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ハサミデッキ・グループ練習失敗の話

こんにちは。malsemanです。

私は普通「結果が良くなかった場合は語らない派」ですが、昨日もりゆきさんの凄く良い記事を見て、最近私が経験した「うまく行かなかった失敗例」も意外と役に立つかもしれないと思い、少し遅れて先月の話を書きました。

一つの記事に二つのトピックを入れるのは良くないと思いますが、その時期に頑張って作ったデッキも紹介したくて両方書きました。既に禁止改定により環境が変わって意味のないデッキの話ですが、軽く一緒に読んでもらったら嬉しいです。



Part 1. ハサミデッキ レポート

■大会向けの心得と勝手な約束

前回のチャンピオンズカップファイナル大会で「グリクシス・ヨーリオン」で結構褒められたから、私は最初から目標を「プロツアー権利獲得」じゃなく「新しいデッキで成績を残す」と決めました。

しかし新しいカードリストを見てもパイオニアでは特に良いアイディアは浮かびなかったです。考える途中、もりさんがスタンダードで「スクーナ船」を高評価するツイートを見ました。バズるために「寓話級」だと言いました。私はそれを見て、もりさんは「コプター」の時代にマジックをしてなかったから例えがこうなるんだな、これはどう見てもコプターでしょう!と思い「私がこれをパイオニアで活かして見よう!」と思って試しました。

一番良かったのは「2ターン目に出して、3ターン目に寓話を出して搭乗」という「銀行破り」は出来ない動きでした。早速「船入りグリクシスミッドレンジ」や「船入りイゼットドレイク」を作って調整しました。
もりさんに個人メッセージで「船入れて新しいデッキ作ります!期待してください!」と勝手に約束もしました。

■象さんの暴れと温故知新

大会1週前にMTGOで市川さんが「象さんコンボ」で優勝、準優勝はJMMさんの「地質鑑定士コンボ」でした。
環境が「最速3ターン目に除去かカウンターを持っていないと死ぬ」と言う凄い状況になり、既存に考えたミッドレンジは使いづらくなりました。

「温故知新」という中国のことわざがあります。「過去に起こった出来事や教えをよく調べて学び、そこから新たな知識を得る」という意味です。
私は「コプター」の時代がどうだったか覚えています。その時も「霊気池」という4ターン目にウラモグが出るコンボデッキが存在する環境でした。
コンボデッキに一番強いのは速く殴りながら妨害するデッキ、「クロックパーミッション」だという理論は知っているから、昔の「機体デッキ」をベースにして調整を始めました。

初期バージョン。凄く弱かった。

適当に昔のデッキを真似しながら試しましたが、1ターン目《Toolcrafter Examplar》が出ないとクロックが足りなくて象さんデッキのミッドレンジプランに勝てませんでした。友達の「それダメっぽいですね」という評価を受け入れるしかなく、諦めました。

■八十岡さんの配信で解答発見

大会4日前、八十岡さんが現在のパイオニア環境に関して語る配信で色んなデッキを紹介し、その中に「ハサミデッキ」がありました。そこの説明でハサミデッキはコンボには勝てるがラクドスやボロスが無理で、ハサミのために弱いカードを多く使うしかないから弱いと説明していました。(船もさすがに弱いと説明。。。)

八十岡さんの配信で閃いた

しかしこのデッキは私が考えた「船クロックパーミッション」の答えでした。足りなかった速度と爆発力を「ハサミ」なら完璧に解決できました。
そこで考えました。「これだ!ラクドスに弱いという点は、ラクドスを乗り越えるハサミを作れば今回のメタゲームで最適だ!」
そこから「船・寓話入りハサミ」を調整し始めました。最初はグリクシスで「思考囲い」も使いましたが、調整中安定性のため青赤になりました。

