シャックが片付く日は来ない。

養生テープにマジックで書き込む時代は終わりです。

筑波大学電気通信研究会 関東社団ミーティング2023

これは大学無線部 Advent Calendar 2023 9日目の記事です。

✅ 部室にものが溢れている
✅ 広々した部室に憧れる
✅ 面倒なことはむいてない
全てに当てはまるあなた、つまり無線部員の(きっとほぼ)みんなに捧げます。

こんにちは、はじめまして。JR1ZTTのメンバーのまみまるです。

【免責】このお話は脚色されています。

無線部部室というユートピア

部室にはなんだってある(ただし、空間を除く)

広々した部室って、憧れますよね?だけれども、現実はいつもつらいですよね。そこで、原因をいろいろ考えました。

  • 場所が足りない

  • 収納用品が足りない

  • 物が多すぎる

このエントリでは、3点目の物量問題を解決するために奮闘した話をしていきます。

知らない先輩の思い出の品、私にとってはただのゴミ

みなさん、ご自身の部室、サークル室を思い浮かべてください。









あなたは、問題なく動作する無線機、故障した無線機、その症状、損失が大きくなってしまった同軸ケーブル、謎のブラウン管の持ち主、経年でかすれたメモ書きの内容、、、すべてを思い描くことができましたか?


できなかったに違いありません。
私達は部室にあるものについて、まったく知らないのです。
もちろん、素性の知れないものを処分することはできませんから、物量は増えていく一方です。

記録は重要

ではなぜ、わたしたちは部室にあるものについて詳しく知らないのでしょうか?

筑波大学電気通信研究会は、ある興味深い点に目をつけました。

そもそも、ここには記録が残されていない。

これがわかってしまえば解決は簡単です。記録を残せばいいのです。

ヒトとは愚かな生き物である

記録ってめんどくさいよね

記録を残すって、本当にめんどくさいですよね。
記録を残す場所をつくって(ノートとか、Wikiとか)、記録を残したくなったらまずノートを探すなりWikiの編集ページに辿り着くなりして、やっとの思いで記録を残す。挙句の果てに、中途半端に記録を残そうものなら情報が断片化して最悪です。各時代でいろいろ記録媒体があってあとから探し出しづらいし。

当研究会のシャックからは次の媒体が出土しています。( 2023年しらべ )

  • セルフホストのwiki

  • ノート

  • 断片化したscrapbox

  • 機械に養生テープを貼り付けてそこに油性ペン

wikiやノートといった、記録を残すのにコストがかかる手法では、非常に詳細で有用な情報が残されていました。やる気に満ちた状態でエントリを残したのでしょう。その一方で、養生テープと油性ペンの組み合わせでは、単語の殴り書きといった雑な記録が多く残されていました。めんどくさいけどメモっておこう、という心理状況だったのでしょう。scrapboxに関してはある程度のクオリティが担保されていましたが、これはこまめに編集して治安を維持している部員が複数名いたためだと考えられます。

ここから、ある仮説を立てました。

$${(記録する手間) \, /\,(やる気バイアス) < (記録が残る嬉しさ)}$$

この式が真のとき、記録は残される。

この仮説を用いれば、「あのブラウン管は何用のものなのか?」、「このリニアアンプの故障の原因は?」、こんな疑問を説明できる記録がないという事象を説明できます。それぞれ、「そのうち持ち帰るし、私物だけどしばらく黙って部室においておこう(その後持ち帰らなかった)」、「なんか中から火花が飛んだけど特に壊れてなさそうだし、面倒くさいからそのままでいいや(その後接点不良で死亡)」といったことが繰り返されているからなのでしょう。

やっとこさ仮説までたどり着きました。あとは、可能な限り多くの条件下で先程の式を真にする工夫をするだけです。つまり、

$${(やる気バイアス) >  (記録する手間)\, /\, (記録が残る嬉しさ)}$$

記録する手間をめっちゃちっちゃくして、記録が残る嬉しさをめっちゃ大きくすればやる気に左右されずに記録が残るのです。ちなみに、媒体を管理する手間も、記録する手間に入ると思われます。(ノートを買ってきたり、新入部員のwikiアカウントを作ったり)

じゃあ、記録を残すための持続可能なシステムを作ろう

【媒体の選定】

・紙ノート
ノートってめんどくさいですよね。部室でしか書き込めないからフィールドデーにこまるし、そもそもノートが部室のなかのどこにあるかわからない問題。しかもペンまで探さなきゃならないとなったら最悪です。挙句の果てに全文検索ができない!?信じられない。却下

・wiki
じゃあwikiならどうでしょう?みんなスマホを持ってるし、カスタムもしやすい。でもwiki自体のメンテナンスが必要。めんどくさい。却下

・サービスを独自開発する
絶対だめ、絶対作り終わらないし数年後にはメンテナンスできなくなってる。

・scrapbox
神じゃん。セルホストしなくていいし、invitationだけ送ればあとはSSOとかいい感じにユーザを管理できるし、最悪サ終してもデータだけサルベージすればいいし。みんなスマホ持ち歩いてるし。そもそもZTTではすでに物品以外の記録管理に使ってるし。

