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久しぶりの桜尾蒸留所と瀬戸内海での真鯛づり…

 ゴールデンウイーク前半も仕事づけの毎日だった。ガロア、ウイスキー検定のテキスト、そしてウイスキーエキスパートの試験問題を作り終え、連休前半はナツメ社の次の単行本『ウイスキーの教科書』(6月刊行予定)の再校ゲラチェックと、最後の原稿の執筆、そして29日は、TWSCの二次審査のベスト・オブ・ザ・ベストのテイスティング。まずはシングルモルトの上位20アイテムの半分近くをテイスティングしてその点数をつける。

 私は一次のリモート審査には参加していないので、これからが私にとっての本番。毎年、5月の連休に一人事務所で審査に臨むことになる。コロナの緊急事態宣言が出された2020年は、初めてのリモート審査で、ジャッジの数が足りなく、ゴールデンウイークの前後も使って、10日間で180を超えるアイテムをテイスティングするという、前代未聞の日々を送った。本当にあの時は通りに誰も人がいなく、静かな中、連日のテイスティングに明け暮れたことを思い出す。

 テイスティングは半分だけ、点数をつけ、30日の火曜日は朝イチの新幹線で広島へ。シマノの釣り雑誌『Fishing Cafe』の取材で桜尾蒸留所を取材しながら、宮島沖で真鯛釣りをしようというもの。桜尾は約2年ぶりの取材で、ひととおりモルト棟、そしてグレーン棟、さらにその奥に続くウェアハウスも見せてもらう。

 桜尾には、2017年のオープン以来何度も来ているが、来るたびに新しい設備、新しい装置が入っていて、ビックリする。クラフトはどこもそうだが、1年行かないと、情報がもう古くなる。『ジャパニーズウイスキーイヤーブック』、蒸留所年鑑のために毎年50近い蒸留所を訪れているのも、毎年情報や写真をブラッシュするためだ。シンドイが楽しい仕事でもあり、新しいものを見たり聞いたりすると面白く、やめられそうにない。

 桜尾も前回より3基ウォッシュバックが増えて現在は6基になっているし、グレーンの製造棟は整備されて、いろいろなところが新しくなっている。モルトの仕込みも現在は日に2回、年間600仕込みをやっているというから、クラフトとしては最大級だろう。さらに独自のグレーンである。すでに熟成庫も増え、現在は3000樽近くが眠りについているという。

 今回は釣り雑誌の取材ということで、ビジターセンターのところでテイスティングもさせてもらったが、昨年11月から蒸留所限定のボトルが出ていて、これもビックリした。桜尾と戸河内の原酒をブレンドした、『ミヤノシカ(宮の鹿)』というウイスキーで、もちろんこれは正真正銘のシングルモルトジャパニーズウイスキーである。ミヤノシカというのは、いかにも宮島みたいで、鳥居風のデザインに鹿だが、もちろん厳島神社の鳥居と鹿をイメージしたものだろう。なにしろ蒸留所のすぐ対岸に宮島があり、島の主峰である弥山(みせん)が、どーんとそびえているのだから。ただ、ラベルはどことなく「ゲーム・オブ・スローン」のモートラックのスペシャルボトルに似ていなくもない。

 テイスティングしてみたが、戸河内の原酒が効いているのか、フレッシュで、どことなく山の空気、山の霊気のようなものを感じる。戸河内の清々しいアロマ・フレーバーが桜尾のリッチな香味と絶妙にブレンドされている。思わず1本買ってしまったくらいだ。

 その日は広島市内のホテルにチェックインし、夜はお好み焼きというか、広島焼の『みっちゃん総本店』で、生ビールとハイボール、そして名物の広島焼をたらふく食べてしまう。

 翌5月1日は朝3時に起き、4時にホテルを出発。五日市マリーナからタイラバ船に乗り出船したが、雨・風で急に海水温が3℃低下してしまい、まったく釣りにならず。ひたすらタイラバを巻き続けたが、2回アタリがあっただけで、真鯛はのらず。結局、釣果ゼロに終わってしまった。宮島沖や、愛媛県沖、さらに山口県の周防大島の近くまで、ポイントを変えながらやってみたが、12時半くらいに諦め切り上げることにし、その後4時くらいの新幹線で、東京に帰ってきた。

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