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『ドラゴンボールの息子』その15 「僕の自由研究」

僕は小学生の頃、プロ野球選手を始めとした有名人のサイン集めにハマっていました。

もともと脚本家だった父のおかげで、色々なジャンルの人からサインを頂くことがあり、子供ながらに『コレクター魂』が育っていったんだと思います。

そんな僕はよく、友だちと一緒にプロ野球選手たちが宿泊するホテルで出待ちをしてサインをもらっていました。

有名な選手が目の前でサインしてくれた時なんか、もう大喜びで家に帰って両親に自慢したものです。

その中でも特に大切な思い出は、世界のホームラン王である『王 貞治』さんからサインを頂いた時の話です。

いつものように僕と友人は、試合が終わって帰ってくるホークスの選手たちをホテルの前で待っていました。

ですが、残念ながらすでに選手たちはホテルの中に入ってしまっていたんです。

僕らはそれでも諦めきれずに、数時間ほどその場で待ち続けました。

すると、ホテルの一階にあるカフェに王さんが降りてきたのが見えたのです。

僕らはお店に入るわけにはいかないので、
ガラス越しにずっと王さんを眺めていました。

今考えると、なんて迷惑な小学生なんだと思いますよね……笑笑

ですが、王さんは僕らに気付いてわざわざカフェの外に出てきてくださったんです。

世界のホームラン王の圧倒的なオーラの前に、僕たちはろくに話しかけることも出来ませんでした。

ONE PIECEでいう『覇王色の覇気』ってのは、ああいうものなんじゃないかな!

さらに、王さんはそんな僕らに『親御さんが心配するから、これでもう帰るんだよ』と優しく声をかけてくださったのです。

あの時の笑顔と声は、
大人になった今でも鮮明に覚えています。

これが、その時のサインです。

王さんは子ども相手であっても、
本当に丁寧に書いて下さってますよね!

とまぁ、こんな感じで僕はすっかりサインをもらうことの魅力に取り憑かれていました。

そんな小学生時代の夏休みのこと、僕はいつものように出されていた大量の宿題にうんざりしていました。

もともと勉強が嫌いだった僕は、特に自由研究にはいつも苦労をさせられていました。

だって、研究なんてしたくないんだから(笑)

そこで僕は、『有名人のサインだって集めれば自由研究になるんじゃないか……?』と都合のいいアイデアを思いつきました。

それを父に相談してみると、僕をまさかまさかの場所に連れていってくれたのです!

なんとそれは……『ドラゴンボールZ』のメインスタッフ・キャストを対象とした納涼企画。

その内容は野沢雅子さんを始めとした声優の皆さんと一緒に、屋形船で東京湾をクルーズするという夢のような企画でした。

当時、参加していた子供はもちろん僕ひとり。

その会の冒頭で、
父がみなさんに頼んでくれました。

うちのバカ息子が今、サインを集めて夏休みの自由研究にしてるんです。申し訳ないんですが、ご協力頂けますでしょうか?

ありがとう、父ちゃん。

今なら、息子のためにどれだけ面倒なことをやってくれたのかがよくわかります(笑)

こんなバカなお願いにもかかわらず、みなさんは快く応じてくださいました。

それから僕が、声優さんたちひとりひとりのところを回ってサインをしてもらいました。

当時はちょうど『魔人ブウ編』の頃。

テレビの中ではとびきり恐ろしかった魔人ブウダーブラがめちゃくちゃ優しかったので、子供心に戸惑ったのを覚えています(笑)

そんなみなさんのおかげで、東京湾を回りきる頃には僕のサイン帳が見事に有名な人たちのサインで埋まりました。

夏休みが終わって学校に行くと、友だちのみんなは大きな工作や機械など、両手いっぱいに自由研究を持って来ていました。

そんな中、僕はまさかのノート1冊(笑)

『サイン じゆうけんきゅの』
当時の僕の知的レベルがバレてしまう(笑)

ですが担任の先生が大らかだったおかげで、僕の自由研究は花マルをもらってしまったのです!

まったく……
我ながらズルい小学生だよなぁ(汗)

最後に、この記事の内容を思い出させてくれたイチロー選手のサインを載せておきます。

これを書いてくださったのは、イチローさんが日本人で始めてシーズン200本安打を達成される直前の頃でした。

まだ、サインは『鈴木一郎』の頃のもの。

この後に『イチロー』となって、日本だけでなく世界中の人たちを魅了するスター選手になっていかれたのです。

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