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GWに運動をしてはいけないジンクスがある男の話

私には嘘のようなジンクス、というか、もうこの条件下で何かをすることは絶対ないという恐怖体験があります。


いや、あの、これ完全に単なる偶然なんですよ。偶然としか言いようが無いんです。だけど、この特定の条件下で2度私はやらかしてしまっているんです。前置きはいいからとにかく話せよ!という方のためにここから説明します。


■条件:

・ゴールデンウィーク期間であること

・初めてのスポーツであること

・競技を始めて最初のプレイであること


これらが整うと、どうなるか?

なんと、私は必ず粉砕骨折するんです。


冗談だろ?

と思う方が居るかもしれませんが、これは事実です。


順を追って説明します。

1回目は30手前のことです。


アラサーなんていう言葉を周囲が自虐的に使うようになったことから、ちょっとこれは本気で動き出さねばならないと思った私は、少しでも人脈を拡げる、いや、腰の重さを何とかしようと思い、高校の先輩からのフットサルの誘いを受けることにしました。


普段なら恐らくこの誘いに応じることは無いでしょう。でも、そういうタイミングだったんです。なんか知らないけど受けちゃったんですよね。


当時は両親と同居でしたが、母も嫌な予感がしたんでしょうね。普段しないフットサルに行くなんて言い出すアラサーの息子に死相みたいなものが出ていたんだと思います。


普段はそれほど言われないんですけど、妙に怪我に気を付けるようにと何度となく念を押されました。当時は私もシフトで働いていたこともあって絶対に怪我なんてするわけにはいかないとは思っていました。


そのため、本当に念入りに準備運動していたんですよ。もしやるとしたら大体アキレス腱とか、肉離れとか、そんな感じですからね。


陸上部時代の先輩と親交を深め、入念過ぎるほど入念に準備運動をしている様をちょっとからかわれて、でもそれは仕方ないですよね。なにしろこの歳で初めての競技で単純に体の使い方とかよく分からない訳ですから。


さぁいらっしゃい。
ボールなんて殆ど蹴ったことないけど、フットサルを普段からやってる先輩たちからも結構褒められて、いい気なもんです。


そして、始まりました。


私が張り切っているものですから、先輩がボールを即座に回してくれました。


さて、いっちょやってやるかと前を向いたその時。

後ろから悪質なタックルが私の足を狩りました。


どんな態勢かはよくわかりません。

ただ、体が完全に飛んでいます。


まずい。

受け身を取らないと。


こういう時ってスローモーションになるっていうのは本当なんですよ。とりあえず頭から落ちる訳にはいかないので、最善の態勢を取ろうと試みます。頭が叩きつけられない角度は保てましたが、今度は体が変な姿勢にならないようにと調整します。


ある程度身の安全を確保したところで、全身が悪くない姿勢で叩きつけられる絵が私のなかでは出来たつもりでした。


しかし。

左手だけが不自然な状態で残っていました。

思い切り掌から地面に付いてしまったのです。


かなりの痛みがありました。


ただ、最初のプレイでやってしまったところで大きな怪我をしたとなると、先輩の顔を潰すことになってしまいます。こんなところでしらけさせても仕方が無いので、確か全部で3試合だったと思いますが、フル出場に近いくらい出続けました


痛みはもちろんありましたし、手首を折ると不思議なもので、腕が上がらないんです。ですから相当変な姿勢で走り続けたと思います。自宅に帰ると手首の腫れをみた母はさすがに驚いたようで、休日診療所に向かうように勧められました。


結果、左手首の粉砕骨折でした。


結局5月いっぱいシフトから離脱する羽目になりました。上司と常駐先にはもう本当に何度謝ったことでしょうか。会うたびにその時の話になるほどです。



2回目は30半ばの時のことです。


1回目の時から転職していた私は、職場でGW恒例のスポーツイベントに誘われました。江の島の海岸で、ビーチバレーの大会があるらしいのです。


おお、それはなかなか面白そうじゃないか。

30半ばのおじさんがするには悪くありません。


フットサル程ハードじゃないし、フットサル程ガチな感もない。昼休みに外に出てちょっと軽く体を動かすくらいのやつなら、全然問題ないですよ。


こっちはフットサルで手首折っているので、それでも色々考える訳です。運動と聞くと左手首に入っているチタンのプレートを中心に疼きますが、とはいえですよ。ビーチバレーですからね。流石に大丈夫だとこっちは思うんです。


