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19歳の質問「石部を選んだのはなぜ?」③

19歳からの質問シリーズ。2つ目の質問は、「どうしてマメコーを石部で開いたのか?」です。

これは個人的な理由というよりは、①地理的要件と②まちづくり戦略としての理由が大きいです。あと③偶然。

湖南市の協力隊と活動地域

地域おこし協力隊は自治体によって様々な運用をされており、自治体によっては活動地域を制限していることもあります。Aさんは〇〇地区、Bさんは△△地区のような感じ。また、市役所内に机があったり(移住支援や広報など)、観光施設(美術館や道の駅など)を拠点にしたりと、具体的なハコが決まっていることもあります。

湖南市の場合は、地域制限や活動拠点はありません。(※協力隊の事務所はある)
それぞれが好きな場所で活動できます。

拠点を必要としないプロジェクトの人もいます。自宅でも作業できるのですが、ずっと自宅で作業しているのは市役所が嫌がるので、その場合は、事務所やコワーキングスペースを利用します。

「お店」が必要な協力隊メンバーもいます。湖南市の協力隊では「宿&ギャラリー」と「BOOK CAFE」のプロジェクトが立ち上がりました。

①地理的要件

この2つのプロジェクトは、湖南市・石部地域の、(ほぼ)旧東海道沿いにあります。それぞれ理由や流れがあってこのエリアにお店を「DIY」で作り始めました。

石部は東海道五十三次の51番目の宿場町で、この旧東海道も30-40年前まではお店がたくさんある商店街だったそうです。今はこの旧東海道に沿って2車線の通りができ、そちらが商業通りになっており、旧東海道沿いにほとんどお店はなく、住宅地になっています。

昔ながらの街並みが残っているわけではなく(景観条例が施行されたのは2020年)、古い建物は取り壊され、洋風な建物やアパートにどんどん変わっています。昔の石部の街並みを再現した公共施設「石部宿歴史民俗資料館」はちょっと離れたところにあります。

昔ながらの街並みはあまりないけど、石部が魅力的な理由がいくつかあると思います。

アクセスの良さ

さすが宿場町だけあって、石部は京都・大阪からのアクセスが意外と良いです。JR石部駅から京都までは40分くらい。名神高速の栗東・湖南インターがあるので、大阪・京都方面からはインター降りてすぐに石部に入ることができます。

また、周囲を、栗東市、守山市、野洲市、甲賀市という人口の多いまちに囲まれているのもメリットでしょう。

商売ができる地域

「商売ができる」地域かどうか、というのは地方ではよくある障害であり、これが最大の問題になったりもします。

いわゆる「市街化調整区域」のことで、「市街化」を防ぐために設定されたこのエリアでは、自由に家を建てることやお店をすることができず、行政にお伺いを立てなければならない。特に、お店をやることのハードルはかなり高い。

湖南市のように、市街地に近く、ど田舎でもない地域は、この市街化調整区域がとにかく広い。ちょうどいい古民家を見つけて、ゲストハウスをしようとしたけど、市街化調整区域で断念した(行政からNGが出た)協力隊メンバーもいました。

石部の旧東海道エリアは、幸いにも市街化調整区域ではない。旧東海道を1kmだけ東に行った湖南市三雲では市街化調整区域になってしまう。かえって、勝手に住宅を建てられない三雲のほうが景観が良かったりもします。

②エリアリノベーション

①のような背景は、湖南市の中で石部がもつポテンシャルと言えると思います。そんな石部で2つもお店が立ち上がるというのは、そのエリアにとってもプラスです。協力隊の事務局をやっている身として、この2店舗をさらに盛り上げるためには、エリアの価値を上げることが大事なのではないかと考えました。

当時、エリアリノベーションという言葉は最盛期で、日本全国で「リノベーションまちづくり」の試みがされていました。
簡単にいうと、市全体を盛り上げるのは大変なので、エリアを小さく小さく絞って、歩いて回れるくらいの範囲に資源を投下してこうぜ、といったまちづくり戦略です。

当時、DIYで作っている2店舗に加えて、もう一つ、歩いて行ける範囲にお店を作れば、線から面になって、石部がもっとおもしろくなるのでは。
マメコーを石部につくろうと思った一番の理由です。

さらにさらに、協力隊がお店をつくる以前から、昔からある和菓子屋さんと、数年前には洋菓子屋さん(ケーキ・焼き菓子)もできていたのも、背中を押してくれました。協力隊のお店ができるのとほぼ同じ時期に、定食屋さんもできました。

③偶然

以上の理由から、自分も石部でやりたいと思っていたところに、石部まちづくり協議会さんから「空き店舗があって活用を考えている」とお声がけいただき、タイミングよく物件が見つかりました。

職住一体物件で、住居として使っていましたが、お米屋さんだった店舗部分は倉庫として利用されていました。

まちづくり協議会としても、地域住民の居場所づくりをしたいという思いがあり、一緒に大家さんを口説いてくれました。感謝です。

余談ですが、地方で物件を活用したプロジェクトをするときは、大家さんと直接交渉できるほうが良いです。

不動産屋さんを通してしまうと、なかなか家賃交渉も難しくなってしまいます。(不動産屋さんは家賃下げるメリットないなど、いろいろ理由ある)


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