実装する。
などなど

エンジニアと協力して実装している体制であればコミュニケーションコストもかかってくるのでより工数が膨れ上がります。

②新しく入ったメンバーの教育コストがかかる

新しく他のデザイナーが入ってきたとき、自分の説明コストと相手の理解コストが膨大に膨れ上がります。
例えばここのデザインはこれでいいのか?
この画面を設計するときは何か気をつけることはあるか?
ボタンの種類はいくつあるんだ?
モーダルのスタイルはどれを使えばいい?
などなど、新しく入ったメンバーは既存のサービスのテイストを壊さずにデザインすることを重視してくれるので、ルール化されていない場合は必然的に確認作業が多くなります。(当たり前)

ここで改めて一緒にルールを策定しよう!となればまだマシです。多大な教育コストと理解コストをかけた上で2人目のデザイナーと共通認識を持てたことに満足してルール化を放置していると、3人目、4人目でまた同じコストをかけることになり無駄な工数は積み上がっていきます。

③リニューアル(負債返済)の工数がバカでかくなる

ある程度サービスやプロダクトが大きくなり始めると、どこかデザインの統一性が欠如していることに気づき焦り始めます。

同じ意味のアイコンなのに違う絵を使っている。
画面によって見出しのスタイルが違う。
ボタンの種類が無数に存在している。
メインカラー以外に使っているカラーがバラバラに存在している。
などなど

ルール化が徹底されないうちに複数人でデザインすると必ずこのようにデザインの統一性が欠如していきます。

②で新しいメンバーの教育コストがかかると言いましたが、更に人数が増えれば増えるほど、初期にあったそのサービスやプロダクト独自のエッジが効いたスタイルの濃度は薄まっていき、統一性も失われていきます。完全に同じ思想を持ったデザイナーが集まることはないので、少しずつ各メンバーが独自のデザインをしはじめてしまうことが原因です。

そして負債に気づき、ルール化を進めようとすると人数が多い分意見がまとまらなくなり、またしても多大な工数をかけることになってしまいます。

ルールを策定するのにも工数がかかる、更に策定したとしても負債の洗い出しにも工数がかかる。そしてもちろんルールを実際に適用して実装するのにも工数がかかるという3重苦が待ち受けています。

下手すると工数がかかりすぎる、もしくはユーザーに大きく影響が出るという理由でリニューアル(ルールを適用するという負債返済)をすること自体に承認がおりない可能性も出てきます。その場合負債の返済ができないままずっと負債をためていくことになり、いつかサービスの成長に危険をもたらす要因になりかねません。

無駄な工数を省くことこそが未来のスピードにつながる

紹介してきたようにルール化を怠ることによって、何かと工数が膨れ上がることになります。最終的にはサービスの成長をストップさせてしまう要因にもなりかねません。

もちろん初めからしっかりガチガチにルール化しろとは言いません。初期フェーズではPDCAの回転速度も早く、デザインが日々変化していくことも多々あると思います。ですがざっくりで良いから初期にスタイルガイドを用意しておくこと、書面にきっちり残さずともSketchやfigmaのデータで共通パーツをコンポーネント化しておくだけでもいいと思います。
そして出来れば早い段階からエンジニアと話し合ってUIKit化しておくと尚良いと思います。とにかくざっくり大まかな部分だけでもいいのでルール化しておくことをオススメします。

スタートアップにおいて1人目のデザイナーは「スピードを重視しつつも未来の工数を削減する」という意識があるかないかが重要だと今は思っています。

すぐれたデザインをアウトプットすると同時に、将来チームで作業することも見越しておくと長い目で見た時に開発がスムーズに行くと思いますので参考にしてみてください。少しでも無駄なことに工数をさかずにデザイナーが本来のタスクに集中できるよう願っております!


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ではまたね〜😝


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