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カタツムリから学んだこと

仕事中カタツムリを見つけた。でも葉っぱの上にいるのを見かけた訳ではない。それだけなら、
「あ、かわいい」
くらいでスルーしていただろう。
見つけたのは、いつも仕事で乗っている軽トラのカバーの上。ちょうどそこの現場での仕事が終わって移動しようとする矢先だ。
「君、そんな所にいてはいけないよ」
そう思って、この子を安全な場所に移動しようとしたのだ。

駐車場の周囲を見回す。でも、ブロックの囲いがあるだけで、適当な緑の場所がない。囲いの外には木がたくさん茂っていたが、そこに手を伸ばすには少し遠いし、たとえ届いたとしても、枝がしなっていて安定感がなく、置いたらすぐにコロコロ下に転がってしまいそうだ。

仕方なく、ブロック囲いの上に置いてみる。でもちゃんと葉っぱの所にまで自力で行けるか、何となく気になった。どうしてカタツムリにここまで心入れをするのだろうかと思いつつ、しばらく様子を見る。

すると驚いたことに、このカタツムリは囲いの向こう側に垂直に降り始めたではないか。
…いや、よく考えてみればそれほど驚くことではない。カタツムリは垂直方向にでも移動できる。
ではどうして驚いたのか?
きっと私の中では「ちゃんと葉っぱまで連れて行ってあげられなかったから、この子の自力だけでは葉っぱの所にまでいくのは無理だろう」と思っていたからにほかならない。でも、このカタツムリには、ちゃんと行くべき方向が分かっていたと思われる。

同じことは対人関係においても、職場においても言える。手取り足取りしなくても、見ていて心配だと思えても、本人をとりあえず信頼して任せてみる。そうすると、きっと思いがけない力を発揮してくれるものだ。

その人の潜在能力を見過ごす原因は、ひょっとしたら、面倒見がいい=おせっかい、にあるのかもしれない。


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