2020-07-07 身の程を知る井野さんと「速さ」と「質」の間でもがき続けた寺島と #015

最後は代打で投手三ツ間が出てくる謎展開に助けられた部分はあるが、なんとか長期ロード15連戦の初戦で勝利に飾ることができた。あんなことあるんだねぇ…。

何がともあれ10回オモテで岡田から勝ち越し点が奪えた事が多い。コチラも4四球なので相手の自滅といえば自滅なのだが井野さんよく見たね。

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昨日の試合、球審森の判定がロースコアゲームとは思えないくらい狭かった。そのあたりを井野さんよく見ていたのかなぁ。言い方はアレだが身の程を知るキャリアだからこそちゃんと見ることができたように感じた。
中村が離脱してる状況下で、大きな期待は出来ないが十分な計算ができる井野さんみたいな存在はとても重要になってくる。

それにしても最後代打投手を打ち取って石山井野共にガッツポーズはどうかとは思ったがなw

そして昨日プロ初勝利を達成した寺島だ。ピックアップは大島の打席。

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初球が真ん中高めになっているが、実際はもっとアウトハイに投げている。間違っても一発だけは食らってはいけない場面で外に投げきっている。特に3球目のカーブ。ドロンと大きく曲がる軌道を描くボール。これが投げきれないとカウントがボール先行で、大島有利の粘り合いになってしまう。フルカンにでもなったら自動スタートなので外野の間を抜けた時点でサヨナラ。勝負を分ける1球になった。最後はスライダーをアウトローにきっちり投げきり空振り三振。ここで甘く入らなくなったのも寺島の成長だ。

さて、昨日のスポニチでこんな記事があった。

 この日の最速は147キロ。ここに変化が現れていた。(中略)2軍を指揮していた高津現1軍監督の指導もあり、思考を変えた。球速ではなく、投げる球の質で勝負するタイプへ変化していった。(中略)16年に履正社からドラフト1位で入団。力感のない投球フォームから、150キロを超す伸びのある直球が魅力だった。

この記事、個人的にはちょっと懐疑的に見ている。そもそも寺島本人の今の言葉が無い。履正社時代の寺島のMAXスピードが150kmで甲子園でもアベレージでは140前半。ギアを上げて140中盤くらいの内容のピッチャーだった。その分安定感と変化球のキレで勝負をしていったタイプ。

自分が色々な寺島の記事を読んでいった印象だと寺島は球の「質」と「速さ」の間で悩み続けていた投手のように見えた。

1年目のキャンプで内転筋の怪我、2軍初登板直後に左肘の張りと怪我に悩まされる。復帰後も球速がアップすること無く、被打率は少ないもののコントロールに苦慮。ストレートの球速も140前半で変わらずという状態が続いていく。

それでも18年くらいまでは球の質というところにこだわりを感じさせていた。ソースはワイ。

この後この年の初登板で炎上。この辺りで少し心境の変化ができたようにも見える。

(略)ただ、少しよくないとストライクを欲しがって悪くなったり、ねじ伏せてやろうとしたら力みすぎてダメになったり……。でもこの前は、147キロが出たので150キロまであと3キロです(笑)。まだシーズンは残っているので、二軍で結果を出して、シーズン終盤に一軍でチャンスをもらえたら……(略)

スポルティーバに寄稿されている島村さんの記事は寺島に対するかなり踏み込んだ記事になってて好き。

18年の契約更改だとこんな事を言っている。

秋季キャンプから投球フォームの改造に取り組んでおり「今までの投球では結果が出なかったので、ボールの質や勢いも変われば」と意気込んだ。

それでもなかなか球速が戻らず、腐心する寺島。

19年中盤、東スポのインタビュー記事。

――今後、取り組んでいくべき課題は

 寺島 まずはしっかり球速を出すことですね。145~146キロ出せたら形にはなると思うんですが、今は140キロとか130後半が出たらいいほう。高校時代は出せていた(最速150キロ)ので。フォームの修正をしつつ、そのくらいまで球速を戻せたら。

そして今年。コロナ禍、そして寺島への注目が薄れている事もありそもそもインタビュー記事が活躍するまで皆無な中、寺島は大きな変化を遂げていた。今の球速は長くて2~3イニングながら安定して140中盤が出るようになっている。少なくとも高校時代の数字には戻してきたと言っていい。

ここまで来たところで、ぜひ今、寺島の変化を本人に直撃して欲しい。

プロ4年目での初勝利。長くかかったようにも感じるが、それでも大卒1年目と同じ年齢と考えればプロ野球人生は始まったばかり。これから20年続けられる投手になってくれることを期待するよ。

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