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#お題で映画紹介

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#映画感想

『みなさん、さようなら』から考える引っ越しの未来

一番古い記憶は団地に住んでいた時のことだ。 3-4歳くらいだっただろうか。おそらく2LDKの間取りだった気がする。その団地に友達がいてよく遊んでいた。ある日、その子の家で遊んでいたら、親が迎えにきたことがあったのだが、「帰りたくない!」と言って、その子の家の柱にしがみついた記憶がある。 そんな団地からもいつのまにか引っ越していた。 それから今日まで団地に住むことはなく、これからもない気がする。ひとつの閉鎖空間というか、何号室の誰とバレてしまっている感じがして、住みにくい

「結婚しても、しなくても、どのみち君は後悔することになる」

今回の日刊かきあつめテーマは「#結婚」である。 結婚を扱った映画はこの世にごまんとある。 二人が出会って、愛し合って、結婚するまでを描いた王道作品もあれば、結婚している二人が問題を乗り越えて愛を深める作品もある。 さらには結婚しない選択をする人たちの映画や、離婚を通じて愛とは何かを考えさせる映画まで。 人の数だけ結婚の考え方があり、その数だけ映画がある、といっても過言ではない。 結婚の映画についてあれこれ考えて、ふと思い出したフレーズがこの記事のタイトルである「結婚し

実家を売った時に見つけた一冊から考える『花束みたいな恋をした』

二年ほど前、実家を売った。 売ったといっても持ち主は父なので、私が売ったワケではないのだが。 横浜市郊外にあったその実家は、一軒家で2000年頃に建てられたと記憶している。それまで借家暮らしだった我々家族にとって、その家はいわゆる「夢のマイホーム」で、家の隅々まで愛着があった。 その実家を売られることになったのは寂しくもあったが、これも時の流れ、と思いながら実家の片づけをしていた。 実家に置きっぱなしにしていた大量の本を処分していた時、その中に身に覚えのない本を見つけ

大人になれないと、ナマハゲになるぞ

今回の日刊かきあつめテーマは「#成人式」である。 成人式はとうの昔に終わっている。来年には30歳になるのだが、はたして自分は大人と言えるのだろうか。 成人式を迎えたあの頃は、30歳はめちゃくちゃ大人だと思っていた。だけど30歳を目前にしてみれば、成人式を迎えたあの頃と何も変わっていない。体重が少し増えたくらいのもんだ。 自分から意識していかないと、大人になることは永遠にないのかもしれない。もし大人にならず、子供のまま親になってしまったら。きっと社会から弾かれてしまう。

ラジカセをくれた父へ

はじめて買ったCDの話には続きがある。 CDを学校で流すために買ったは良いものの、家で聴くには多少の苦労があった。 なぜなら、自分の部屋にCDプレイヤーは無く、聴くためには毎回リビングにあるラジカセで聴かなくてはならなかったからだ。 真っ黒で横長のラジカセは、小さい頃から家にある年季モノで、我が家ではCDを聴くよりもラジオを聴くために使われていた。 最初はリビングにCDを持っていったものの次第に面倒になり、自分の部屋にラジカセを持ってきて、リビングで必要な時には逆に持

言いたいことは言葉に出来なくて

初めて買ったCDはFLOWの『贈る言葉』だった。海援隊の名曲を、ロック調にカバーしたものだ。 何故買ったのかというと、小学校の給食の時間に流したかったからだ。 うちの小学校は給食の時間に、放送委員が選んだ曲を全校に流す決まりがあった。放送室にない曲をリクエストしたい場合には、委員会の子にCDを渡すことでかけてくれた。 クラスの仲良い友人と「『贈る言葉』が名曲!」と盛り上がっていた当時、僕らは間もなく卒業を控えた小学6年生。卒業したら遠くの中学校に行ってしまう友人もいたの

大切な人が死んだからって、人は変わらない―映画『凪待ち』

その男は高校を卒業してすぐ、大企業に入社した。 周囲が大学卒の優秀なやつらばかりで、負けるもんかと、人の一倍仕事をした。稼いだお金の多くは田舎に残った母に仕送りした。 しばらくして男は結婚した。二人の子供を授かり、家族を養うために今まで以上に仕事をした。手のかかる小さな息子二人を妻に任せ、休みもなくひたすらに働いた。自分自身が小さい頃にお金で苦労したから、息子たちにはお金で苦労をさせたくなかった。 家のことは全て妻に任せ、朝から晩まで働いた。完全にワーカホリックだった。

