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小角コーポレーション 33

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 克哉が熊本市電に乗っていると、コロッケのアナウンスが耳に入ってきて、そういやあ、コロッケって熊本であったなあと思い出した。
 熊本城の最寄りの市役所前で路面電車を下りて、熊本城へと向かうと、城内へは立ち入り禁止であった。熊本震災で甚大な被害の出た熊本城は地道に修繕中で、城の近くに勧進の自販機があった。ジュースを買うと修繕費用を寄付できる仕組みで、克哉はその自販機で一本ジュースを買って道々飲んでいた。
 熊本城の近くの熊本の地元の信用組合のビルに大きくくまモンが描かれてあった。
 熊本城近くは繁華街になっており、二十四時間営業のとんこつラーメン屋があった。
 地下に下りて行き中に入ると、券売機があって、ラーメンを買い、一人掛けの科挙の試験場のような席に座り、ラーメンのオーダーをアンケートのような紙に書いて出してしばらくしたらラーメンが出てきた。
 克哉は黙々と食べて店を出た。
 熊本から島原に渡るフェリーが出ると、かもめが並走して飛んでいた。
 島原に渡ると夕方で、克哉は宿を取った。

 次の日、克哉は島原城の周囲を歩いていると、かんざらしを食べさせてくれるところがあり、頂いた。
 かんざらしは、糖蜜に白玉だんごがたくさん入っていて、そこはかとなく甘く、やんわりとした味わいでおいしいものであった。
 そして、克哉は島原鉄道とかもめで長崎に出た。
 長崎に着くと、克哉は長崎市内で路面電車に乗っていた。
 ちゃんぽんで有名な四海楼の最寄りで下りて四海楼に入りちゃんぽんを注文すると、昼の部のラストオーダーであった。
 ちゃんぽんを撮影してみちるに画像を送ったら無心に克哉はちゃんぽんを食べた。
 四海楼を出ると、雪が降っていた。
 克哉は、路面電車に乗って原爆資料館に行ってハードな心地になったので、ラブホの脇を通って浦上天主堂へと昇って行き、些少な献金をして席に座ると祭壇には左にアルファ右にオメガと記されていて、静かに座ってしばらくそこに居た。
 稲佐山へと昇って行くロープウェイでは、狭いゴンドラの中で賑やかに中国語の嵐が巻き起こって、外を撮影する人々が居た。
 稲佐山から長崎の町を見下ろすと、日も暮れてミルキーウェイが長崎港にまぶされて光っていた。
 克哉はその様子を撮影してみちるに画像を送った。