■MTGO 5-0リスト

私はメタデッキを作る時は「狙ったデッキがベストパターンでも勝てる」ように作る派です。コンボが最速3ターンに決まるなら、先手は2ターン目、後手は1ターン目しかフルタップ出来ない。コンボのベストパターンに負けたくないなら、「先手は2ターン目まで強く攻めてその後は1マナの妨害を構える、後手は2ターン目に1マナを出しながら1マナを構えるしかない」これを意識して作りました。
苦手なラクドスには「普通のラクドスは無敵ハサミを処理できない」と思い、「ハンデス打たれてハサミが無くなると寓話を多数使って乗り越える」ことを意識しました。サイドの《Cinderclasm》は対ボロス用で、もりさんへのリスペクト感で試しました。《The Akroan War》は船と一緒ならグルールがシェオルを倒す時の動きができると思って入れました。
実はこの時点で既に「船は先手しか使えない強くないカード」になってましたが、約束を破ることは嫌だから諦めませんでした。

思ったより感覚が良かった

デッキ提出1日前のMOリーグで1発5-0。
途中でMOで有名なMcWinSauceさんの象デッキにも勝ち、後でカナダで優勝して有名になった「グリクシスフェニックス」にも勝ちました。(当時には「へえーあんな構成もあるんだ。《Bitter Triumph》で強くなったな」と思いました。)4-0の時に少し悩んでわざと負けるかと少し思いましたが、友達に話したら「どうせ公開されてもリーグ5勝なんて注目されないよ。MOに名前残ろう~」と話して勝利しました。(無事に残った)

■直前データバイアス・提出後後悔

次の日、提出直前にもう一回MOリーグをしましたが、今回は3-2でした。
5色人間と青白コンに負けました。特に青白コンは「白行進」「一時的停止」が凄く苦手で、サイドボードが足りないと感じました。
ロングゲームに行かないデッキだからJeganthaより苦手デッキにもっと強いサイドボードが必要だと感じ、《Storm's Wrath》を採用、《The Akroan War》は《Brazen Borrower》に変更しました。

ここで私は「苦手なデッキに強くなろう。コンボは今でも十分だし対策を少し減らしてもいいかも」と思いました。直前練習データの影響でバイアスに掛り、4枚だった必要なカード《Torch the Tower》と寓話を減らして他のカードを増やしました。正しくもりさんの「なぜ人はデッキを弱くするのか」記事の「失敗パターン②」そのままでした。

マナカーブは綺麗になったが、デッキパワーは下がった

デッキ提出後、一人で回し続ける度に凄く後悔しました。「枚数減らしたせいか?パターンがなかなか出ないな」「何で寓話を減らしたんだろ、手札の土を地捨てたい」「もりさん、船二枚目は弱いっす。Shrapnel4枚目が欲しい」等々、短所が凄く発見されましたが、既にデッキ提出時間切れ。
調整時間が足りなかったのは事実ですが、もっと良いバージョンから悪くなったと思うと悲しかったです。

■実戦結果

大会当日、Jさんからプロに学んだいい話を聞きました。「不利なデッキに勝てるパターンが狭い場合、激しくマリガンする」という内容でした。カード枚数調整失敗で確率が下がったとはいえ、勝てるパターンがいなくなったんじゃないから、プレイングである程度改善出来るという内容でした。

最終結果は4-3で初日落ち。幸い狙ったコンボデッキには完璧に勝ちましたが、想定外のデッキには全部負けました。Merfolk戦もGoblin戦も相手のリーサルパターン知識不足でミスもあったが、両方「Shrapnel2枚目」さえドローしたら勝ったゲームでした。Goblin戦はTorchを減らした事が凄く悪かったです。メインから減らすなら、サイドボードのVolley3枚を2+1枚にする方法もあったのに、「綺麗なデッキリスト」にこだわりすぎて「デッキは75枚合わせてデッキ」という大事な真理を忘れてしまいました。

