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ヤマハピアノU1Dのクリーニング記録

こんにちは。子育て中のママ調律師チーム「おはなピアノ調律」です。残暑と突然のゲリラ豪雨、そして台風到来となかなかに気が抜けない季節の変わり目ですね。

余談ですが、我が家(manami)は家がオール電化でして、昨年の台風の教訓でカセットコンロを購入しました。しかし、まだガスを購入していないというポンコツぶり。(そうこうしているうちに台風がやってきそう・・・)備えあれば患いなし。電池も買わないと。何も起こらないのが一番ですけれどね。

そんな話はさておき、先日はおはなピアノ2名で杉並区のお客様のお宅にてピアノクリーニングを行いました。​その作業内容を記録としてまとめたいと思います。クリーニングとは↓

作業ピアノ基本情報

今回のお客様は、おはなピアノのLINE@からのお申込みでした。1対1でトークが可能で、ご予約やピアノの情報や状態のやりとりもとてもスムーズでした。みなさまも是非活用下さい。(忘れずに営業も笑)

ピアノはヤマハのアップライトピアノU1Dマホガニー。1965年(昭和40年)製。古き良きピアノです。

調律は35年ぶり!平成の間はずっと冬眠していたようです(まさに平成ジャンプ!)←相棒に白い目で見られても言いたい。

ロゴが鍵盤蓋ではなく、上前板の右上にあります。個人的にマホガニーとの組み合わせがレトロで好きです。

気になる状態はいかに?

お客様からメーカーや機種など事前情報を得ていたとはいえ、中身を分解してみない事には、分からない事が沢山です。

まず、ネジは外れるだろうか。弦や響板、フレーム、外装の状態はどうだろうか。虫食い、錆び、カビ、汚れ、部品の消耗はどうか。考えだしたら眠れなくなるので、色んな場合を想定して色々と道具を準備しておきます。結果、両手に道具や用具を沢山抱えていざ。

ご挨拶もそこそこに中の状態を2人で目を凝らし隅々までチェック!

幸い、設置場所の環境やお客様の取り扱いのおかげもあり、年数が経っている割に、中の状態もまずまずで大掛かりな修理もなさそう。まずはひと安心。

購入後しばらくは定期的に同じ調律師が担当していたようで、その方もきちんとお仕事されていたのだなぁと思いました。調律師あるあるかもしれませんが、ピアノの状態で今までの調律師が良くも悪くもどんな仕事をされる方か分かってしまいますよね。

作業にとりかかるまでに

前述したとおり、大掛かりな修理などはなさそうでした。とは言え、年数が経ったなりの部品の消耗や、ホコリ汚れ、調整が必要な所もあります。

音はなんと半音近くも下がっています。

まずはおおまかな必要時間を算出し、2名で作業を割り振り、順序を組み立てます。2名で作業出来るのは個人的にも心強く、何より作業効率が格段にアップします。おはなピアノを始めてそろそろ5年。阿吽の呼吸です(たぶん)

お客様にピアノの中を実際に見て貰いながら、現在の状態、必要な作業内容、費用、作業時間などのご提案後、了承を得て作業に入ります。

①~まずは、徹底的に~

お掃除です。それはもうハウスクリーニング並みにピアノの中をお掃除します。鍵盤もアクションも全て外して行います。ピアノの下や、ピアノが動かせる場合には背面も。

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これは、底板に掃除機をかけた後かな。この後隅々まで拭き掃除をしました。お客様がピアノを弾く時に見える場所ではありませんが、汚れがたまる場所ですし、やはり綺麗にしていくと気持ちが良いです。雑巾は真っ黒になります。

写真を撮る了承を得ているのに、いつも作業に没頭するあまり、写真を撮り忘れます、、、。数少ない写真でお楽しみ下さい(笑)

掃除できるところはすべて掃除、拭き掃除をします。2名でも1時間くらいかかりましたが、ここからがスタートです。

②~作業分担開始~外装磨きとアクション関係

今回は、この後1名がアクション関係(ネジ類の増し締めや部品のチェック、ハンマーファイリングのなど)、もう1名が外装の手磨きへ。

外装磨きは文字通りひたすら外装部分をツヤツヤに磨きあげていきます。しかしこれが重労働。確実に次の日から筋肉痛です。磨いたものからワックスがけもしておきます。このモヤっとした外装が、

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最終的にこうなりました。

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艶が出て、鏡のように映り込んでいるのが分るでしょうか。手触りもツルツルでずっと触っていたくなります(笑)

一方では、ハンマーファイリング中。

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ハンマーが弦を叩く事で音が出る仕組みですが、ハンマーに弦の溝が深くつくと、だんだんとハンマーの形がいびつになってしまいます。その結果、音がキンキンしたり、硬くなったり、溝からずれる事でモヤモヤした音になったりと、弾く音によってバラバラな音色になってしまいます。

なので、一皮削って、卵型になるように成形していきます。削る事で、ハンマーの重量も軽くなってしまうため、何度も削る事は出来ません。その場合には新しいハンマーに取り換える事になります。

今回は、交換する必要はないと判断し、ファイリング、その後細かく整音調整を。

この辺で一旦休憩。お客様に「いってらっしゃい」と言われながら歩いてお昼休憩へ。いってきま~す!しかし、外は暑い。お部屋はエアコンで快適に作業していたので暑さが身に染みる、、、。

③~鍵盤調整と音の引き上げ~

お掃除の後、鍵盤をはめる際に鍵盤調整を行います。(写真なし)

バランスピン、バランスホール、フロントピン、ブッシングクロスなどすべてが演奏者が弾きやすくなるように調整します。

その後、アクションを戻して弦合わせなど微調整を。

そして、音を引き上げていきます。半音近く低下しているので慎重に。弦が切れませんように、と祈りながらギューンと引き上げます。切れなかった。良かった。

その間、もう1名はひたすら外装磨きに精を出します。金属、ペダル、ロゴも磨きます。

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サビ落としを塗って、(ちなみに敷かれてるこの新聞は私の地元の福井新聞)

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左右の違い分かりますか?まだ途中。

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こんな感じに仕上がりました。金属やペダル磨きはいつもお客様が一番喜んでくれます笑 そして、なぜここだけ写真が沢山あるのかと言えば、写真撮る余裕が出てきたからですね(思い出したというのもある)

④~整調と最終調律と仕上げ~

音の引き上げ後、内部の整調など行い最終チェック。本律を行います。

調律の間に1人は片付けをはじめます。そろそろ終わりが見えてきました!

2名で伺うと片付けもスピーディ。調律が終わり、最終チェックが終わる頃にはお客様にもお声がけして、一緒に確認を。

まとめ

なんだか文字にするとあっさり終わった感じですが、朝10時過ぎに伺ってから18時頃まで約8時間の作業でした。長時間に渡りありがとうございました。(なんか書き漏れている作業もある気がする)

お客様は大変満足して頂けたので良かったです。これから沢山弾いて貰えたらとても嬉しいですね。

今回は、最終的にはピカピカになったけど、予想よりも外装磨きに少し苦戦したので、何か改善できないか考えたいと思います。(素材?研磨剤?ヤニか塗装剥がれもあるのか)

そして、次の日ではなく、この日の夜から首肩が痛くなったのでした。おしまい。

おはなピアノでは、毎月1台限定でクリーニングキャペーン実施中です。お気軽にご相談下さい。


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