バスタブ:バーニョ
はじめてイタリアで働く時のこと。
住み込ませていただくホテルレストランの計らいで、唯一バスタブ付きの部屋をいただいた。
フロントのすぐ横のお部屋で、レストランまで5秒という最速通勤時間!
初仕事を終えると、カポ・カメリエーレ(ホール長)のヴィンチェンツォが、ワインの空瓶を要るが聞いてきてくれた!
全部が見たことないラベルばかり!ワインリストと空瓶(70Lのゴミ袋いっぱい)を部屋に持ち帰る。
1本、1本、ラベルをスコッチ(透明のビニールテープ)で剥がしていくが、途方にくれる。
さて、この大量の空瓶をどうしたものか、、?そうだ、沈めるしかない。バスタブに熱めのお湯をはってバスタブに入るだけのボトルを沈める。
次の日の朝になると結構な数のラベルが浮いてきて、なんて楽しい光景だろう。いい子はどんどんラベルがはがれる。
特に、ランボルギーニのラベルはするっと剥がれて好きだ。絶対良い糊を使ってるよ!自然環境にいい糊なのかもしれない!なんて妄想しながら収穫をする。
濡れているのでタオルの上で乾かすが紙がよれる。窓にくっつけて乾かしてみるとお見事。
更に糊のついてない面を窓ガラスに接着させることが重要だ。乾くと糊が復活する事があるからだ。
瓶からラベルが剥がれないものは、明日の収穫までくりこされる。それでも駄目なものはカッターでこそげとるか、スコッチで実力行使だ。
数ヶ月後、シニョーラ(女将さん)がバスタブ付きの部屋はどうだい?っと声をかけてくれた。日本人はバスタブが好きだからね、と。
近くにいたヴィンチェンツォが無意味な質問だっと笑った。
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