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小説「潜れ!!モグリール治療院~第14話 大きくなったなあ~」

地獄のような暑さが好きな人はこの世にいないと思うけど、言うまでもなく私も暑いのが嫌いだ。
気温が高いだけならまだ耐えられるけど、そこに湿度が加わるともう最悪、なにもせずにじっとしているだけでも、頭の天辺から爪先まで汗がだらだら垂れ流されるし、服なんて数呼吸の間にびっしょびしょ。
私、ヤミーちゃんは狼の毛皮をまとう狂戦士ウルフヘズナルだけど、こんな暑さでは戦士の証でかわいさの象徴である毛皮を脱いじゃうのも仕方ない。こんな日に毛皮なんて被っていようものなら、暑さで気を失う前に自分の汗で溺れちゃうもん。

そんなただでさえ死ぬほど蒸し暑い場所に、豪快に火を噴く塔のようにでっかい炉があって、そこから溶岩みたいに真っ赤に溶けた鉄が流れてるもんだから、もうみんなしてうんざりしてる。

「……あぢー、むりー」
「そうじゃろう、わしらもきついんじゃよ……」

暑さに思わず弱音を吐く私の横で、ドワーフのおじさんたちも大の字で横たわって、真っ黒に焼けて痩せ衰えた体を仰向けにしている。
ドワーフ、背が低くて短い手足にずんぐりむっくりした体型の、人間にかなり近い姿をした種族で、体型の割に力が強くて意外にも手先が器用。以前は人間やエルフと並んで3大種族に数えられたらしいけど、とある勇者の一向に加わったドワーフの戦士が亜人種たちの王様に逆らってしまったことで、人間とエルフ以外のありとあらゆる勢力から一気に攻め立てられることとなり、ドワーフたちは各地に散り散りになってしまった。

そんなこともあって、今では地獄のように暑くて辛い、他の種族が住もうとしない湿地帯の隠れ里にまで追いやられているのだ。

「もう嫌じゃー! 鉄とか見たくもないんじゃー!」
「わしらは服とか作りたいんじゃー! 溶けた鉄とかうんざりなんじゃー!」
「くそ暑いのは、もう嫌なんじゃー!」

おまけにドワーフのみんなはサイクロプスとかいう単眼巨躯の怪物たちの支配下に置かれて、日々せっせと彼ら用の不自然にでかくて重たい武器を作らされている。元々サイクロプスは体こそ大きいものの鈍重で頭も悪く、おまけに気も小さい種族で、ドワーフとサイクロプスは体格と技術で互いに突き合う程度の一進一退の関係だったらしいけど、数年前にあるひとりの冒険者がいきなりサイクロプスたちを制圧して、奴らの王として君臨してから状況は急転した。
あんなに鈍重で臆病だった連中は、火が点いたかのように獰猛で攻撃的になり、仲間の屍を喰らって乗り越えていくような猛獣と化してしまい、あっという間に蹴散らされてしまったのだとか。
その冒険者こそ人類最悪の裏切り者、亜人の国の四天王のひとり。ちなみに四天王だけど5人いるのだとか。なんで?

「奴らはサイクロプスの里に築いたタンガン砦、海岸沿いの港に建てたシットロ灯台、沼地の遺跡を改造したウラニブルグ天文城、亜人の国を囲むオルムドラカ城壁に居を構えて、傍若無人に魔王の如く振る舞っておるんじゃよ」
ちなみに四天王は5人いるので、1箇所足りないけどそこはどうでもいいらしい。いや、だからなんで?
「そうだ、お客人。今日はその冒険者だった男が来る日じゃ。酷く乱暴で横柄で凶悪な男じゃから、そこら辺にでも隠れておきなさい」
「はーい」
私としてはドワーフとサイクロプスの争いなんてどうでもいい。人間同士だってくだらないことで争うんだから、ドワーフとサイクロプスだって争っても仕方ない。仮にここで私がドワーフを助けたとしても、こんな蒸し暑くて楽しくないところに住むつもりもない。
そもそも弱いのが悪いのだ。相手が猛獣になったら、こっちも猛獣にならなきゃいけないのだ。それを怯えて退いたら、勝てるものも勝てなくなってしまうわけで。

とにかく私は参戦しないぞ、とっととこんな場所を離れて涼しいところに避難するんだ。


・ ・ ・ ・ ・ ・


なんて心に決めたのが少し前のこと。
なのに今、私の目の前では熊の数倍はある単眼巨躯の怪物が倒れている。もちろん倒す気なんて無かった、でも誰が悪いかと聞かれたら、私のせいじゃないとはっきり言える。

