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花と酒|日々の雑記 #96

入社式の会場に飾られていた花を頂いて帰りました。紫のピンポンマムと桜。お気に入りの花器と酒器に生け、日常に彩りを加えます。

暖かな日の後に春の嵐が吹き、こちらの桜はだいぶ散りました。
かつては青空の下の満開ばかり楽しみにしていましたが、近頃は花曇りの三分咲きでも有難いと思える様に。いずれは花散らしの雨や枯れ木にも、風情を見い出せるのかもしれません。好みの幅が広がるほど、呑む理由が増えてまいっちんぐでございます。

晴れの日の満開は言うまでもなく
雨に散った花弁もまた、まいっちんぐ

出来ることなら花を眺めて一杯やりたいところですが、最寄りの桜は児童公園。カップ酒片手にぼんやり過ごすのは、ママさんたちの目もあり少し気が引けます。
実家は、歩いて5分ほどで桜の名所。子供の頃は花盛りの森に、たくさんの討ち死にした大人たちが転がっていたんですけどね。
令和の世はそのあたり厳しくなっていますので、埋められぬうちにおとなしく帰ります。まあ、その後はしっかり家で呑みましたけど。

実家近くの桜の森

もう、すっかりご無沙汰ですが、うららかな春の陽気に羽目を外し、呑み潰れて草臥すのも一興です。父親の仕事仲間で、いつも足腰立たなくなる程に呑まれる方がいて、花見のたびに菜の花畑で爆睡されていました。
頭に葉っぱをつけて、目覚めればまた呑む。そんな大人を身近に見てきましたから、酒って奴はご機嫌なもんだと刷り込まれ、今に至る訳です。

思えばあの頃のおっちゃんと同い年くらいなったんでしょうか。エレカシの宮本さんに似た、酔っ払っては土手の溝で落ちていたおっちゃん。まだご存命と聞いて何よりです。
当時は酔っ払いの大人たちなんて、お小遣いでもくれなければ、面倒な対象でしかありませんでした。今なら一緒に楽しめると思うのは、歳を重ねた証拠であります。

菜の花畑と桜の堤

嗚呼、昔を懐かしんでしまったばっかりに、何だか昭和の血が騒ぎます。日々、行儀良く真面目に過ごしていると、発作的に苦しくなりベットが軋むのです。さりとて、盗んだバイクにはGPSタグが取り付けられ、夜の校舎の窓ガラスを壊せば警備員が駆けつける現代。
羽目を外しても反抗期を理由にできる年齢はとうに過ぎていて、
「酔っ払って、よく覚えていない」
なんて供述とともに、実名報道されるのが関の山です。

酒に罪はなく悪いのは人間とは知っていますが、あまりにも情がありませんので、そこは社会と言っておきます。だから今夜も社会を憂えて呑むのです。
もういい大人ですからほどほどに……と見せかけて、ドボドボ注いじゃう悪い大人がここにいます。

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