『アフターデジタル』を読んで。
すべてオンラインになった世界とはー
中国の「今」を語り、日本の「未来」を予測する本。
アフターデジタルとはすべてがデジタル化された後の意。
キーワードは、
・OMO(Online-merges-Offline)
・UX(ユーザーエクスペリエンス)
・バリュージャーニー(≠バリューチェーン)
気になる部分を以下の通りまとめてみました。
(中国の事例は割愛し、事例から何を感じたかを記載しています)
はじめに:中国は性悪説の上に成り立っている
私のこの本で知ったのですが、中国は日本の「性善説」と違い「性悪説」で成り立っているみたいです。放っておけば悪いことするので、どこかで監視しておかないといけないということですね。
この監視が顧客と常時接点を生み出し、ビジネスにおいて非常に強固な関係性を築いているのだと思います。
OMOとは
OMO=「Online-merges-Offline」。
言葉の通り、オンとオフがマージ(融合)されている状態で、今の中国人は「価値があるもの」を使っています。そこにオンオフの概念はありません。
商品の購入が目的だけならWebで済むし、店舗に行って実物を手に取ってみてみたい、と思えばオフラインを選びます。
ここで感じたのは店舗・ECなどの「手段」でCV先を選んでいるのではなく、「〇〇が欲しい」という目的に応じて手段を選んでいるという点だと思う。つまりオンオフがシームレスのため「オンだけorオフだけしかCVできない」ということが少ないんだと思います。
例えば、日本では生命保険加入には対人での接客を通して契約することが多い(今では幾分ダイレクト保険が浸透したけど)。でも中国ではアプリ1つで保険の加入が完了します。ウェルネスアプリと連携してその人の健康状態を常時把握し、何か変化あれば企業から顧客へアプローチができます。
企業にとっても顧客にとっても情報開示し、手の内を見せているから最良なサービスを提供できるし、享受できるのだと思います。
ケーススタディ:最近身の回りで起きたOMO
この前、僕の妻が交通事故(物損)を起こしてしまいました。対応は滞りなく終わったが、保険内容の見直しをしたかった。
しかし保険内容は代理店マターであり、保険会社は保証サービスだけを進める、という分業状態に。
保険サービスのアップセルのタイミングって事故が起きた直後なのに、代理店からは特段営業はありませんでした。
これって営業機会損失ではないでしょうか??
〇欲しかったサービス
・事故後の対応(当たり前基準)
↓
・事故の内容を鑑みたサービス内容の見直し提案(+α)
・事故未然できる最新のクルマ紹介(カーディーラー)
・運転のテクニック/注意(警察など)
キャッシュレス化にするメリット
中国では60%がキャッシュレスと言われています。
偽札対策、クレジットカード作りのハードルなど、様々な理由があると思いますが、著者は本書で以下のように記載しています。
・事前決済すると「コーヒー1杯100円です」という会話がなくなる。その会話自体がなくなるから会話自体が減るのではない
・「今日は〇〇がオススメだよ」のような日常会話を生むことが多くなる、ということ
・コミュニケーションがより生産性のある、メリットのある内容に変わってくる
・特にスタバのようなサードプレイスである場所は心地よさを提供するため、決済というものは不可視化したほうがよい
共著の1人、尾原さんの「ITビジネスの原理」内でも同じようなことが書かれていたと記憶しています。
Googleをはじめとする業務効率化ツールは単に時間を短縮するだけでなく、その余った時間で人が人として感じることができることをもっと感じて欲しい(みたいな感じだったかと)。
空いた時間をスマホにばかり熱中するんじゃなく、道端に咲いた名もなき花を発見したり、通りすがる犬に挨拶したり、もっといろいろなことに目を向けていけるといいなぁと感じました。
参考:リースとサブスクの違い
個人的に結構疑問だった「リースとサブスクの違い」。
この問いに明確な回答が本書に書かれていました。
サブスクはLTVをビジネスにして顧客をリアルタイムでわかるようにしないと意味がない。
↑が回答です。
サブスクはオンオフともに顧客をウォッチする必要があると思います(でなければアップセル・クロスセルのタイミングがわからない)。
今後、似非サブスクがもっと増えると思いますので、この解を覚えておこうと思います。
日本が中国に勝っていること
本書を読み進めて、果たして日本は中国に勝っている点ってあるの?と自問自答していると、タイミングよく日本が中国が勝っていることが書かれていました。それは以下の通りです。
①一見意味のないものに情熱を傾けてユニークな文化をつくってしまうこと(アニメ・クールジャパン的なもの)
②温かさや絆があること(ブランドに人の手、温かみが宿っている)
中国のデジマ推進の方々がお話された言葉みたいです。
日本には「無益から有益を生む力」「人の温かみを生む力」があるのかもしれません。
それは中国のような超合理的、利己的な性格が多い人種にとって「義理・人情・浪花節」のような人の温度が感じる部分が奇異的かつ魅力的に映るのでは?と感じました。
最後に:日本は中国のように変われるのか
中国のようになりたいのか?は別として、中国のように変われるのか?について。
ここではボトムアップ型変革を提唱しています。
1.経営レベルがアフターデジタルの世界観を理解し、必要性を感じる
2.「社長-役員-部長-現場」で同じイメージを共有し実行ラインを作る
3.行動データ×エクスペリエンスの小さな成功を積み上げ、ムーブメント化していく
4.成功事例を大義名分に組織構造やデータインフラを整えていく
新規事業から変革を起こすのと一緒で、近道はありません。
特に経営層になるにつれ「リスク回避方法と目に見える実績」がなければ動かないようになると思います。
であれば、まずあるべきを組織間で共有して、小さな成功を積み上げながらムーブメント化していき、同時に組織構造やデータインフラを整備していく、という流れ(いわゆる正攻法)が必要になる、ということでした。
以上、アフターデジタルのまとめでした。
中国のデジマ化は進んでいて、OMOまで行きついた。
日本はどうすべきか?どうありたいか?という話ですが、オンオフ限らずカスタマージャーニーに寄り添えるのは企業として必要だと思います。
ただ、寄り添えるだけではダメで、ユーザーにとって便益がなければなりません。単なるストーカーになってしまうので笑。
私たちローカル×デジマ / ローカル×求人メディア 会社も変革の時。
求職者のジャーニー(退職→検討→応募→面接→採用→定着→退職)に寄り添い、各状況に応じてサービスを提供できる存在になっていきたい。
(がんばるぞー!)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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