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「バーティゴ(空間識失調)」

私は別にパイロットでも何でもなく、何度か旅客機に乗っただけのタダの人ですが、パイロットが書いた本を良く読みます。飛行機の歴史も好きです。
今回、F35Aの事故原因として、表題の「バーティゴ」が原因と発表されました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%AD%98%E5%A4%B1%E8%AA%BF
何となくそれらしいし、事故の状況にも沿うということなのでしょうが、うーーん。
細見三佐は、このチームのリーダーで最も経験と実績のある人だと思います。今までの飛行実績も、訓練成果も全て一流の「プロ」だったはずです。今まで一度もバーティゴの経験がなく、今回初めて体験したのなら、まあそんな可能性もあると思いますが、そんな方ではないのです。もっと危ない状況の中でも、今まできちんと帰って来た人なのです。

大昔、飛行機が実用になった頃のパイロット達は、すでにバーティゴを体験しています。当時機体の電子化もほとんどなく、計器の故障も良くある状況で、自分の水平感覚と計器の表示のどちらを信用するかに迷い、計器を信用する人が結局生き残ってきた、というのが歴史なのです。時には水平飛行をしているつもりなのに、上下が逆で背面飛行をしていて気付かなかった、という話があるぐらいです。

で、こんなのは単なる飛行機好きな自分ですら知っている話で、三佐にとっては「釈迦に念仏」な話です。もちろん、バーティゴになった時に自分の感覚を押さえ込んで、計器を信用する(もちろん基地の整備メンバを信用しているから!)人のはずですし、その様に訓練もされているはずです。また、もし違和感を感じたら、僚機や地上基地に確認をするはずです(何せ新型機の慣熟中だったのでしょうから...)。

なので、通信には最後まで異常がなかったという事は、本人は最後まで異常に気付かず、バーティゴになっていることも解らずに落ちたのか、それとも失神していたか、です。発表通りの飛行をしていれば、急激な高度低下による警告音声がコクピットでは鳴っていたはずで、それを無視することは考えられません。一度指示通りに高度を下げ、その後引き起こして水平飛行に入るはずが、そのまま高度を下げているようです。
となると、やはり失神していたと考えるのが自然ではないでしょうか。最近の米軍機には呼吸のための空気を送り出すシステムに問題がある、という話も出ていました。
https://www.excite.co.jp/news/article/DailyNK_Japan_123067/
どんなに訓練を積んだ人間でも、低酸素/二酸化炭素過多の状況では簡単に失神します。こちらの方が、バーディゴより余程可能性があると思うのですが、どうでしょうか。

前回書いた、B737-MAX は搭載ソフトウェアの問題でした。今回も、三佐がバーディゴになって対応できなかったという話よりも、ソフト問題の方が可能性が高い様な気がして仕方がないです。多分、そういう嫌疑は残されたF35Aのパイロット達に重くのしかかっているでしょう。命に関わるソフト開発も大変だと思いますが、それを信用するしか無いパイロット達も、厳しいものがあります。

最後に、朝日新聞の記事を紹介しておきます。
https://withnews.jp/article/f0190612002qq000000000000000W06k10101qq000019325A
皆さんは、どう考えますか。





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