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息子氏、手足口病にかかる。

生後6ヵ月の息子が文字通り、生まれて初めて流行り病にかかった。
生まれて初めての高熱。生まれて初めての口内炎。
そして親的にも生まれて初めての子ども看護……!

現在、保育園に通わせているわけでもなし、子どもの病気に無知すぎて焦りに焦った数日間。手足口病が毎年子どもの中で猛威を振るっている病気だということも初めて知った。
特に今年は患者数が多いうえ、いつもと症状の傾向が異なるという。

発症から症状の進み方、看病の仕方まで、覚書として残しておくので、どなたかのお役に立てば幸いです(※症状には個人差があります。また、素人による記事だということをご了承ください)。

1日目(1)~発症

その日は朝から息子の機嫌が悪かった。

これまで苦戦しつつ毎朝きちんと完食してくれていた離乳食(1ヵ月目)も、2口ほど口に運んだ後、イヤイヤとスプーンごとはねのけられた。
ミルクの飲みも悪いし、いつもは目が合うごとにニコニコしている子なのに、「あ゛ーー」「イヤーーーあ」「うううう」と定期的に声を上げてぐずぐずしている。

なんかおかしい。
てか、

この人頭熱くない??

実は前日、シーツの下にしく「防水シート」なるものを洗濯してしまったので、仕方なく冬用の「あったかタイプ防水シート」というものをしいていた。「もこもこしてあったかい」というタイプのものなので、上からシーツとタオルをかけておけば肌に触れることはないし、クーラーもかかっているから大丈夫であろう、と踏んだのだ。
もしかしたらそれが原因で体が熱くなっているのかしら……。

熱を測ってみると、この時点(11:00)で38.2℃。
赤ちゃんの場合、37.5℃を上回ると発熱とみなされる。

ひとまずぐずっているので(泣くと体温が上がる)寝かせにかかり、服のひもをほどいたり、クーラーの温度を下げてうちわで風を送ったりしながら様子見。

12:50 再度検温。結果は、38.59℃

熱だわ!!
これ完全に発熱だわ!! 高熱寄りの発熱だわ!!

普通ならここでかかりつけの病院に電話したりできるが、あいにくこの日は日曜日。しかも3連休の中日というタイミングの悪さ。

発熱時にしなければならないことはなんとなく知っているが、それが本当に正しいのか自信がない。
ここで夫婦二人(休みなので夫もいたことが救いだった……)でググり大会が行われ、「冷やす? 冷やさない?」「救急病院に行く? 行かない?」「そもそもこの熱は何?」などの協議をしたのだが、インターネットという情報の大海原に飲み込まれる一方で、解答が絞り切れない……(ネットあるある)!

とりあえず、ひよ〇クラブでもらった冷感シート(本来はベビーカーや抱っこひもに使用するもの)の上に息子を寝かせ、夫が慌てて買ってきた冷えピタをおでこに貼ってみる。
「熱が上がりきるまでは熱による不快感を取り除きつつ様子を見よう」
作戦である。

が、この作戦は早々に終了した。
何故ならこの二時間後、息子の熱が39.19℃にまで達したからである。

体温が39℃を超えると、なんとなくこれやべえなと感じるのではないだろうか。
我々も例外なく「これやべえな」と思った。
先ほどの協議の結果をあっという間に翻し、夜間・休日診療を行っている地域の病院へ電話連絡である。

1日目(2)~冷やす、飲ます

3連休中の救急病院は物理的にも回線的にも混んでいる。
我々の電話を受けた看護師さんはテキパキといくつかの質問をしてきた。

『熱以外の症状は?』『おしっこは出ていますか?』『下痢はしていませんか?』『冷やしていますか?』

「熱以外は特に症状ないです」「おしっこは普段通りに出ていますけれど、いつもよりミルクの飲みは悪いです。ちょっと麦茶も飲ませています」「下痢はしてないです」「冷やしていいのかわからなくて、ひとまず冷えピタ貼ってます」

