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ドアを優しくノックして

豆と小鳥エピソード176は
「通信簿」をテーマにバクとナミンで話しています。

youtubeとポッドキャストはこちらになります。

最近、お隣さんのことが気になっている。
今の家に越して以来、
ずっと仲良くさせてもろてるロシア系移民のナターシャファミリーのことが。

例年なら今の時期は近所で1番本格的で
豪華なハロウィンのデコがもうされているはずなのに、
今年は何も手がつけられていない。
そんなことはこの十数年で初めてだ。

昨日、終わったThanks Giving、感謝祭の連休もいつもなら葡萄棚の下で親戚の方を招き、ロシア歌謡みたいなんをBGMに陽気に食事を楽しんではったのに、それも今年はなかった。

ここ数年は仕事がどんどん忙しくなり、
帰宅してクルマから降りた時にナターシャが庭仕事をしてるのが見えても、
疲れすぎて挨拶もそこそこに「クタクタやからまたね」と愛想なしになっていて、最後にゆっくり話をしたのはロシアとウクライナが戦争を始めた時。
私は自分のこーゆーところが嫌い。
無理をしないのはいいんだけど、自分の体力気力を最優先して、
大切なことや人を失ってしまうことが時々ある。
不義理なことをしてしまう。

ナターシャの次女アンはうちの息子、かんちゃんと同い年。
重いダウン症で今年、22歳だけど5歳の知能でストップしてるんだと
お茶をしながら話しをした時に聞いたことがある。
時々、パニックを起こすから、
そんな時は家中の窓を閉めるんだと言っていた。
実際、私はアンがパニックを起こしている時に一度も気づいたことがない。

お茶のついでに足の裏の反射区のマッサージ、
リフレクトロジーをさせてもろたら、
彼女が突然、泣き出して、「いつも私は誰かに何かをする一方通行で、誰かが私に何をしてくれることがないからうれしい、ありがとう」
と言うてくれた。
いつも天真爛漫、明るくて近所の人気者のナターシャが
そんな風に感じていたのに少し驚いたけど、
素の彼女と少し出会えたように感じた。
「泣いたらいいよ、泣いたらいいよ」と私は言った。

そう言えば、アンの声を長いこと聞いていない、
姿も見かけていない。
どーしたんやろ。

長い間、愛想なしにしておったのに、
自分が今、気になるからってズケズケと彼女に尋ねるほどには無神経ではないから、窓を開けてお隣からアンの声が聞こえてこないか耳をそばたてている。この心配も私の得意技の取り越し苦労だったらいいなと願ってる。

結局、当事者にしかわからないことが世の中、ほとんどだ。
私自身のことを伝えようとして、
言葉をなんぼ駆使して伝えようとしても
不毛に終わってるんやろなぁと思ってる。
それでも、想像して人を思いやることや伝えようとすることを諦めないことで人と人は繋がっていられるんだと思う。

ナターシャが好きなお店のアップルパイを買ってドアをノックしてみよう。
言いたくないことは言わなくてもいいから。


さてさて、今週のピックはバクの担当です。
映画:ベネチアの亡霊
10/15〜 現在上映中。アガサクリスティ原作。ケネス・プラナー主演。
エルキュール・ポアロ探偵のミステリー。「オリエント急行殺人事件」
「ナイル殺人事件」とケネス・ブラナー主演で続いていたシリーズ三作目。
原作は「ハロウィーンパーティー」だそうです。舞台は元々イギリスだったところをイタリアのベネチアに設定変えして描かれてます。
今回はミッシェル・ヨー演じる女霊媒師が開催した交霊会で起こる殺人事件をポアロが解決するんですが、結構怖い。ミステリー要素とサスペンス要素とホラー要素が混じってる。ベネチアが美しい〜。そしてやっぱり謎解きのシーンが面白いです!



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