よいこの工場見学、ミドリムシ地獄編

 まさかミドリムシが巨大化して人を襲うなんて思わなかった。
 思わなかったに決まってるだろう。
 いいかげんにしろ。

 ミドリムシはプランクトンの一種だ。
 水の中にいる微生物で、植物みたいに光合成ができ、動くこともできる。
 べん毛という触手みたいなビロビロしたものが生えていて、それで泳ぐことができるのだ。
 そんなミドリムシはユーグレナとも呼ばれ健康食品にもなっている。
 おれが見学にきたのもそうした健康食品の工場のひとつだった。
 そうしたら、ミドリムシが巨大化して人を襲っていた。

 「もんもー!」
 「ぎゃあああ!」
 ミドリムシが人間と一体化した怪物が、人間の足でこちらに走ってくる。
 上半身を占領した巨大ミドリムシがべん毛を振り回し、逃げ遅れた工員の首をはねていた。
 「くそっ、おれは工場を見学しにきた善良な観光客なのにっ」
 おれは拳銃をとりだし、股間を狙って撃った。
 「もおおおも!」
 股間から緑色の血を吹くミドリムシ男!


つづく


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