公式Xに「初日落ち惜しいデッキ」に載りましたから自分には完全失敗とはいえないですが、もっと上に上がりたかったです。

■この後のハサミ

正直推薦しません。「コプター」が追加されて強くなったとは言え、軽く妨害しながら速く20点殴るデッキだから、「アマリアコンボ」が流行ってる今はメリットが少ないです。簡単に遊びたいならMOのDoomwakeさんのようなオールイン形が良いと思います。


Part 2. グループ練習失敗の話

■本戦3ヶ月前

知り合いのJさんが声を掛けてくれました。
Jさん:今回はファイナルに挑戦する韓国人を集めてお互い頑張りましょう。
M(私):いいね。でも本戦参加しないけどマジックが上手い練習相手も少しいる方が良くない?
Jさん:いいえ、大会に参加する人とそうでない人は挑む温度が違います。個人的には実力や時間より大事だと思います。
(Jさんが連絡先を知っている10名を集めて、グループチャットを作った。最初挨拶とホテル予約以外の話は特になかった。みんな「まだ本戦遠いから」と思って話す必要を感じなかった。)

■本戦1ヶ月前

Jさん:正直イクサラン出ても特に変わらないと思う。私は得意なデッキを続けて極めます。
M(私):何言ってる、新しいカードが出たら環境全部変わる。練習はその後する方がいい。その前はあまり意味がないと思う。
Nさん:環境が変わるか否か分からないが、既存デッキと戦う場合も結構あるんじゃない?練習は今からする方がいい。

■イクサラン発売前の情報共有

他の地域予選が行われましたが、まだイクサラン発売前でした。
私はとりあえず大会結果meleeページを投げましたが、みんな普通にfireshoesさんのXを見てたから、「知ってる情報」でした。
発売1週前にカードリストが出ました。「アマリアコンボはどうなるか気になる」くらいの話はあったが、特に深いカード分析の話はありませんでした。ロータスが好きな人はSpelunkingの使い方を研究する感じでしたが、他の人たちはあまり興味なかったです。

■発売直後~1週目

前回の大会優勝者Alexさんが少し意見を出しましたが、英語が上手く出来る人以外はまともな意見を出しませんでした。みんなどんなデッキ使う予定?みたいな軽い話だけしました。
ショップに集まて練習しょうというの誘いがありましたが、個人スケジュールが合わなくて私は参加出来ず、3人しか集まれなかったらしいでした。(練習結果の公有は特にありませんでした。)

■大会1週前:象さんの暴れ

市川さんの象コンボ優勝でみんな大混乱。デッキが本当に強いのかに関して少し話したが、経験が無いから大策に関して特に何も言えませんでした。私は私なりに八十岡さんの情報操作(?)環境分析配信内容を翻訳してみんなに公開しましたが、これは「権威に頼る」だけで、それからどうするべきかに関しては特に話しませんでした。
そのあと、私を含めて少し親しい4人でグループBを作りました。Discordで一緒に練習しながら話そうという目的でした。

■個性尊重という放置

Discordで発見コンボに関して話しましたが、意見が分かれてました。
「発見コンボはラクドスが除去構えたら簡単に勝つじゃん」
「いや、優勝した市川さんがミッドレンジプランで乗り越えるって」
「正直韓国日本両方ラクドスマニア多いから、環境変わらないんじゃね?」
「八十岡配信見て、凄く乗り換えると思うよ」
「アマリアコンボ強くない?」
「それも除去したらおしまいじゃん。3パーツだし」
「あー知らん、私はこれで行く。みんな早く選んで練習しよう」
等々、お互い確信がないから平行線の意見でした。結局「私はこう考える、あなたはそう考える」みたいに結論なしに終わりました。
私はオリジナルデッキにこだわり、Jさんはサクリファイスにこだわり、M2さんとSさんはデッキにこだわりはなったが何が最先の選択なのか見つからないまま各自の道を行きました。