看護師さんから出た指示は、
『首、脇、足の付け根の3ヵ所(血管が太い場所)を保冷剤などで冷やせ。水分補給はまめにしろ』
だった。

他の症状がないなら、病院に来てもすることは「冷やす」しかないとのこと(病院によっては解熱剤が出そうな感じもするが、ここはそうでもなかった)。水分を受け付けなくなったり、おしっこの量が減ってきたりしたら再度電話を、とアドバイスをもらい、こちらの名前を告げて電話を切った。

電話を切ってすぐのことだっただろうか。
ギャン泣き(普段はほとんどしないので、これだけでも不安だった)をしていた息子が激しく咳き込み、はずみで吐いた。
「激しく吐くときは病気、それ以外は吐き戻し」と本やネットに書いてあるのを読むたびに、「激しいってどんなじゃい。比較的赤子の吐き戻しはいつも激しいわ」と思っていたのだが、ここで訂正する。

ポンプのように思い切り、あんたその水分どこにためてたの?と聞きたくなるレベルで吐いた。

その姿はまるでマーライオンである。
大学生の時に飲み会で酔いつぶれていた後輩を思い出した(元気かな……)。

「うっぎゃ!!!!」

焦った我々は、とりあえずシーツを引っぺがして代わりにタオルをしき、息子を泣き止ませ、これ以上水分が失われることを阻止しようと試みた。
「吐いた後、焦って水分をとらせようとするとよくないらしいよ!」
という夫が調べた情報があったので、ひとまずミルクを飲ませるのはやめる。
熱が出てすぐに買ってきたベビーポカリを待機。

その後、こんなときのためにとっておいた保冷剤(ケーキとかについてるやつ)を取り出してきて、「ガーゼにくるんで赤ちゃんの靴下に入れるといい」というネットのアドバイス通りにしたものを脇やら首やらにあてがう。

その後、夫がベビー用アイスノン(というものがある)を買いに出かけたのだが、近所の大型スーパーもドラッグストアも100均も全滅。もともと売ってないのか、連休で売り切れてしまったのかわからない。ベビーポカリもラスト1本、という感じだったらしい。代わりに買ってきてくれたひんやりシート(スポーツ観戦時などにおしりにしく、ジェルの入ったシート)を体の下に潜り込ませることにした。冷感シートより効果がありそうだ。
さらに徒歩圏内の私の実家へ走ってもらい、使い古してくったくたになった大人用アイスノン(幸いにも、そのくたくた感が子どもの首にジャストフィット)と余っている保冷剤を借りてくる。
夫、この日は一体何往復させられたかわからない……。
結局、足りないものはアマゾンで翌日配送を手配した(アマゾン様本当にありがとうございます)。

体を冷やしたら、息子の泣きが収まってきてホッとする。
ベビーポカリを離乳食用スプーンで口に含ませると、のどが渇いていたのかごくりと飲んだ。

しかしこの後、ミルクもポカリも哺乳瓶で飲まそうと試みたのだが、一切受け付けてくれなくなって苦戦することに。
仕方なく水分補給はすべてスプーンで行った(我が家は完全ミルクなので母乳はなし)。

夕方18:00頃、熱が38.28℃まで下がる。
ぼうっとしていた息子の目にも生気が戻ってきて、両親を蹴飛ばしたりする元気が出てきた様子だった。

この時点で私は、突発性発疹を疑っていた。

2歳以下の乳児がかかりやすい病気で、突然高熱が出たと思ったら全身に派手な発疹が出現、かゆいわけでも痛いわけでもないらしいのに、何故だか機嫌がめちゃくちゃ悪くなる!……という、人生初病気となりやすい病気である。

多少元気はないが、現在息子がかなり不機嫌であることは間違いない。
高熱が数日続いたらダウトだろう。

あああかわいそう、かわいそう、代わってあげたい!!