私が客人用の宿に向かって歩いていると、突然空の底が抜けたような大雨が降ってきた。この地域ではスコールはよくあることらしくて、みんな一斉に傘を差しだして、私もたまたま通りがかった傘貸し屋の少年に借りることにした。
雨は石の飛礫を叩きつけるくらいに強くて、特別製の傘なしでは歩くことすらままならない。それはドワーフも私も同じで、突如やってくるスコールに備えて、みんな弾丸も受け止められそうな丈夫な傘を持ち歩いているし、屋根のない通りや橋の近くでは傘貸し屋が立つようにしているみたい。
そして無事に傘を借りて屋根の下へと歩きだした傘もよく似合う美少女の私に向かって、単眼巨躯の大男が傘を寄越せと迫ってきたのだ。

サイクロプスという生き物を初めて見たけど、ドワーフたちから聞いて想像したのよりもずっと大きく、背丈は私の3倍近くで、まだ乳を飲むような子供がそのまま巨大化したような、頭が大きくて手足が短い体型。だからなのか足取りは力強いけど重くて鈍く、全体的に汗臭さと酒臭さとお風呂に入ってないおじさん臭がすごい。
腰巻以外はなにも着てなくて、分厚い脂肪に覆われた腹を丸出しにしている原始的な格好だけど、腰にぶら提げた鋼鉄製の大斧はすごく立派で切れ味も
良さそう。あれがドワーフの作った斧だとしたら、ドワーフの鍛冶技術は相当なものだと思う。
そんなことよりも開いたまま向けてくる掌の臭い、その悪臭が蒸し暑さと雨と混ざり合って、形容出来ないくらい酷い臭いをさせているのだ。
「カサヨコセ。カサ、オマエラガモツナンテ、ナマイキダ」
人間の言葉もある程度喋れるみたい。片言でたどたどしいけど。

とはいえ私だって知的で話し合いの出来る女だ。臭いからといって、一方的に殴りかかるような真似はしない。

ドワーフの少年から借りた傘を閉じて、逆手に持ち替えて、右腕を大きく振りかぶって、左足を思い切り踏み出しながら腰を落して、全身をしならせながら手槍のようにぶん投げた。
ドワーフの作る傘はとにかく頑丈。柄は細いながらも硬くてしなやか、まるで狩猟用の槍に傘を張ったような造りで、傘も丈夫な獣の革を張っていて銃弾でも貫けない、槍にも盾にもなる立派な武器だ。その立派な武器で思い切り突き込めば、大柄な怪物であろうと打倒できないことはないのだ。
傘の尖端は怪物の咽に突き刺さり、大きく前傾した怪物の髪を掴み、まぶたで覆われた目玉を何度も蹴り上げ、そのまま跳躍して傘の柄を蹴って喉に刺さった先端を更に押し込み、悪臭に血生臭さを足してやった。


という知的な話し合いが行われたのが数秒前のこと。
私の後ろではドワーフたちが歓声を上げて喜び、足で地面を踏み鳴らし、両手で傘を掲げて振り回している。少しは落ち着け、お前たち。
「やったぜ、ヤミーちゃん! かわいい上に最強! このまま全員ぶっ潰しちゃえ!」
傘貸し少年、その通りだけど少し落ち着け。私に代わりに戦わせようとするんじゃない。
「さすがヤミーちゃんじゃ! 狂戦士の肩書は伊達じゃないのう! このまま全員ぶっ潰したらええんじゃ!」
通りすがりのおじさん、元々はお前らが情けないからこうなったわけで。
「ドワーフ、ハンランオコシタ! ドワーフ、オオカミオンナヤトッタ!」
これは騒ぎを聞いて駆けつけたサイクロプスの男。興奮して大声で喚いてる。

「ドワーフドモ、ユルサナイ!」
「ゼンインヤツザキニシテ、コンヤノオカズニシテヤル!」
「アシノオヤユビトヒトサシユビノアイダノ、イチバンクサイトコロカガセル!」
サイクロプスたちの怒りは収まらない。まったく、なにがどうなってこんなことになったんだか。