■本戦結果

まともな意見交換はなく、みんなそれぞれの考えで選択しました。
(最終選択デッキの共有も半分はしなかった)
私が入ってたグループはほぼ全員初日落ち。(Day2進出 2/10)
最終的に成績が良かった韓国勢は、練習グループ外の人達でした。
Day2に行った人は「慣れてるデッキを極めた人」が多かったです。

■Day1の夜、知り合いの涙

初日落ちた日、ホテルで知り合いと酒を飲みました。彼は今回大会で良い成績を残すために凄く頑張って研究・努力したが上手く行かなかったとため息をつきましたが、私はそれを知らなかったです。同じグループに入ってたのに。
彼は最後に慣れてない象さんデッキを握ってメタられて終わりました。私と別の友達の分析では絶対避けたい選択でしたが、私たちは、お互いの研究内容の公有を全然しなかったことが分かりました。
もう少し話をしてたら、得意なデッキを捨てて狙われる先週デッキコピーを選ぶ選択はしなかったはずなのに。少し悲しくなりました。


事後分析:なぜ失敗したか、そもそも何のために集まった?

今回もりゆきさんの「勝てるTCG調整チームをつくる」記事をみて、改めて考えました。私のグループはなぜ負けたのか。

集まるだけでは効果が生み出さない。
集まって良い結果をだす為の努力が必要でした。

■グループの為に努力した?

私がした事はほぼ「Intelligenceになれなかった情報」を投げただけでした。
(個人的にはこのInformation/Intelligenceの分類は軍事情報学でしか使わないことだと知ってました、調べて見たらそうでもなかったです)
実際あまり役に立たない情報を投げたのに「貢献した」と勘違いしました。
情報を活かすのは個人の能力だと勝手に判断しました。

■私の為に努力した?

グループ全体が何かを得ることも重要ですが、私自身に役に立たないとグループに入った意味がありませんでした。
私は元から自分のオリジナルデッキを使う予定でしたが、それをもっと強くする為にグループを活用するべきだったんです。
しかし、オリジナルデッキの話はグループには良くないと勝手に思い、積極的に話さなかったです。

■グループの為に必要だった行動は?

もりさんの記事を見て、少し分かりました。「ナッジ&ゆるい報告をお願い」が必要だったと思います。
最新デッキの情報を投げるだけではなく、そのデッキに対して私自身から意見を出し、他の人の話を呼び出す必要がありました。誰か話して欲しいのではなく、私はこうと思いますが、あなたはどう思いますか?と意見を話す場を作る必要がありました。
そして間違っても「デッキに対する私の価値判断情報」を一緒に提供した方が良かったと思います。単純にこのデッキ弱そう強そうではなく、何故そう思うのかを一緒に話すと、他の人も意見を話しやすかったと思います。

■私の為に必要だった行動は?

もっと積極的に「言語化」する必要があったと思います。
私のデッキに乗って一緒に研究することは普通期待しませんが、少なくとも何の説明もないまま「このデッキどう?」と質問すると、「いいね/くそデッキ」みたいな全然役に立たない感想が返されます。もっと明確に「私はこんな考えがあってこのカードを入れた。あのデッキに対してこんな動きが出来る」など簡単な説明が伴ったら、もっと良いフィードバックをもらえたと思います。
大会後見た原根さんの環境とゲーム様相を含む凄い言語化までは難しいが、自分のデッキに関しては少し努力すれば本文のPart1.のような話しは出来たのに、「どうせ誰にも共感されないだろう」と思って諦めました。


■おわりに

正直私はチーム調整には合わない人だと思いました。(個性が強く、論理的な話は好きだけど私自身は凄く感覚派)しかし今回のもりさんの記事を見て少し考えが変わりました。グループ練習の失敗は単純に私個人の問題ではなく、「もっと上手く活かす方法を知らなかった」だと。
次にグループ練習やチーム調整をする時が来たら、今回の失敗経験を基にもっと上手くやりたいです。

話題の記事に乗って急に書いた時期遅れの記事ですが、失敗例にも役に立つ人がいたら嬉しいです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

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