【記録が残る嬉しさを最大化しよう!】

嬉しさ最大化で私達が目指したのは、「その物品に対するすべての情報にワンアクションでアクセスできる状態」でした。こうすることで、情報が活用されやすくなると考えたのです。活用されうる情報を記録することは嬉しさと慈愛に満ちています。

例え話をしましょう、甲さんはあるKという無線機の調子が悪いことに気づきました。Aという場所には「2013-06-DD Kのリレー故障した、要交換」との記載がありましたから、甲さんはそのリレーを交換しました。しかしながら依然として調子は悪いまま。おかしいと思い記録を確認していったところ、A'という似た名前の違う場所には「2013-07-DD Kのリレー交換済み、電源コンデンサ吹き抜けた」とのエントリーがありました。そうです。甲さんは原因にアプローチしていなかった上に、無駄にリレーを交換していたのです。

こんな自体は避けなければなりません。情報を集約するためには、一つの物品に一つの記録場所。これを徹底する必要があります。

これの解決にはQRを用いたのですが、記録する手間の最小化とかぶることから、下に書きます。

【記録する手間を最小化しよう。】

手間を最小化するためには、手順を決めれば良いでしょう。でも、こんどはその手順を守る手間が発生します。だから、手順は短く明快でなきゃいけません。

scrapbox上に記録するための手順を書き下してみます。

  1. 端末を開く

  2. scrapboxを開く(ログインも)

  3. すでにその物品に対応するエントリが存在するかを確認する

  4. あればそれを編集、なければエントリを作る

各ステップのめんどくささを検証します。

  1. これは問題ないでしょう。ツイ廃のみなさんなら余裕です。

  2. もうめんどくさい。物品管理にscrapboxを使っていることを思い出す手間がかかる。

  3. 本当にめんどくさい。似たような物品エントリを誤って編集するリスクや、エントリを重複させるリスクを背負わなきゃいけない。

  4. これは削れない、しょうがない。本質。

2と3をなくせばかなり楽になりそうです。じゃあ、どうする?

とりあえず、QRコードを使えばscrapboxを思い出すことと、ユニークさの担保については解決できそうです。物品にテプラなりで印刷したエントリのURLのQRを貼ればよいのです。逆に、QRが貼ってあればその物品のエントリは存在しているのです。

聡明な無線部員たちは気づいたことでしょう、物品を登録するたびにテプラを印刷するのは面倒すぎることに。

実は完璧に対策済みです。あらかじめどの物品、エントリにも結びついていない物品IDを生成しておき、そのQRコードをまとめてテプラにしておくのです(具体的には今回で250枚程度)。

新たな物品を登録するときは、印刷済みのテプラを物品に貼り付け、QRをスキャンするだけで、物品IDがタイトルとなった新しいエントリが作り出されるのです。(scrapboxの仕様で、存在しないエントリのurlを叩くと勝手に作ってくれる。)

さらにさらに、QRコードを物品に貼り付けることで記録が残る嬉しさも上がります。
貼られたQRをスキャンするだけで、その物品に関するすべての情報にアクセスできるのです。ないかもしれない情報を探す必要がなくなり、一度記録された情報が再利用されやすくなります。

タイトルが物品IDとなることでエントリを探しづらくなることを危惧しましたが、一覧では写真がサムネイル表示されることと、全文検索できることから大きな問題とはなりませんでした。

エントリ一覧でのサムネイル表示



全文検索をかけたときの表示。型名などでも検索できる。


おまけ、物品管理のシステム自体が持続可能である必要がある

QRに刻まれたURLについて

QRのURLは、scrapboxのエントリへの直リンク scrapbox.com/xxxxx/${物品ID} ではありません。 item.(うちで管理してるドメイン)/${物品ID} となっています。このURLを叩くと、scrapbox.com/xxxxx/物品管理-${物品ID}へリダイレクトされるようになっています。(catch-all的に)
こうしておくことで、将来的にscrapboxが利用不可になったときもリダイレクト先を変更するだけでシステムを使い続けることが可能です。リダイレクトにはCloudflare Pagesをつかっているらしいです。

物品IDについて

物品IDには連番ではなく乱数を用いました。こうすることで、将来的に連番の規則がわからなくなったり、どこまでIDを発行済みか分からなくなることを回避しています。なお、IDの桁数については、衝突確率と人間の認識のしやすさの観点から[0-9A-Z]{6}としています。

テプラシールについて

剥がれて1物品1IDの関係が崩れるととすごく悲しいので、大小のシールを物品の異なる面に貼り付けています。どちらかが剥がれてもギリギリ大丈夫。
小さい方は正面にはることで、ひと目見ただけで登録済みか見分けられるようにしています。なお、QRの他にIDと団体名を記載しています。QRが読めない端末(PCなど)ではIDを手打ちしてエントリを開きます。

テプラ

ケーブルやタワーはテプラを貼ることがふさわしくないので検討中です。
ケーブルはケーブル用タグなどがよさそうだと思っています。タワーについては、暫定でラッカースプレーを用いたカラーコードで登録しています。


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