むずがって起きる息子を抱きしめては、目にうっすらと涙なんかを浮かべていた。

2日目~解熱&発疹

おかしいな、と思ったのは2日目の午前中である。

10:00時点で、熱は37.43℃。
平熱範囲内だ。

あれ、熱、下がった……?
突発じゃなかったのか?
着替えさせるときに体を見ても、特に赤みらしきものも見当たらない。
夏風邪か?
別に咳も鼻水もないしなあ……。

次にん? と思ったのは夕方、16:00のことだった。

なんか、手のひらと足の裏、うっすら赤くない??
皮の下に透けて見える赤いぶつぶつ、これ気のせい??

前日、突発性発疹でツイートをあさっていて、見つけてしまっていたのだ。「突発性発疹と手足口病の合わせ技が来た!」「突発かと思ったら手足口病だった」
そういうこともあるのね、くらいに思っていた。思っていたのだが……。

おむつを替えようと足を持ち上げて、うわっ!となった。
おしりに、見覚えのない水いぼのような赤い発疹が、点々と出現していた。

やばいやばいこれ間違いない、と、もう一度手足をじっくり見てみる。

あった。

手、というか指。親指、中指。
そして手首と足首。
そこここに水ぶくれのような発疹がばらばらと見受けられた。

いただきました! 手足口病です! ちゃっちゃら~。

口の中を防災用に買っておいた小さなライトで照らしてみると、あーあーあー、ありましたありました。
口内炎。
舌にものどにも、うわあごにもできてしまっている。
これでは痛くて乳首もくわえられないだろう。というか、大人でも食事したくなくなる量だ。
哺乳瓶をピンポイントに叩き落としてくるのも道理である。

突発……突発だと思っていたのに……!
冷や汗だらだらで、私は速攻マスクを取りに走った。
突発は大人にうつらないが、手足口病はうつる
しかも大人の方が重い。おまけに飛沫感染だ。

さんざんぎゅっとしたりミルクポンプをくらったりよだれまみれの頬を摺り寄せたりしていた過去の私……バカ……!

絶対うつらない、倒れない、私は大丈夫大丈夫と暗示をかけながらその日は寝た。
その後、息子の熱はずっと平熱のまま上がらなかったのがせめてもの救いだった。

3、4、5日目~収束

週明け、かかりつけの病院(救急病院とは別の近所の病院)に息子を連れていくと、当然のことながら「手足口ですね」と診断が下った
おしりの発疹にだけ、おむつかぶれにも使う薬をくれたので、おむつ替えのたびにそれを使うことに。

息子は体的にはすっかり元気になった。

……が、口内炎はまだまだ痛いらしく、3日目もまったく哺乳瓶を受け付けてくれない。
スプーンでの水分補給は、時間がかかるため途中で息子も飽きてしまう。
いつものようにおなか一杯ミルクが飲めないため、なんだかずっと機嫌が悪いし、眠りも浅そうだ。
こちらも水分が足りているか不安だったので、ミルクに加えてベビーポカリも続けて与えるようにしていた。
ポカリに慣れてミルクを飲まなくなったらどうしよう、という余計な心配もしたが、大丈夫そうだったので一安心。

難儀したのは、4日目以降である。

一応、インフルエンザなどと異なり、熱さえ下がれば外出は可能だったのだが、手足ぶつぶつ、飛沫感染の可能性がある状態で、どこかへ遊びに出かけるのも気が引ける。
私や夫にうつり、一家全滅するのも困る。
必然的に、一日のほとんどを寝室で過ごしたのだが、これがミルクを満足に飲めない空腹と相まって、息子の機嫌を最大級に損ねた。
布団の上をごろんごろんごろんごろん、なんならあちこちはみ出して自らフローリングに激突したり、枕元に置いてあるミルクとポカリの入れ物をひっくり返してみたり、生まれて一番の暴れん坊将軍である

「もう! ダメって言ってるでしょ!!」

と初めて声を荒げてしまい、すぐに情けなくなり「怒ってごめんね」と謝ったりした。

息子は終始きょとんとしていたけれど。

6、7日目~回復

6日目の朝。
おそるおそる哺乳瓶をくわえさせてみたら、ちゅっちゅと吸い出すではないか。

そのまま、通常量の200ccを完飲。
母、ガッツポーズである。

満腹になって、気持ちも落ち着いたのだろう。目が合えばニコニコと笑う、いつもの息子が戻ってきた。
ごろんとしてはニコッ。話しかけてはニコッ。ちょっと運動させて疲れさせればぐぅと1~2時間ほど起きてこない。
情緒の安定に、上質な睡眠。どちらにとっても「空腹」は敵だったのだろう。おなかが満たされるって大事なことなのだな……と、人間の根本的な部分について考えさせられた。

