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ショートストーリー 流浪の覆面落語家

エピソード34 アップしました

今回はナミンが創作ショートストーリー、書いてみました

流浪の覆面落語家P君はいつも覆面をしていた
気の弱そうな優しいウサギの覆面
どうゆう理由かはわからないけど、
いつも覆面をしていたので周りの私たちも
「P君は覆面を被ってる人なんだ」と受け入れて、
どうして覆面をいつもしてるのか、
そのことに関しては特に尋ねたりしなかった。
尋ねてしまうと深みにはまるかもと言う恐れも少しあって、
実際聞けなかったのだ

うちに帰ったらマスクは取るのかな?
お風呂に入る時はもちろん取るよね? 寝るときも
そんなことは時々、考えた

謎のある人物と言うのは
それだけでもチャーミングで気になる存在なんだけど
P君はさらに落語が上手で学校のクラス会や文化祭で
よく創作落語を披露し、喝采を浴びていた
普段は容姿以外ではそんなに目立つタイプでもないのに、
声はよく通り後ろの席にもちゃんと届いた
落語をしているP君は不思議なオーラを纏い
キラキラと輝いていて私たちを魅了した
ハッピーエンドのオハナシが多く、
P君のできれば平和に丸く生きていきたいもんだねと言う
基本的な姿勢がよく表れていた
彼の落語を聞いた後は色彩が少し鮮やかになり、
帰り路はいつもより明るくなった

学校を卒業してからはP君と会うこともなくなってしまった
今は初の覆面落語家として、
さらに複数の語学もマスターしてノマド落語家として世界中で
活動していると聞いた
流浪の覆面落語家は飄々としたP君によくマッチする
楽しくやってたらいいな。きっと楽しくやってるに違いない
行く先々で世界中の人をホッコリさせているに違いない

あの時、誰も無理くりに彼の覆面をはがそうとしなかったことを
私は正しかったと思っている
人にはそれぞれの事情があり、触れてほしくないデリケートな部分は、
そのままにしておくということが一番、正解な場合もあるんだと

エピソード34はバクのプロレス愛について話しています

木枯らしに胸を張りながら
シチューをストーブで温めながら
次に読む本を積み本から選びながら
聴いてくださったらうれしいです

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