消費者金融からお金を借りた話 7
つづきです。
迎えたテストの日。
早くに起き準備をして家をでた。
7月の暑い気候は服に染みを作った。
額に汗を浮かべ私は電車に乗り込んだ。
テストを無事に終え、手応えを感じていた私は肩の力が抜けた。
これだけ頑張ったのは久しぶりだ。
その足でアルバイト先にむかいシフトの確認をしに行った。
私の勤務時間は17時から24時まで。
その日はシフトには入っていなかったので18時頃に店に寄ると同僚と後輩が働いていた。
裏口から入りシフトを確認する。
(やった。いっぱい入れてくれている。)
店長に8月はたくさん入れてくれるようにお願いしたのだ。
理由ははやくお金を返して真面目に学校へ通うから。
3年生の後半には就職活動もはじまる。
もう適当なことはしたくなかった。
ではなくパチスロを打ちたかったから。
テストを終えた私は無性にパチスロがしたかった。
頑張ったのだから夏休みくらいさせてくれと。
ただ借金をしてまでしたくなかったのでアルバイトをたくさんすることにした。
ただ頭の片隅に学校がはじまるときちんと通い就職活動にむけ準備をすることはあった。
スケジュール帳にシフトを書き写していると後輩が話しかけてきた。
「先輩、お疲れ様です。テストできましたか?」
18歳の彼女は私の心配をよくしてくれる。
連絡もまめにしてくれ朝もたまに起こしてくれる。
付き合っているわけではない。
私は生まれてこの方恋人と呼ばれるものができたことがない。
顔は悪くないと言われるのだが男性としては見れないらしい。
そんな中、彼女は私に好意を持っていた。
なぜそんなことがわかるのかと。
「テストもおわったし夏休み旅行いきませんか?二人で。」
と言われたから。
付き合ってもいない異性の人と二人っきりで旅行にいくとすれば好意をもっているとしか言えないだろう。
喜びを表情に出さないよう私は了承した。
8月1日からアルバイト漬けだった。
お盆もフルで出勤した。
そんな私の原動力はパチスロを打つことと後輩との旅行であった。
彼女と連絡をとり旅行の詳細を決めた。
2つとなりの県の某テーマパークに行くことになった。
一泊二日で。
女性経験に乏しい私は頭を抱えた。
付き合ってもいないのに旅行へいくのはまだ百歩譲ってもわかる。
しかし一泊するとなると百歩どころか一万歩譲ってもわからない。
それはまずいし、日帰りでどうかな。
なんて言えるはずなく、結局一泊することに決まった。
そしてやってきた給料日。
私の口座には14万円はいっていた。
(頑張ったな…)
しみじみと感じながら3万ほどおろしパチンコ屋へとむかった。
旅行は2日後を予定していた。
旅行をするにいたり後輩と一緒に旅行会社へいったりした。
前払いで半分納金しなければいけなかった。
「出しておきますよ、先輩。笑」
お金がないのを知っていた彼女はこう言った。
私のどこに惹かれたんだろう。
そんな背景もあり今日は勝ちたかった。
約2ヶ月ぶりのパチンコ屋を耳がキンキンしたまま後にした私は笑みを隠せなかった。
財布には20万入っている。
1年ぶりの大勝ちをしたのであった。
うまいこともあるもんだ。
渡辺に連絡を入れた。
すぐに家まできてくれた渡辺にお金を返した。
残りのお金をすべて。
「え?もしかして勝ったん?」
にやけながら首を縦にふった。
話もそこそこに帰宅しベッドによこたわる。
体が浮いているような感覚が私をまとっていた。
借金をついに返済した。
そして2日後には旅行がひかえている。
お金もある。
言うことはない。
(楽しみだ…)
まだ鳴りやまぬ耳鳴りですら心地よいサウンドとなり私は眠りについた。
その日夢を見た。
後輩と疎遠になってしまう夢。
嫌な夢だった。
汗だくで目を覚ました私は恐れていた。
今思い返すと私も後輩に惹かれていたのだろう。
そしてその夢は正夢となるのである。
つづきます。