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時は流れて現在の私 14

愛媛県松山市の生活の続きです。前回の記事で、ロケット花火とミサイルのお話で脱線しまくって、先に進みませんでした。すみません。ロケット花火の一件が終わったら、次の記事は、ちゃんと先に進みたいと思います。道後温泉の事、新しい自転車で革の上流を探検して楽しかったこと、ホテル奥道後が憧れのホテルだったこと、そこのジャングル風呂が楽しかったこと、などなどに進みたいです。

でもまず前回記事で「実はロケット花火には大変楽しい思い出があります」と書いておきながらその内容を書かずに先に進んでしまいました。今日はその「楽しい思い出」について、明かしたいとおもいます。あ、これ、当時はできましたが、今はもうできないと思います。真似しないでください(笑)。

私は数人の友人と、毎年花火大会を催していました。大人になってからの話です。いい大人が集まって、花火ではしゃいでいるのです。仲間内だけだったから誰もそれを奇異に感じませんでしたが、誰かほかの人が我々を見ていたら「なんだこいつら」と、見ないふりして遠ざかったかもです(笑)。

「楽しい思い出」は、花火大会の中の出来事です。そのある年が来るまでは、少人数にしては少々規模が大きいという程度の、まだ普通の範囲に入る花火大会だったと思います。ある年、メンバーの一人(これが誰だったか、よく思い出せません)が、ある「花火の楽しみ方」を発案したのです。

その技、名前があります。「カミューラ・ランバン・アタック」です(!)この名前を聞いて「えっ?あれの事??」と気づいた人は、かなりのオタクですね(笑)。種を明かします。「カミューラ・ランバン・アタック」とは、アニメ「伝説巨神イデオン」に出てくる、主人公メカ、イデオンの技です。

「伝説巨神イデオン」はサンライズのアニメで、ガンダムと同じ、富野喜幸 監督の作品です。地球人が移民の為に、ある星を探索していたら、偶然その星の古代文明人の遺跡を発掘してしまいました。同時に、その星に同じような目的で探索に来ていたバッフクラン星人と鉢合わせ、誤解と無思慮と、

両者の疑心暗鬼で、戦端が開かれてしまった。地球人たちは「戦意はない」と伝えようとして白旗を揚げるが、それはバッフクラン人社会にとっては、「お前らを地上から抹殺する」という意味の行為で、事態は更に悪化し、地球人たちは遺跡の船で脱出を図る。というのが主なストーリーです。

両者は果てしなく戦い、というか、地球人たちは、ただ逃げ回っているだけで、バッフクランは、その星の遺跡が欲しかったから、どうしても地球人を許せませんでした。追い詰められた地球人は、必死の防戦をしますが、遺跡のメカが合体変形し、巨大な人型兵器になります。これがイデオンです。

ある時「カミューラ・ランバン」という女性の地球人指令が、イデオンパイロットの一人、コスモに親身に寄り添ってくれました。その恩人カミューラを、目の前でバッフクランに殺されコスモの怒りは爆発し、その激情に遺跡メカのイデオンが反応して、イデの「無限力」を発揮してしまいます。

その時、遺跡メカ「イデオン」は、「ミサイル全方位一斉射」をします。イデオン本体に無数に組み込まれている発射管から、一斉にミサイルを全方位に撃つのです。この攻撃で、イデオンの周囲のバッフクラン勢力は、全滅させられてしまうのです。これが「カミューラ・ランバン・アタック」です。

ロケット花火で、この「カミューラ・ランバン・アタック」を再現しようというのが、我々の楽しみになりました。やり方を説明しますと、あ、これ、今はできませんから、真似しないでくださいね(笑)。これをやれる場所を、毎年必死に探して、そしてとうとうできる場所が見つからなくて、

我々はこれを続けることを諦めたんです。もう「カミューラ・ランバン」は、できないんです(泣)。これをするには、誰もいない、誰の土地でもないような(正確には誰の土地かわからないような)、近くに民家が一軒もない広大な場所が必要で、そんな場所、簡単に見つかるはずもありません。

昔はあったんですこんな土地が。私たちが合宿をやっていた所、すでにここが、かなりの山奥で、最終日の夜、高台に行き、いわゆる「よい子の花火」とも言うべき、小さな手持ち花火中心の、小規模な花火大会をしていました。そして年を追うごとにその規模は拡大し、

とうとう「カミューラ・ランバン」に至るのです。方法を説明します。まずは、ディスカウントショップに行き、ロケット花火を大量に購入します。大量というのは、100本や200本ではありません。その数倍です。できれば、昔風のロケット花火が良いです。

新しいものは、ヒューッと鳴るだけで、最後にパンッ!と破裂しないのもあります。最初のヒューッ、はならなくてもよいから、最後にちゃんと破裂するのを選びます。次にバケツを用意します。プラスチック製だと解けて消滅してしまうので、必ず金属製のバケツを選びます。

しかし借りた金属製のバケツが、ある年、あまりの熱で破壊されてしまって、次の年から、ちゃんと自前でバケツも持っていくようにしました。そして合宿最終日の夜、満を持して我々は、星明りしかなく、真っ暗な夜道の上り坂・・・田舎の山中です。もちろん街灯なんかありません。

懐中電灯を頼りに山頂近くまで登るのでした。途中、蛍の光に出会いました。真っ暗な夜道のホタル、それはそれは美しい光!そしてとうとう、山頂付近の、少々平らな草原に出ました。本当の真っ暗です。明かりがないと何も見えません。周囲に民家はおろか、田んぼさえもありません。山中です。

音も、虫の声が聞こえるだけです。ひとしきり「よい子の花火」を楽しんだ後、懐中電灯の光の中で、いよいよ準備に取り掛かります。まず、草原中央にバケツを据えます。そのバケツにロケット花火を100本ほど並べます。バケツの斜め辺に沿って、きちんとキレイに隙間なく並べます。

これがキレイでないとちゃんと飛びません。そしていよいよ準備最終段階。点火役を一人選びます。実はこの点火役、皆、なろうとしません。恐すぎていやなんです。結果、私がやることが多かったように思います(笑)。点火役は両手に、大きめの「よい子の花火」を持ち、それに点火します。すると、

両腕から炎がほとばしります。皆はここで、バケツから最大限度に距離を取ります。点火役だけが、一人バケツに取り残されるんです。そして点火役は、バケツのフチに沿って火のついた「よい子の花火」を回してゆきます。すると、バケツのフチの大量のロケット花火は、順次点火され、

しゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅしゅ~~~~~~!!!! そして、パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!! これが私たちの「カミューラ・ランバン・アタック」です。イデオンの「ミサイル全方位一斉射」です。

この「ロケット花火全方位一斉射」はロケット花火が尽きるまで続きます。どうです? 楽しそうでしょ? 本当に楽しかったです。でも、こんなことができる場所、もうないんです(泣)だから私たちも、かなりの昔に、このイベントを諦めたんです。

若者さんたちは、こんなこと、しないでくださいね(笑)。そもそも私たちも、やっていませんし、花火そのものを買うことが無くなりましたから、果たしてロケット花火ってものが、まだ世間で売られているかどうかも、わかりません。

すみません、これで、ロケット花火についてのお話は終わりです。次の記事こそは、愛媛県松山市のお話に戻ります。ではお楽しみに。

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