佐宗邦威(さそうくにたけ)さんに学ぶ! 「武蔵野美術大学大学院造形構想研究科・クリエイティブリーダシップコース特論 第2回 佐宗邦威さん、2019年4月17日、by木越純」

今日のゲストスピーカーは、共創型戦略デザインファームbiotopeの創業者で社長の佐宗邦威さんです。何を血迷ったか、私がムサビの院でデザインを学ぼうと思ったきっかけとなった本の一つ、「21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由」の著者ですから、とても楽しみにしていました。

佐宗さんは法学部の出身ですが、新卒でP&Gで入社しファブリーズなどヒット商品のマーケティングで手掛けます。成功の傍これで良いのかとの思いが募り、デザイン思考教育では先駆的なイリノイ工科大学に留学します。私も含めてMBA留学全盛の時代です。帰国後ソニー・クリエイティブセンターで新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わり、biotopeを創業します。

最近の子供はと教育を論じる人がいますが、まずは大人を元気にしなくてはいけない、アイデアがあってやりたいことがある人は少なからずいるのに、新しいことができる場がない、これが課題だと佐宗さんは指摘します。大人が創造的に生きる支援をすることを通じて、子供達が創造性を伸ばせる社会が作れるのではないかとも。人は自分が役に立っていると実感できるとき幸福を感じます。この自己効力感を感じられる社会を作ることが目標です。

人が創造的になれる手段がデザイン思考です。見えている現場を分析してベストの道筋をつけるのが戦略だとすれば、捕らえどころのない課題と未知の世界の中に新しい道を作る営みがデザインです。個人やチームの持っているビジョンやアイデアを引き出して形あるものにする作業がデザインです。海苔の山本山の李ブランディングのエピソード、人をテクノロジーで幸せにできないかから始まった料理レシピのクックパッドなど、そうなんだと思わせるエピソードが面白かったです。

佐宗さんの世界観は、すでにデザイン思考から先のビジョン思考に移っています。テクノロジーの急速な進歩でこれまで人がやっていた仕事がどんどんAI
や新システムに取って代わられてゆきます。これまでの様に目に見える競争世界を勝ち抜こうとすることに何の意味があるのか、一旦そこから退いてビジョンのアトリエで、自分にしかできないことを見出し(独創)お互いにその実現に向けて助け合う(共創)サイクルを作れる様に自らを変えて行くことが必要なのだと、受け止めました。

「妄想駆動の生き方を始めませんか?」佐宗さんのお誘いに、頷く自分がいます。ご紹介頂いた新刊本「直感と論理をつなぐ思考法 – Vision Design」、ついついアマゾンでポチってしまいました。

biotope公式サイト:https://biotope.co.jp

木越純

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