聞くということ

相手の立場になって
聞くことが
どれだけ出来ているか

自分の目の前にいる人を
その人の全てだと考えるのは
想像力が足りないと思う

自分が相手に
相手が自分に
互いに影響を与えあって
そこに存在している

取り敢えず
目の前の人を規定して
型にはめる

取り敢えず
その曖昧な存在を
引き出しにしまって
安心をする

それは
人が人と上手く付き合うための
工夫のひとつかもしれない

けれど
どうしても
その作業に付き合わされることに
気色の悪さを感じてしまう

あなたが気持ちよくなるために
僕は存在しているんじゃない

そう叫んだ自分の
口が、目が、耳が
ひたすら内側に向かって
駆けていくのを感じる

その摩擦で体は熱を帯びて
脳は悔しそうに眠りにつく

明け方
ひとり来た道を戻りながら
大切にしていたものたちを
ひとつずつ拾って歩く

太陽が顔を出して
危うくまた何かを宣言しようとした僕を
鳥の声が遮る

随分歩きやすくなったけもの道に
優しい風が吹いてきて
なぜか急にお腹がすいた

家の近くのパン屋の灯り
朝ごはんにと立ち寄って
いつもの笑顔に挨拶をする

久しぶりに出した自分の声が
頭の中で反響するのを気にしながら
見知らぬ女性が選んだパンを
真似してふたつ買ってみた

手の中の温もり
僕はそれを暫く
抱いていた


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絋野誠

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