そして7日目。
発症から1週間が経った今日。
息子の手を見てみると、水ぶくれがかさぶたになって、少しずつ剥がれ落ちていた。

発疹の消え方、思てたんと違う……!(少しずつ小さくなって消えるかと)

おそらくこれで、明日くらいにはほとんどの発疹が消えてなくなり、「回復」ということになるのだろう。
ちなみに、排せつ物からは2週間ほどウイルスが出続けるとのことなので、おむつの処理と手洗いには今後も要注意だ。

1週間前、息子が熱を出さなければ一緒に買いに出かけようと思っていたジョイントマットを、夫に買ってきてもらう。

もうほとんど治ったのだからよいだろう。回復記念である。
リビングにしきつめ、その上に息子をのせてみた。
息子はちょっと驚いた表情で、シートをすりすりとこすったり、頭やほっぺをつけてみたりしていたけれど、そのうち「きゃー」と歓声を上げながらゴロンと転がりだした。

君が元気になってくれて、私たちは本当にうれしい。

まとめ

長い文章になって恐縮です。
初めて赤子の病気を体験した私が、思ったことを書いておくので良ければ参考に……。

■おしっこの回数をふだんから記録しておく。
ミルクとポカリをスプーンで飲ませていた時、困ったのは摂取した水分の総量がわからないこと。水分不足か否かの判断は、おしっこの回数と色、濡れている面積なんかでしていた。ほぼ毎日、記録を取っていたので役立った。

■「病気セット」を作っておく。
アイスノンや冷えピタなんかの冷却セット、ベビーポカリやOS-1なんかの水分セットは事前に買っておくべきだった。備えあれば憂いなし。
また、ミルクをポンプ状態で吐かれる場面があったけれど、これが冬で、もしもインフルエンザやノロウイルスに感染されていたとしたら、シーツを引っぺがす程度じゃどうしようもない。
使い捨て手袋やエプロン、ビニール袋、消毒液などの汚物処理セットも作っておくとよさそう(うちもやります……)。

■子どもが発熱したら、親は即マスク。
赤ちゃんの看病は24時間つきっきり体制。
ちょっとでも油断したらすぐにうつる!!
「これ突発じゃねえな」と思った瞬間から、マスクをつけるとともに、除菌ウエットティッシュを枕元に置いていた。
よだれがついたら即ふき取って、なるべく自分の口に入るのを阻止。
まあ感染力の強いウイルスだと難しいかもしれないけれど……防御するのとしないのとでは大きな差が生まれると思うので。

■日ごろからよく見てよく記録。
赤ちゃんの病気においては「見る」「触る」が本当に重要だなと実感。
表情がちがう、普段より熱い、皮膚がざらざらしている、ぶつぶつしてきた、赤みがある、汗をかいている……。
健康な時には見られなかったわずかな変化が、いざというときの判断材料になる。

本当に、子どもの病気は恐ろしい。

「代わってあげたい!」

と、今後の人生で一体何度思うのだろう、と考えたら、気が遠くなった(私のつわりと出産を見ていた母親も似たようなことを言っていたため、息子が中年になってもそうなのだろうと思われる)。

ましてや大きな病気と闘うお子さんを持つ親御さんたちのことを考えると、何自分は甘えたことを言っているんだと少し落ち込む。そして頭が下がる。本当に本当に、いつもお疲れ様です。

親は病気の素人だけれど、だれよりも我が子を見守っていることだけは間違いない。「もういいよ」と言われるまでは、その手を握って、安心させてあげる存在でいたい。

そのためにも、経験を力に変えて、親としてもっと強く賢くならなくてはいけない……。

そんなことを思った、息子の初めての病気だった。

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