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一度死んだから言えること!

◎回復することで起こった死ぬ思い2


”痰”というやつは、呼吸器系で作られた粘液物や異物を指します。調べると、多くは気管、気管支、肺から作られたものですが、咽頭や喉頭などの分泌物も含まれます。特に気管支などにある杯細胞から粘液が出てきて、肺の中を奇麗に捨てごみとして排泄されたものをいうと書いてあります。

そして、その痰が咳と共に多量に上がって来て、咽頭から口の中に溜まる状態を”喀痰(かくたん)”といい、私の場合まさにこの状態となっていたのです。そして、この喀痰に転院した後までも、”喉の管”を外すまで長く悩まされることになるのです。これが”カニューレ”というヤツです。

話を戻すと、体調が回復へと向かうと同時に、それまで無かった痰が肺から気管をせり上がって来て、喉に絡むのです。異常なほどに。

その時の私は喉に穴が開いていて、”気管カニューレが入っており、食道が使えないので、鼻から”マーゲンチューブ”というヤツを胃の底まで入れて、薬や栄養分を流し込むのです。それもブットいヤツがね。


喀痰イメージ図


マーゲンチューブ


気管カニューレ

そこに、せり上がってきた痰が、マーゲンチューブに引っ掛かってまとわりついて、喀痰となり喉を塞ぐのです。普通なら口にまで上がってくると、ガラの悪いおっさんのように、口から吐き出すことが出来るのですが、チューブのところに絡みついていたので、「カーッペッ!」なんて出来ないわけです(笑)

そして、この喀痰が絶えず咳と同時に起こるのですが、特に夜中に不意に起こることが怖いのです。

いわゆる”窒息”というヤツですね。そりゃもう「苦しいったりゃありゃしない」のです。自分の痰で死にそうになるのですからね(笑)

この場合は去痰剤などを使うということらしいですが、病院では”カテーテルでの吸引”が適用されます。なぜか?薬が効く前に窒息するからで、私のような喉に穴が開いてる患者さんや、高齢者の場合は自分で吐き出しにくいので、カテーテルをカニューレに突っ込んで、壁についている吸入用の機械で吸い取るのです。

つまり私の場合は
①人工呼吸器との接続の為、喉のカニューレを装着してる
②咳をすると必ずゴミとしての細胞が排痰されるので上がってくる
③マーゲンチューブに絡み、喉を塞ぐ喀痰となり、窒息しそうになる
④カテーテルでカニューレからの吸引により除去をする

これが繰り返されるわけです。

とにかく私の痰は、人とは違ってとても粘性が高いらしく、普通のように吸い取れません。マーゲンチューブにもカニューレにも纏わりついて、それを吸っても吸い取れないと、どの看護師もカニューレの中を覗き込みながら言っていました。

ちなみにカテーテル吸引には2つの方法があります。
①カニューレから喉に直接カテーテルを入れて吸引する
②口を大きく開けて咽頭上部や中部あたりにある痰を吸引

どちらも苦痛なのですが、特に喉の反射機能=嘔吐中枢が敏感な私には、2つ目の口から吸引する方法を行うと、何度も何度も”えずく”のです。そして場合によっては、堪え切れず吐いてしまい普通に辛いのです。


ところで皆さんカテーテルって見たことないでしょ?まあ見る事は無いのが普通ですけどね(笑)簡単に言えばシリコン製の細いストローみたいなものです。


吸引カテーテル

つまりそれ自体が手で扱うには柔らかいとしても、気管内や咽頭部に突っ込まれると痛いのです。確かに吸引や排尿の為に泌尿器に先から突っ込んで取るとか、手術中にも使う便利なものなのですが、これが鼻やのどの軟膜をこするように痰を吸引するので、毎度その辛さで凹むのです。

それに加えてこの時の私の肺活量はまだ完全ではない上に、吸引すると肺の空気が吸われてしまいますので、これはこれで窒息状態になるのです。あまりの苦しさに毎度涙目になり、なんでこんなに痰が出るんだろう?と思ってました。誰も説明してくれないので。ほんとうに(笑)

まとめると、年末からしばらく私を悩ませる続ける状況は次の通りでした。①肺の回復に伴う”粘着性の痰”の出現(喀痰)による窒息状況
②カテーテルをカニューレにを突っ込まれること自体が痛い
③痰が粘着性または固く、吸引作業が強引にならざるをえない
④吸引時に、肺内部の空気まで吸われてしまい、これによる新たな窒息状況
⑤喀痰がカニューレのある気管を通過して、咽頭上部でも起こる

そしてこの痰が度々出てくるので、眠剤の効果もなく一晩中眠れない日々が訪れたのです。


次に続く








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