溜息を吐きながらドワーフに手を向ける。
すると即座に私の手の上に、ドワーフや人間が扱う大きさの斧が用意される。握った瞬間にわかる、ずしりと沈む心地良い重量、手に絡みつくような握り具合、持つだけで安心させられる存在感、こいつはいい武器だ。
視界の端にドワーフたちの姿を捉えると、いつの間に持ってきたのか大量の剣や槍を構えて、いくらでも使えと熱い眼差しで語ってくる。
これだけ武器があったら問題ない。私はすかさず低い姿勢で走り込んで、先頭のサイクロプスの足首をぶった切って、そのまま次から次へと足首や足の指に狙いを定めて斧を振り回す。体が大きい相手に真正面から挑むのは危険だ、かといって十分な距離を取って相対してもそれはそれで危ない。いっそのこと拳や蹴りの届かない至近距離にまで潜り込んだ方が、安全とはいえないけど危険が少ないのだ。

人間だって扉の木枠に足の小指をぶつけただけで悶絶してしまうのだ。足の指を斧で切り飛ばされて、それ以上続行出来なくなるのは仕方ない。バタバタと地面を揺らしながら逃げ惑うサイクロプスの背中と、後ろに控えるドワーフたちに交互に視線を向けると、まだ勝負が着いたわけでもないのに笑みを浮かべている。
私はドワーフの尻をべちんと蹴って、槍を指差して、そのまま指先をサイクロプスの背中に向ける。
自分たちの境遇は自分たちの手で取り返さなきゃならないのだ。だって私があいつらをぶちのめしても、私がどこか行っちゃったら、その場ですぐ仕返しされるから。

さあ、槍を投げろ。突き刺せ、ぶっ刺せ、ひとり残らず逃がすな。

私がじーっとドワーフたちを睨んでいると、まず傘貸し屋の少年が傘をぶん投げる。いいぞ、少年、君は勇敢な男だ。将来立派な戦士になれるぞ。

勇気を振り絞った少年に続いて、ドワーフたちが次々と槍を投げる。きっと象狩りとかあったらこんな感じなんだろうなーって眺めていると、逃げ惑うサイクロプスたちが突然振り返り、足が遅いなりにドタバタと駆けながら向かってくる。その顔には恐怖の感情がへばりついていて、槍で突かれるよりも怖い存在が後ろに控えていることを暗に示す。
つまり私より恐ろしくて強いと判断した相手がいるわけだ。
頭に乗るわけじゃないけど、私はかなり強い。世界で一番強いと自惚れる気はないけど、故郷ノルドヘイムで幼い頃から猛獣相手に生き延びてきた自負がある。
家族以外で私より強い存在なんて、そうそういてたまるもんかって気持ちがいつだって心の中で燃え上がっているのだ。

蒸し暑いけど狼の毛皮をすっぽり被って、精神を高揚させて全身の隅々まで力を行き渡らせる。
ドワーフから借りた斧を右手に、少年から借りた傘を左手に握り締めて、迫りくるサイクロプスたちを通り抜け様に斬りつけて、奥で呑気に堂々と、サイの頭をそのまま鈍器にしたような大型のハンマーに腕を回して、体重を預けて寄り掛かっている毛むくじゃらの生き物に狙いを定める。
地面を蹴って毛むくじゃらに飛び掛かった瞬間、相手の頭が上がり、熊の頭の下からぎょろりとした爛々と輝く目玉と、対となる真っ黒い革製の眼帯が現れる。
その凄みのある目玉に注意を奪われた途端に、私の真横から毛むくじゃらの肩越しに繰り出されるハンマーが迫ってきて、頭を下げて間一髪で避けたところを、いとも簡単に蹴り飛ばされてしまったのだ。

かといって簡単にやられる私ではない。
地面に手を着いて体勢を立て直し、そのまま跳ね返るように相手の腹に蹴りを打ち込む。
硬い、感触は岩だ。
よくよく見ると相手の腹筋はゴツゴツとした岸壁のように割れていて、ぎょろりとした目玉と併せて見覚えがある。
それは向こうも同じようで、私の尋常ならざるかわいらしい顔を見下ろして、そのあまりのかわいさに見覚えがあるようで顔に驚きを浮かべている。
「もしかしてヤミーか! おいおい、ちょっと見ない間に大きくなったなあ!」
顔いっぱいに喜びを浮かべて、私の両脇を掴んで持ち上げる。
「お兄ちゃんこそ、元気そうだね!」
私は私で満面の笑みを浮かべながら、べしべしと顔に掌底を打ち込み続ける。