まぁやるとしても、アキレス腱か肉離れか。この想定は前と同じですけど、本当にそれくらいしかないじゃないですか流石に。


多分私、江の島の端から端までジョギングしたと思います。江の島の端がどこかよくわかんないですけど、とにかく走ったし、ストレッチも陸上部時代さながらにやりました。


さぁいらっしゃい。


ただね。

最初にちょっと不安になったんですよ。

今回のビーチバレー、結構ガチなんですね。


これは会社のメンバーだけでやるものではなくて、30チームくらいが参加している公のイベントだったんです。


で、ビーチバレーってよく知らない人もいるかもしれませんが、こういう大会だと屋内でやるバレーボールと同じようなボール使うんですね。要するに、全然レジャーじゃないんですよ。


てっきり江の島でビニールのボール使ってキャッキャウフフするものだと思ったらそういうやつじゃないんです。


で、サーブが入ってきます。ビーチバレーのコツや勘所を掴む前の私のところにいきなりボールが来ました。こういう時にボール回ってきやすいみたいです。


レシーブの態勢に入ります。

とりあえず自陣に返せるくらいの角度で、と構えたその時。


ボールが不規則に動き始めました。


恐らくこれは、無回転だったのだと思います。そこに屋外でしかも浜辺ですから、風に乗っているんですよ。ですから、私が知っているバレーのサーブとは全く異なる性質のボールが襲い掛かってきたんですね。


まずい。

不規則な回転に合わせてレシーブしましたが、思った以上に動いてきたらしく、両手の中心ではなく、ボールを捉えようとして外に投げ出すように動かした私の右手小指を外側からヒットする形になりました。


痛いことは痛いのですが、突き指の重症版くらいのつもりでとりあえずプレイを続けました。その後の飲み会にも参加し、翌日以降の仕事もしていましたが、2週間経っても指が治る様子はありませんでした。


何しろ小指がプラプラしているんです。嫌な予感はありましたが、次の仕事でもシフトに入っているのでやはり休むわけにはいきません。しかし、小指が動かないので仕事に影響が多少出ています。


手首の時と同じ病院に行きました。

右手小指の、粉砕骨折でした。


スケジュールの関係上、手術日はなんと通称「夜勤の谷」に行われることになりました。つまり、夜勤が終わった後でその日の夜にまた夜勤があるという状況での手術です。


部分麻酔で、私の指にピンが刺されます。

どうやらこれを入れることで固定し、元に戻すという趣旨の手術のようでした。


1時間くらいで終わり、その足で出勤しました。


職場にはビーチバレーで粉砕骨折したとは言えなかったので麻酔が解けて痛みが走る中、私は仕事を完遂しました。手術後にそのまま仕事をする経験など恐らくその時だけになるでしょうし、そうでなければ困ります。



ただ、ビーチバレーで私の中でジンクスが確定してしまいました。私は絶対に、ゴールデンウイークにスポーツしてはいけない人なのです。


その証拠に私の両手の握力はこのアクシデントのせいで元々40キロ程度あったものが15キロ以下まで落ちてしまっています。


どちらの腕でも妻の腕を握ると笑われます。思い切り握っても全く握りしめられている感覚が無いからです。恐らく私が必死になって握っている様が面白いのでしょう。


恐らくもう、ゴールデンウイークに運動をすることは無いでしょう。ダーツとかボーリングあたりでももう不安です。脱臼とか可能性ゼロじゃないですからね。ハイタッチしてオリックス時代の門田みたいにやっちゃうかもしれないじゃないですか。


あとね、ジンクスって自分の中で意識したら恐らく負けなんですよ。この条件がそろったと思ったら不幸が自分に寄ってくるところってあると思うんです。「雨女」とかその典型ですよね。


だから、もう私にはこの条件下で運動なんて出来ないんですよ。いや、あのね、3回目が起きるか試してみたいとか、そういうの本当に要らないですからね。アキレス腱切って「今回は粉砕骨折じゃなくてよかった」とか言いたくないです。切に。

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