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交差弦・断線・張弦(2/19追記)


交差弦の下の芯線が切れた場合の張弦技術について知りたい。

そう思いググったところ、ネットにはヒントが見当たりませんでした。
手持ちの技術書にある張弦のページも、高音部や巻き線、あるいはオーバーホールばかり。もちろん中音が切れることはまれです。ですが、可能性がゼロではありません。しかも切れていたら、あるいは切ってしまったら確実に途方にくれてしまう。きっとそんな技術者がどこかにいらっしゃるはず。。
そんなわけで、おはなピアノの実録をネット上に残しておこうと思います。

注)通常の張弦作業の段取りは知っている人対象なので、通常作業の記述は省略しています。

ヒッチピンと駒ピンに弦をかけるところが大変

一本めの弦をチューニングピンに巻き付けて、そのあとどうやって速やかにヒッチピンに弦をかければよいのでしょうか?
今回、ある先輩からパイプを使うと良いというアドバイスを頂きました。

断弦していない自分のピアノでイメージトレーニング

素材も長さもこまごまと聞く時間がなく、とりあえずホームセンターで樹脂のパイプを購入し、適当な長さに切って二本用意しました。

1,通常の手順でチューニングピン一本目に弦を巻き付けたあと、弦は筬の下までたらして、そこでパイプに弦を通してます。そしてカーブさせて筬の上まで引き上げて、交差の部分に弦を差し入れていきます。
・パイプを使うことで、狙った場所に弦が誘導されやすくなるのかな?
・ただし駒ピン近くまでパイプがあるとつっかえてしまう。パイプの長さや芯線にかぶせる場所をどこからどこまでにするかに注意。

2,マイナスドライバーなどを巻き線の間から差し込んで、なんとか弦を誘導しヒッチピンにひっかけます。他のヒッチピンにかからないように調整した上で弦を曲げ、クセをつけたらいったん交差部分から弦を引き抜き、パイプを外します。

3,もう一度交差部分に弦を引き入れてヒッチピンに弦をかけたら、2本目のチューニングピンに弦を巻き付けます。

4,通常の張弦同様、少し巻いたら、ヒッチピンと駒ピンにしっかりセットします。
・他のヒッチピンにかからないようにするには、交差の下であっても弦を少し浮かせることを意識すると良いです。

5,通常の張弦と同じ作業をします。

パイプよりも大事なこと

パイプは弦の誘導のためにあってよかったのだと思いますが、先輩が伝えたかったとおりの使い方ができていたのかは疑問です。
それよりも、、、、おはなピアノ二人で作業できてよかったと思いました。
筬の上からの弦をまいたりの作業と、筬の下に潜り込んでヒッチピンや駒ピンと格闘する作業を分担出来たからです。
一人で交差部の中音、さらにヒッチピンも交差部にある弦の張弦ができる技術者の方も多いかと思いますが、まるで想像がつきません^^;ので、ぜひその方法・コツ・アイテムを教えてください!
それくらい、一人だったらどうなっていたことか、、、と思う作業でした。

ピアノは大きな楽器ですので、一人ではやりにくい作業もあるのが現実です。また、作業内容も日常的なものから技術者人生において一回遭遇するかしないかわからないようなものまで多様です。ぜひ横のつながりを構築して、助け合いながら学び合いながらやっていきたいものですね。

2/19追記
同業者の方々からいただいたアドバイス
なんとかヒッチピンに新しい弦をかけることができたら、、、
1,フェルトウェッジで弦をおさえましょう。(これは盲点でした!)
2,または普段の張弦でクリップを使う方多いと思いますが、ヒッチピンが芯線の下にある場合、低音弦を少しゆるめて、クリップを差し込んでとめましょう。(低音弦を緩めるというひと手間!)


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