たばこ税が上がるほど強くなるババア

 近所のタバコ屋のババアが強くなっている。

 そうなんだから仕方がない。

 ババアはたいそうな年で、いつ死んでも全く不思議はない。全身骨ばっていて生きながら白骨化進行中だ。ババアが持っていると茶碗も骨壺に見えるし、どんな花も菊に見える。

 おれに会うたびに「働きなよ」とか言ってくる。「無職タバコはおいてない」とか言う。そんなババアだ。

 それが最近強くなっている。

 このあいだ見たら、素手で強盗をちぎっていた。

 比喩とかではなくちぎっていた。まるでティッシュでも取るみたいに強盗の首をもぎ取っていた。強盗は真っ赤な噴水みたいになって死んだ。

 このあたりは強盗が多いのだが、ババアのタバコ屋はメッカになっている。ババアが殺した強盗の敵討ちにまた強盗がくるのだ。ほぼ毎日くる。

 無職でヒマなので、ババアと強盗の戦いを記録し、ババアの強さをグラフにしてきた。

 すると、意外な事実がわかった。

 ババアの強さがたばこ税と比例する――。


 続く

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