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基調講演②-進化思考:シビックテックのサミットin新潟

2日目の基調講演は太刀川さんの考える新しい発想方法。Twitter実況しようと思ったのですが、すごい量になりそうだったので、こちらでまとめます。

自分の仕事で実証研究する形でデザインを学んでいる方で、天才的アイデアが生まれるところを追体験できるように。というテーマで、最初はそもそもデザインって何?というところから、それをするために必要な要素が何かという話までをしてくださいました。

1.デザインとは

DE-SIGNARE 「デジニャーレ」:記号化すること

かたち・出来ているものには全て理由がある。椅子は膝のところで曲げられるようになっているし、マイクにた適切な重さがある。

関係⇆形態

関係があってその形になるし、逆も然りで、形を読み取ると関係が出て来るし。意味を持った形には必然性がある。

「色即是空空即是空」(般若心経より)

昔の偉い人も見えないなかでの関係性があると言っていたよね。

形を通して関係をよくすること

これがデザインと言えるのではないか。

2.進化思考 "evolution THINKING"とは

⓪あなたが進化させる "α(進化させたい対象)"を設定してみましょう。
より体験して学ぶには、自分で1つ設定して考えながら聞くのがいいので設定してみましょう。このαは具体的である方がいいし、客観的に捉えやすいものがおすすめ。

抽象度高すぎると出来ないから、具体化した方がいい(ex.教育->カリキュラム)
客観的に捉えられないものは難しい。(ex.自分の意識とか痛みを伴うものとか)

①イノベーションは、進化の真似なのではないのか
 "innovation is emulation of evolution"

言語の発明は5万年前。体は概ね変わらないが道具と言語がどんどん進化していっているのが人間。

DNA≒言語 エンジニアで言うところのCODE(複製可能・意味の伝達・組み換え・コンポーネント化)
進化もテクノロジーも「言語性」を持っている
進化の考察から「人の未来に価値のある発想」が生まれる発想法を作れるのでは

②では、進化はどうやったら起こるのか
自分と自分の子供が同じにはならないと一緒で、変異する。その状況・環境・関係に合わせて、どの変異が生き残るのかが変わって、結果今の生態系に繋がってきた。

関係⇆変異

関係性を理解することと、変異ができるようになる

関係→変異(第1世代)→関係→変異(第2世代)→

関係を理解していたら、これを自分一人でできるようになるし、同時多発的に起こすこともできるようになる。

関係を理解する+変異がめっちゃできるようになる=進化思考

③関係を理解する(時空の関係を理解する)
→大人になる

関係1:解剖・分解  リバースエンジニアリング

レオナルドダヴィンチが書いていた解剖図って、本を書くために書いていたのではとも言われているが、知るために分けていくという作業を繰り返していたともいうことができる。(空間・ミクロ)

関係2:生態系  ステークホルダーとの相関性

体の中と外との関係とか、環境との関係って、ミクロ的な分解を外に広げたマクロ的なものとも言える。(空間・マクロ)

関係3:系統樹  先祖が何か・ルーツはどこか

車関係の仕事の人でも、「エンジンが発明されたのは」「車輪っていつから?」「タイヤの構造は?」とか言われてもわからなかったりする。すごい経営者って三国志好きだったり、頭いい人って歴史がすごい詳しかったりするじゃないですか(笑)。過去の人が困って考えて生み出してきたものにはそれぞれの理由やプロセスがある。(時間・過去)

関係4:未来予測 兆しの先で起こる事を予測できる

PCが小さくなることは予測できて、それが実際に起こった時にどうなっていくのかを考えていくことはできたりする。(時間・未来)

重要なリサーチは基本的にこの上記4種類に分けることができる。

④思考の変異を大量に起こす(固定概念を破り発想する方法群)
→子どもになる

変異1:融合(プラス・概念の融合)

この体が共生関係を結んでいること。ざっくり言うと「カレーうどん」みたいなもの。足せばいいだけ。

変異2:欠失(マイナス・要素の欠失)

蛇は、足がなくなったトカゲ。エラがなくなった魚とか尻尾がなくなった猿が私たち。ざっくり言うと「羽のない扇風機」みたいなもの。

変異3:転移(移す・場所の変更)

外来種の植物が生態系を狂わすことがある。異業種で急に活躍する人がいたら、それによって周りの人がやられてしまったりする。ざっくり言うと「熊野筆」(書道の筆から化粧筆へ)

変異4:同化・擬態(似せる・形質の転換)

猫型ロボットとか時計型コンピューターとか

変異5:変形(大きさ・形状・色)

ダーウィンたちが見つけた、食べるものによって嘴が変わるみたいなもの。ざっくり言うと、iPhoneからのiPadみたいなもの。

⑤この3と4を行き来するのが、必要。
これらの変異に関することをちゃんとやると、5分くらいあれば50個くらいアイデア出せるようになってくる。(大半がクソみたいなやつ)なぜそれをクソなのかを判断するのが、前半の関係の理解

全ての天才はこの方法で考えてきたのではないかと言うのが太刀川さんの説。

⑥要点まとめ

解剖に関しては、上位の意味は分解しないとわからないので、分解しながらなぜこうなのかを考える。それがわかればハックできる(そうじゃないアプローチができる)

合理的なつくりかた・要素の理由が分かる・上位の存在理由が分かる
もっと要素の数や量を減らせるか もっと効率を上げられるか 関係を足すことができているか

生態系に関しては、ステークホルダー(関わる人)や環境(何があり・どんな影響があるのか)を考える。

イノベーションとエボリューションは似ているが、イノベーションは何でもつなげることができる

系統樹においてのコツは、人はαに何を求めてきたか歴史に残ったものの共通点変化を生んだ思考の方向性を考え、この系譜に残りそうな進化なのか、すでにあるものとは違うのかを想像する。

SFのストーリーによって未来が生まれる。マイノリティーリポートがあって、iPhoneが生まれるみたいな話。SDGsとかも。

その進化は未来に想像できるか、変化の後にも生存可能かを意識するといい。

関係を読みとり、変異を生み出すことを丁寧に繰り返していくことができたらいい。関係を読み取ることは愛することに似ているし、変異を生み出すことは勇気を持って試していくことで前に進められるのでは。

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シビックテックのCode for Japanで働きながら、小児発達領域の大学院生をしながら、たまにデザインチームを組んで遊んでいます。いただいたサポートは研究や開発の費用に充てさせていただきます。