神と人との間(2018) 内田英治

谷崎潤一郎の原作小説をベースに映画化したTANIZAKI TRIBUTE3作品のうちのひとつ。

てっきり、おどろおどろしく耽美的な愛憎劇が始まるのだろうと多少身構えながら、というよりかはそういう心算で観始めたのだ。

しかし始まってみると、これは誇張ではなく、10分間に一度は笑いがこみ上げてくる笑劇なのだ。ベースには谷崎の、「神と人との間」があるものの、ちょっとした設定や役者の立ち居振る舞い、演出を変えるだけで、登場人物たちが真剣に愛を語れば語るほど、笑えてしまう。

そこでふと、そもそも恋愛とは、禁じられた恋路とは、もしかすると当人ら以外からみると滑稽な茶番でしかないのでは、という結論に達する。そうだとすれば、昨今芸能人の不倫騒動に対して本気で怒りをもって鉄槌を下そうとする第三者らは本作に対しても、まったく違った感想を抱くのかもしれない。心底気になる。

人間には理性があるからこそ他の動物とは違う、とはいえど、理性でどうこうなるものでもない色恋沙汰というものは、例えば知らず識らずのうちに、マゾヒスティックな誓約を勝手に自分へ課してみたり、奔放ながらもある種筋の通った(ような)独自のルールで相手を黙らせてみたりするのだろう。

結末に待ち構える彼らの絶命は、決してよくある悲劇的な描き方ではなかったはずだが、決闘のあいだにあった賑やかなお祭り騒ぎのようなものが一気に去ってしまった気がして、物悲しく思えた 。

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