どうしていいのかわからないけど、どうにかしなきゃいけないこと

NHK「最後の良心」に異常事態 「ETV特集」「ハートネットTV」の制作部署が解体の危機

ちょっと前に、こんなニュースがツイッターで流れてきた。暗澹たる気分。
これが政治的な圧力によるものなのではないかと疑うくらいには、わたしは今の日本政府を信用できない。なぜ今、このタイミングなのだろう?と。

正直なところほんとうにこの国の未来には絶望していて、だけど今まで通りにわたしは朝起きて、ご飯を食べ、働き、眠っている。
このままただ、そういう時代の流れなんだと受け止めて流されていくままでいいのか。
よくない、と思う。

以前から社会の空気に違和感を感じ続けてはいたけど、最近は、もしかしてわたしはいずれ社会から殺されてしまうのではないか、と思うことが増えた。特に「生産性」をめぐるあれこれには、純粋に恐怖を感じている。

というのも、わたしは身体障害者だ。手帳では、頸髄損傷による両下肢機能全廃1級および両手指機能全廃2級となっている。いわゆる重度障害。一人では暮らしはままならず、もちろん健常者のようには働けず、障害者年金に頼り、ヘルパーに介助してもらって一人暮らしをしている。

2016年の夏に起こったあの凄惨な事件を、覚えているだろうか。相模原障害者施設殺傷事件。
ウィキペディアにはこうある。

神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に、元施設職員の男A(犯行当時26歳)が侵入し、所持していた刃物で入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた大量殺人事件。殺害人数19人は、第二次世界大戦(太平洋戦争)後の日本で発生した殺人事件としては最も多く、戦後最悪の大量殺人事件として、日本社会に衝撃を与えた。

戦後最悪の大量殺人事件だったということを、知っているだろうか。
恥ずかしながらわたしがそのことを知ったのは事件から一年後、ハートネットTV「シリーズ 障害者施設殺傷事件から1年 第3回生放送 障害者は"不幸"?」への出演依頼があったときのことだ。当時のニュースへの関心のなさをわたしは恥ずかしく思う。

「障害者は生きている意味がない。」

この犯人の男が言った言葉。
わたしは、この犯人にとって、生きている意味がないうちの一人ということになる。
そしてこの番組では、NHKに対して犯人の意見に賛同する便りが複数届いたことを取り上げた。そのことはネットニュースにもなった。

「障がい者はこの世から全て消えて」 NHKで紹介された意見に「辛辣すぎる」の声

この記事にもあるように、わたしはいくつかの賛同意見を読み上げた。たとえばこうだ。

「障がい者は私たちプロの社会人戦士から見たら、目障りかつ邪魔以外なにものでもありません。お願いですから障がい者はこの世から全て消えてください」

「このような意見に、豆塚さんはどう思いますか?」という中野アナウンサーの問いに、わたしは震えた。
怖かった。今、このカメラの向こう側に、わたしの存在が消えて無くなることを願っている人がいる。その人は姿が見えない。どこの誰だか知らない。しかしこちらは顔も名前も晒している。答えようによっては……などと、考えた。
大げさだろうか?

その夏、わたしはナチスドイツにまつわる文献や映画作品などを漁った。なぜかというと、ナチスは「T4作戦」と言って、優生学の観点から"価値なき命"の抹殺、障害者安楽死計画が国策として行ったから。T4作戦は相模原の事件とよく関連づけられていて、ネットで検索するとそのような記事がたくさん出てくる。そしてこのT4作戦は後のホロコーストの先駆けとなった政策だというのだ。

世界で最も民主的な憲法と謳われたワイマール憲法を掲げていたドイツ。そんな国で、同じ国に住む"生産性のない"人間たちが虐殺された。障害者や高齢者だけでなく、劣等とされる外国人や同性愛者、国家に逆らう人も含まれた。「LGBTは生産性がない」とした杉田水脈論文に、私は既視感を覚えたし、文學界 2019年1月号の落合陽一氏と古市憲寿氏による対談で、古市氏が終末期の高齢者に「財源がないので最後の1カ月間の延命治療はやめませんか?」と提案すれば良いと言ったのには怖気がした。外国人に関してはもはや言うまでもない。

ナチスドイツを知ることによってそこに浮かび上がってくるのは、ただ過去の過ちへの戒めではない。まさに今の日本そのものだ。そのことに驚愕した。

何も知らない頃、差別は個人の心に宿るものだと思ってきた。それは違う。差別は国家によって助長される、あるいは利用されるのではないか。
そしてマイノリティのために多くの番組を制作してくれているNHKの文化福祉番組部が解体されてしまうことは、何らかの意味合いがあるのではないか。
これから先、恐ろしいことが起き始めるのではないか……。

わたしは声をあげたい。しかしどうしていいかわからなくって、何かできることはないかと気持ちばかりが焦っている。

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まめん

ゆるふわポエムガール。行き場のない言葉たち。日韓ハーフ。車椅子歴もうすぐ10年になるよ。
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