狂うほどの愛:映画『君が君で君だ』

先日、日刊かきあつめの記事でこういう話を書いた。 要するに、恋愛映画が苦手だという人は、恋愛の中に潜む狂気に注目して観ると面白いよ、という話なのだけど、正に最も狂気に満ちた恋愛映画をみつけた。 それが『君が君で君だ』である。 (公式HPより) 3人の男が惚れてしまった女性のことを10年間、向かいのアパートでただただ「見守っていた」という話。 ここからはネダバレ全開で「狂気」について解説するとともに、この映画のポスターに書いてある「この愛は純情か、それとも異常か」につ

奥田民生になりたい「個人」と出会う男すべて狂わせる「分人」

先日、Amazonプライム・ビデオに追加された『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』という映画がある。 同名のサブカルマンガを『バクマン。』『モテキ』の大根監督が実写映画化。奥田民生を崇拝する雑誌編集者の青年・コーロキ(妻夫木聡)と、全ての男を好きにさせるほど容姿端麗な美女・あかり(水原希子)が繰り広げるラブコメディ。 あかりに好かれるため、憧れの奥田民生のように「力まないカッコいい大人」を目指し四苦八苦するコーロキ。結構序盤でその願いは叶い、見飽きる

「うなじ」で選ぶ。おススメ映画2選

あなたはどうやって観たい映画を選ぶだろう。 好きな監督、俳優や女優。もしくは、原作やジャンルなどで選ぶことが多いとは思うが、うなじで映画を選んでしまったことはないだろうか? きれいな うなじで 飯がうまい 「うなぎ」ではない、「うなじ」である。 どうして綺麗な顔は見惚れないのに、綺麗なうなじは見惚れてしまうのだろう。 人はそれを「フェチズム」と呼ぶが、誰しもそんな一面あるでしょう? ということで、本日は「うなじ」で選ぶおススメ映画2選を紹介する。 1.舟を編

夢中を続けられた3つの理由|映画【泣き虫しょったんの奇跡】

「努力は夢中には勝てない」 最近、あらゆる業界でこれまでの常識をひっくり返したという話を聞く。 Uber、Airbnb、メルカリ、Netflixなどの企業から、箕輪厚介、落合陽一などの個人まで。 これまでの常識をひっくり返した者たちは、どこか傍若無人で人間離れしている。彼らのように振る舞わなくては、自分の好きなことに夢中になれないのだろうか。 しょったんも将棋に夢中になった。腹の底から将棋が好きで、奨励会の年齢制限によりプロの道が断たれた後も将棋を続けて、これまでの常

頑張れる幸運を見落としている|映画【予告犯】

「何か夢はある?」 と聞かれてすぐに思い浮かぶことはなんだろう。 何か一発デカイことをやりたい。 彼女がほしい。 回らない寿司屋で、腹一杯食べたい。 友達がほしい。 父ちゃんに会いたい。 夢に大きいも小さいもない。どんな夢でも、夢を持てること自体が素敵なこと。 さらに夢を叶えるために動けることは素晴らしいし、もっと言えば誰かの夢のために動けることは最高なことだろう。 しかし世界はそんなに甘くはない。思い通りにいかないことは沢山あるし、辛い事やしんどいことの方が多いくら

幸子は何故乳を出したのか|映画【黒い家】

この人間には心がない 第4回日本ホラー小説大賞を受賞した貴志祐介氏による同名小説を映画化した「黒い家」 人間の狂気が垣間見れる邦画パニックホラーの金字塔。 本当に怖いのは、幽霊ではなく人間だということを味わえた。 【あらすじ】保険会社に勤める若槻慎二は保険金の説明に訪れた女性の家でその女性の息子の首吊り死体に遭遇する。警察は自殺と判断し、それに基づいて保険金も支払われることになった。しかし、両親の態度に不審なものを感じた若槻は自殺に疑問を感じひとり調査を開始する。そ