それを眺めながら、ドワーフたちもサイクロプスたちも唖然とした表情を浮かべたのだった。


私の兄弟は10人近くいたらしいけど、厳しいを超えて過酷なノルドヘイムで生き延びたのはお兄ちゃんだけ。お兄ちゃんは兄弟の2番目で、末っ子の私より10歳年上。
だからなのか私のことをものすごく溺愛していて、片目の傷もまだ物心ついてない私を熊から守った時に負った名誉の負傷なのだとか。
村の掟でナイフ1本で当時最強の大熊を倒して毛皮を剥ぎ取って、最強にかわいい毛皮なのにちょっと背丈が低いから尻尾より上で切り裂いて仕上げて、立派な熊毛皮の狂戦士ビョルンセルクになったのが10年前、他所の土
地に出稼ぎに行ったのが8年前。それから年に何度か、特に獣の餌が取れなくなる危険な時期には私を心配して帰ってきてたけど、5年前に一獲千金を狙ってしばらく帰れない旅に出た。
その一攫千金が冒険者のことだと知ったのは、私も旅に出てからのことだけど、どういうわけか人間側ではなく亜人の国側についちゃったらしい。気持ちはちょっとわかる、人間めんどくさいし。
なんでサイクロプスたちを従えてるのかは、まったくわかんないけど。

「こいつらは道塞いで邪魔だったたから片っ端からぶちのめしたんだけど、そしたら亜人たちが王様王様って呼んでる偉い奴に気に入られて、なんか四天王のひとりになってた! 四天王つっても5人いるんだけどな!」
思ったよりも単純な理由だった。
この調子だったらサイクロプスたちをぶちのめしたことも許してもらえそう。


「もちろん、そんなことでかわいい妹を怒ったりしないぞ」
「えへっ」
「世界一かわいいなあ、俺の妹は。でもドワーフたちは別だ」
私の魅力にぐでんぐでんに緩んでいた顔が急に引き締まる。やっぱりお兄ちゃんも戦士なのだ、私には砂糖菓子よりも蜂蜜よりも甘々だけど。
「こいつらは武器を献上することを条件に手打ちにしてやった。約束を破りたかったら、力でどうにかするんだな」
ぎょろりとした目玉をドワーフたちに向けて、肌に突き刺さるような闘気を剥き出しにする。もちろんそんな気配に負け犬根性の染みついたドワーフたちが耐えれるわけはなく、私の背中のさらに後ろへとに後退って、びくびくとした臆病者の目を潤ませている。

しょうがないなあ、まったくもー。

「お兄ちゃん、私が勝ったらドワーフを許してあげてよ」
真っ直ぐ目を見据えると、お兄ちゃんは困った表情を見せて、熊の毛皮越しに頭をボリボリと掻きむしり、
「優しい子に育ったなあ。お兄ちゃんは嬉しいが、悪い奴に利用されないか心配だよ」
そう言いながら笑ってみせた。

その辺は大丈夫、悪い奴はみんなぶん殴るから。


~ ~ ~ ~ ~ ~


というわけで、私とお兄ちゃん、見物のドワーフたちとサイクロプスたちは、溶けた鉄を吐き出し続ける塔のようにでっかい炉の前に立っている。
私の背には扉が半開きの炉、炉の下には溶けた鉄が派手な音と共に蒸気を上げている。飛礫のような雨はもう止んで、立ってるだけでも尋常じゃない汗が流れる。地面は鉄と熱で赤黒く染まっていて、少しでも下がったら火傷をしてしまうし、溶けた鉄に足でも踏み入れようものなら無事では済まない。
だからこそ勝機が生まれるのだ。

「おい、そんなのに近づいたら火傷するから! 早く離れろ!」
私のお兄ちゃんは優しい、特に私には激甘なくらい優しい。そんな優しい兄が、危ないもののすぐ前に立つ私を押したり、突き飛ばしたり、蹴飛ばしたり出来るわけがない。
出来ることは掴んで引き寄せるか、捕まえて締め上げるか、せいぜいそれくらい。
反対に私は殴るも蹴るも、投げるも、飛び掛かるのも選び放題。だからしっかり掴まれないように手を払って、殴り続ければ私にも十分勝ち目はあるのだ。

「ごめんね、お兄ちゃん。私、意外と策士なんだ」
狼の毛皮をまとって狂戦士として全力を出しても、同じように熊の毛皮をまとった狂戦士なんだから、単純に腕力と体力の勝負になってしまう。そうなったら、さすがの私でも勝ち目はない。
私のお兄ちゃんは私よりずっと力強くて、私よりずっと頑丈なのだ。

