パウル・ヒンデミット

クラシック音楽を聞かない人はその名をまず知らないであろうヒンデミットですが、もしかしたらクラシック音楽を聞く人にもあまり知られていないかもしれません。同じ20世紀の作曲家でもシェーンベルクらの無調・十二音音楽とは異なる作風ですが(ヒンデミットの語法は「拡大された調性」というのだそうです)、独自の響きがあって、しかも作風が硬派というかちょっととっつきにくいですかね。

しかし、吹奏楽少年としてクラシック音楽を聞き始めた私には、ヒンデミットはとても馴染み深い作曲家なのです。

出会いは中学2年の夏の吹奏楽コンクールでした。自分の学校の近隣にM中学校という今で言うところの強豪校があり、そこの顧問の先生と我が校の顧問の先生が知り合いだった関係で合奏を聞かせてもらうことができたのです。その時自由曲としてM中学校が演奏したのがヒンデミットの「交響曲 変ロ調」でした。それまで聞いたことのあったスウェアリンジェンやスーザの曲とは全く異なる響きに度肝を抜かれました。早速この曲のCDが欲しくなり、顧問の先生に聞いたのですが、すぐには見つかりませんでした。当時は吹奏楽やクラシックのCDを買うのに隣県の石丸電気まで出かけていたほどの田舎に住んでいたので。もちろんインターネットなんてなかったし…結局CDを買うことができたのは翌年の夏。フレデリック・フェネル指揮、イーストマンウィンドアンサンブルの演奏でした。昔のマーキュリーレーベルで録音が古いのですが、そんなことを感じさせない魅力的な演奏です。他のラインナップがシェーンベルクの「主題と変奏」、ストラヴィンスキーの「管楽器のためのシンフォニー」とまた名曲揃い、名盤です。

高校の時には、顧問の先生にヒンデミットなら画家マティスを聞くといいよと言われ、上京して初めて渋谷のタワーレコードに行った際、バーンスタイン指揮、イスラエルフィルの演奏によるヒンデミット作品集を購入しました。弦楽器の切れ味が凄まじい演奏ですね。ここに収められている「弦楽と金管のための協奏音楽」はいつか演奏してみたいものですが、オーケストラで木管のない曲をやるというのはとてもハードルが高いので、半ば諦めかけています。コロナ禍の初期(練習会場の人数制限があった頃)に一部のアマオケで流行りましたかね。

これまで演奏したことがあるのは、
・画家マティス
・ウェーバーの主題による交響的変容
・気高い幻想 組曲

だけです。ただし、気高い幻想はトロンボーンでなく大太鼓(!)で参加しました。ある演奏会で、ちょうど自分がその曲を降りていてヒマそうだったので目をつけられたんですかね。出番はあまりないのですが、目立つので緊張しました。しかも舞台がサントリーホール…打楽器はセンスもリズム感もない自分にはとても無理!!とその時思いました。いや本当に、新世界のシンバルとか悲愴のドラとかやってる皆様、尊敬します…

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