見出し画像

ケアマネジャーが訪問時、利用者からのお茶の誘いを断らなければいけない理由 : バーンアウトやカスタマーハラスメントの視点

★3行でまとめると

  1. ケアマネジャーは、利用者宅で提供されるお茶やお菓子を飲食することで生じる、カスタマーハラスメントや関係性の崩壊リスクを避けるために、これらを断ることが推奨される

  2. お茶やお菓子を断ることは、プロフェッショナルな距離感の維持と、事業所の方針や感染症対策として説明することで、利用者への負担軽減にもつながる

  3. 継続的に断り続けることで、利用者も徐々に理解を示し、関係性はケアマネジメントの質によって築かれることが重要である

居宅介護支援事業所のケアマネジャーが利用者宅に訪問する際、利用者本人や家族がお茶を出してくれることがあります。私は、これを飲まないことを推奨します。
その理由は、ケアマネジャーと本人との間に適切な支援者としての距離感を保つためです。
また、これがカスタマーハラスメントにつながる可能性があるからです。

お茶を出された際、礼儀として飲むべきだと教えられたかもしれませんが、これはケアマネジャーとしての適切な距離感を保つことにリスクが伴います。

お茶を飲むと、さらにお菓子を出されたり、昼食や夕食のもてなしへとエスカレートする可能性があります。エスカレートした場合、断ることが難しくなり、断った際には「なぜ用意したものが食べらないのか!」とカスタマーハラスメントに陥る危険があります。実際にそのようなケースをケアマネジャーから相談に乗ったことも何度かあります。

私は仕事柄、多くのカスタマーハラスメントの事例を聞いており、中にはおもてなしのエスカレートが原因でケアマネジメントを続けられなくなったケースもあります。
これらは多くの場合、最初のお茶の提供から始まっています。

私は居宅介護支援事業所変更の相談を受けることもあり、その理由として利用者との距離感が友達感覚になってしまったことが挙げられます。
これは担当ケアマネジャー自身が原因で、ほとんどのケースで利用者宅での飲食が関連しています。

さらに、エスカレートの果てに金銭のやり取りが発生するケースもあります。中には金銭を受け取り、業務範囲外のことを依頼され、結果的にバーンアウトに陥るケースもあります。自己保護のためにも、お茶を飲まない方が良いでしょう。

一部のケアマネジャーは、利用者や家族との信頼関係を得るためにお茶やお菓子を飲食しても良いと考えていますが、信頼関係はそれによって得られるものではありません。
プロの支援者としては、日々の支援で信頼を得るべきです。お茶やお菓子で信頼関係を築こうとしても、その関係は結局、飲食で釣られたものに過ぎません。

ほとんどの利用者や家族は善意でお茶やお菓子を提供していますが、ケアマネジャーが毎月訪問することを考えると、毎月の準備が利用者や家族に負担をかけるリスクがあります。
また、より良いものを提供しようとする圧力も生まれるため、本来の介護相談がしづらくなるリスクもあります。プロの支援者としてこれらの危険性を考慮する必要があります。

また、お茶やお菓子を提供する行為が利用者の現在のADL(日常生活動作)をアセスメントする機会になると主張するケアマネジャーもいますが、先ほどいくつかのリスクを考慮すると、その価値は疑問です。
お茶やお菓子を飲食することを正当化するケアマネジャーは、実際には単に食いしんぼうなだけかもしれません。

お茶やお菓子を飲食することで、ケアマネジャーが帰りたくても帰れない状況になりがちです。これは時間を取りすぎ、日々の業務に圧迫を感じる原因にもなります。
雑談の中に真のニーズが隠れているという一部のケアマネジャーの主張もありますが、その効果は限定的です。

プロの支援者としては、限られた訪問時間内でニーズを引き出すべきです。引き出せなければ、後から電話などで確認することも可能です。毎回のお茶やお菓子の雑談が必要なわけではありません。

さらに、悪意のある利用者や家族によって、お茶に睡眠薬が混入されるリスクも否定できません。
飲食しないことで、さまざまなリスクを防ぐことができます。

「たかがお茶、されどお茶」ですが、この場合、お茶を断ることが重要です。

では、どのように断ればよいのでしょうか?

単に「事業所の方針で、お茶であっても一切手をつけないようにしています。これは、毎月の訪問による利用者への負担を軽減するためです。また、感染症のリスクも考慮しています」と伝えれば良いのです。

実際には手をつけないことが肝心です。それでもなおお茶を出してくる利用者もいるかもしれませんが、3ヶ月ほど飲まずに拒否し続ければ、次第に出さなくなるでしょう。
このことによって関係が崩れることはありません。関係は日常のケアマネジメントを適切に行うことで築けます。

プロの支援者であるからこそ、お茶を飲まずにケアマネジメントをしてみましょう。ケアマネジャーと利用者・家族との関係は、支援者であり、それ以上でもそれ以下でもないのです☺️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?