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社会と繋がっていることで自分を感じる。

私は、なんとなく看護師になってとりあえず大きな病院へ就職しそして3年後には退職した。看護師として働いていると、嫌なことがたくさんある。残業ばかりで身体も心もクタクタになる。患者さんとの出会いと別れもたくさんある。患者さんや家族の方から感謝されることもたくさんあり、その言葉には何度も励まされてきた。

あるとき自分には限界がきた。私は真面目でなんでも完璧にこなさないと気が済まない性格だ。必要以上に自分で仕事を背負いながらも平然を装い、周りに助けを求められなかった。そして、気がついたときには身も心もボロボロで、ついに仕事へ行けなくなった。働く意味を考える意志さえも失った。

そこから1年半は、ときどき知人の仕事を手伝う程度で、ほとんど働かない生活をしてきた。

「働きたくないなら働かなくていい。働きたくなったら働けば良い。」働くことの意味について悶々と悩んでいたとき、友人にあっさりと言われた。私は考えすぎていたんだと思う。

我が日本国は、弱者にとても優しい。生活できずに困っているひとにはそれぞれにあった補助がなされる。

私の脳は「食うために働く」という言葉に洗脳されていたせいか「働く=お金」だと考えていた。しかし時代は変化している。食うだけならさほど働く必要はなくなってきた。なおさら私の働く意欲は薄れていく。

では、なんのために働くのだろうか。

私は1年以上ろくに働かず、そのうちにコロナ時代に突入したことでさらに社会との関わりが減っていた。

社会との関わりがない日々は気楽だと思っていたが、良い緊張感もストレスもない毎日だ。ただボーッと生きているのは無駄なことを考えて不安を抱くようになったり、意外としんどくなってくるものだった。

資金も底を尽きはじめ、このままでは精神的にやられてしまうと思った。そして少しでも社会と関わる機会を作ろうか迷っていたとき、「週2〜半日でOK」という好条件の看護師アルバイトに偶然出会った。

もともと看護師を再開しようなんて思ってもいなかったため、1年半前までバリバリ働いていた頃の記憶と知識はほとんど消え失せていた。しかし身体は案外覚えていてくれて、おかげで徐々に看護師という仕事を思い出し、私はまた看護師として働くようになった。

現在も週2でしかも半日しか働いていないが、私にとっては体力的にも十分だし満足した生活を送れている。ニートの頃よりも、働いていると社会の中の1人になれた気がして生きることにも肯定的になった。

看護師という仕事はときに辛いこともあるが、感謝されることも多々ある。そういうときに、笑顔で返事ができるだけでもやりがいを感じる。誰かのために働くということを自分の身を持って感じることができる。看護師っていいなと思う。

人間って社会とのつながりによって自分の存在意義を見出しているんだと思う。他人と関わるというのはストレスになり、面倒なことも多い。だけど社会という他人だらけの世界で生きることによって、自分の価値観を見つけることができるんだと思う。ひとりぼっちじゃないんだって感じさせてくれる。

社会のなかでひとりの人間として働くことは、たくさんの他人でできている社会とつながっていくために、これからも必要なんだ。


#はたらくってなんだろう

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