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カーペンターズが取り上げたレオン・ラッセル作の3曲

カーペンターズは、1971年発表のサード・アルバム「カーペンターズ」において、レオン・ラッセルらによる「スーパースター」を取り上げた。シングルとして発表すると、全米2位を記録。そして72年の次作「ア・ソング・フォー・ユー」でもレオンが書いた表題曲を収録した。

「ソング・フォー・ユー」の主人公は、何千人もの聴衆を前にするステージを、自分の人生としてきたシンガー・ソングライター。その彼女が、"恋人のあなたと二人だけの時に、このうたを歌う"としながら、”あなた”への愛を告白している。歌とはひとり一人の心に届けるもの、そう聞き取ることもできる内容だ。年間に174公演もこなしていた人気絶頂のカーペンターズ。「私たちは、あなたがた聴衆ひとり一人に向けて歌いかけている」との思いを、彼らはこの歌に託したのかもしれない。


「スーパースター」では、ロック・ギタリストへの恋慕をつのらせる少女の心情を歌う。


シンガー・ソングライターを主人公に設定して、アーティストとしての姿勢を歌う歌「ソング・フォー・ユー」と、ある聞き手を主人公に設定して、聴衆の想いを代弁する「スーパースター」。こうした合わせ鏡のような2曲が、続く2つのアルバムに収められた。
スターダムの頂点にいたカーペンターズにとって、レオン・ラッセルの作品は、彼らの心情を重ね合わせる大切な歌だったのかもしれない。

翌73年発表の5作目のアルバム「ナウ&ゼン」でもまた、カーペンターズはレオンによる「マスカレード」を取り上げた。仕上がりに満足した兄のリチャードは、「歌手と歌が完璧に調和」したと自賛した。



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