迫りくる太くて小傷だらけの手を避けて、いつもよりちょっと頼りなく感じる拳を何発も叩き込む。叩いて叩いて殴って、私を押さないように下がったところを追いかけて蹴って、すぐに元の位置に戻って同じことを繰り返す。
そんな一方的で卑怯な攻防を何度か繰り返していると、さすがに嫌になったのか熊の毛皮を脱いで、汗でぐっしょりと湿ったボサボサの髪をかき上げて、
「俺の負けでいいや。おい、お前ら、今日から好きにしろ」
ドワーフたちとサイクロプスたちの双方に言い聞かせて、私を危ない場所から遠ざけるように抱え上げて、改めて兄妹の再会を懐かしむように、顔を背中にぐりぐりと押しつけてきた。

「もう、くすぐったいって! 犬じゃないんだから!」
「そうだな、犬というより熊だな!」



それから私たちはドワーフたちの酒場へと繰り出して、片っ端から酒を飲み干して、これまでの冒険の話とか家族の話とか亜人の国の話とかを語り合ったんだけど、お酒を飲みすぎちゃったのか、どんなことを喋ったのか全然覚えてない。
ただ気がついたらドワーフの隠れ里に、解放の英雄ヤミーちゃんの銅像が建てられていて、ドワーフの技術と仕事の速さを見せつけられたんだけど、どうせなら武器を作って欲しかったなって思ったりした。


ドワーフの隠れ里は今日も雨、ただしいつもの残念な雨じゃなくて喜びの雨。
私は借りたままの傘を差しながら、そのまま里の外へと歩みを進めたのだった。


(続く)


<今回の新装備>

・スネークアイ(武器・傘)
⇨強靭な金属と頑丈な革で作られた大型の傘、槍と盾のふたつの機能がある


<今回のゲスト冒険者>

カルフ
性別:男 年齢:28歳 職業:ビョルンセルク

【クラス解説】
▷ベルセルク(狂戦士)の亜種。熊の毛皮を纏い、力任せな攻撃を得意とする。狂戦士系では耐久力も高め。

【クラススキル】
☆狂戦士化・熊
➡理性を捨てて攻撃力を大幅に高める、ただし状態異常耐性や魔法耐性が極端に落ちる

【取得スキル】
・剛力無双
➡圧倒的な力は強い、なぜなら強いから
・一撃必殺
➡ありったけの力を乗せた大振り、まさに一撃必殺

【装備】
・ライノサラス(武器・鎚)
⇨巨大サイの頭骨と角をそのままハンマーにした超重量武器
☆熊の毛皮(上半身装備、固定)
⇨倒した熊の毛皮、強そうな上に防寒具としても優秀 ※尻尾無し(残念)


ピッコポッコ
性別:男(ドワーフ) 年齢:16歳 職業:傘貸し屋

【種族解説】
▷手足が短くずんぐりした、筋骨たくましく手先の器用な種族。足はかなり遅い。

【クラス解説】
▷突然の雨や強烈な日射しから身を守る傘を貸す職業。基本的に地味。

【クラススキル】
☆春の夕焼け傘を持て、秋の夕焼け鎌を研げ
➡雨天時にステータスを上昇させる、ただし雀の涙程度

【主要スキル】
・避雷針
➡雨天時限定、金属傘を相手に投げつけて雷を落とす、成功確率は低め
・逆手持ち
➡傘を逆手に持って背後の相手を奇襲する技、中確率で目潰し
・相合傘
➡指定した相手との相性を高めて、アイテムなどの効果を増す

【装備】
・仕込み傘(武器・傘)
⇨柄の中に細身剣を仕込んだ一般的な護身用の傘


ー ー ー ー ー ー


というわけでモグリール第14話です。
テーマは兄妹愛です。嘘です。

ちなみにヤミーちゃんは155cm、カルフ(ヤミーちゃんの兄)が166cmです。両親とじいさんはもっと大柄(180cm以上)な設定なので、家族の中ではちっちゃい部類です。

カルフは旧モグリールでは頑丈さに重点を置いたヤミーちゃんと対となるキャラクターでしたが、リメイクにあたり兄となりました。大出世ですね、殴られてますけど。


ファンタジー物では、だいたいエルフやドワーフが味方になりますが、多分シンプルに見た目の問題だと思います。